最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
【お願い】 ★記事における間違いは、できる限り修正したいと考えております。お気づきの点がありましたら、ご教示いただけるとありがたいです。
★コメントを歓迎しております。初めてコメントくださる方は、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。
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「あの場面の元ネタは?」という時はこちらへ
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マイクロフトのメール

前記事を書いてて気づいたのですが、携帯でマイクロフトからのメッセージを受信したジョンにシャーロックが
「話せれば、マイクロフトはメールなんかしない(Mycroft never texts if he can talk)」と言っていたのは、「悪魔の足」からですね。
ホームズから電報で記録の発表を促されたという話の中で、ワトスンがこういっています。

――he has never been known to write where a telegram would serve ――
「電報の届く場所なら、彼は決して手紙なんかよこしたことのない男だ(延原謙訳)」


ホームズが手紙より電報を好んだのは、なんとなくわかります。
余分な修飾を嫌い、事実だけを伝えるのが好きな彼にとっては、電報は理にかなった伝達手段なのでしょう。

この場合のtextは「携帯でメールを送る」という動詞ですが、携帯でメールのやり取りをする際、英国ではSMS(ショートメッセージサービス)を利用するのが一般的だそうです。(『イギリス情報サイト UK INFO』より)←このサイトにも書かれていましたが、日本ではすぐに携帯でEメールを送るのが普及したから、SMSってなんか懐かしい響きですよね! ジョンの携帯を見てシャーロックが「Eメールができるスマートフォン」ってわざわざ言ってたのは、そういうことなんですね。

さて、現代版マイクロフトがメールより電話を好むのはどうしてでしょう。
忙しい彼にとっては、メールの方が便利なのではと思うのですが。
ひょっとしたら、弟ほど早打ちできないとか…
実際、7歳の年齢差ってそういうところに出たりするよね…と、同じく弟がいる私は勝手に同情したりしてます。

(追記・2011.11.18)
マイクロフトが電話を好む理由について、RM様がご考察をくださっています。
ぜひ、コメント欄も併せてお読みください!

車に残された血

当ブログを紹介してくださっている方を見つけたよ~、と友人に聞いてさっそくうかがってみたのですが、ご紹介を見つける前に、ブログ主様(望 岳人様)のSHERLOCKへのご考察を読みふけってしまいました。
めったに読めない(と思ってた)ドイルの書いたパスティーシュ、"The Field Bazaar"と"How Watson Learned The Trick"の日本語訳もされていますよ!

目からウロコだったのは、第3話のレンタカー屋さんの場面で、車についた血を「唇の捩れた男」からだ、とおっしゃっていることです。私は全く気づきませんでした…!

「唇の捩れた男」事件のあらましを簡単に説明しますと、慣れない下町を訪れた一人の女性が、ある窓にロンドンで仕事中のはずの夫の姿を見つけます。たまたま巡回で現れた警官たちを伴ってその建物に入っていくと、そこには、おそろしい人相の男とインド人の水夫がいるだけ。しかし、彼女は夫が子どものために買って帰ると約束していた積み木を見つけます。あやしいと見た警官たちが調査を進めると、夫の衣類や時計が発見され、そして窓枠や床には点々と血が。それきり夫は帰ってこない…
レンタカー屋さんの事件も「夫の失踪事件」であることを考えると、このエピソードが「唇の捩れた男」にヒントを得ていることは間違いないでしょう。お見事です!!

原作に「何度読んでも新しい発見がある」ように、"SHERLOCK"にも何度観ても新しい発見がありますね。
(ひょっとして、そういう視点で何度も何度も観てるのにわからない私が鈍いのか…?)
望 岳人様も記事中でご指摘なさっているのですが、一作一作を現代版化するのではなくて、"based on works of Sir Arthur Conan Doyle" としてさまざまな「原作ネタ」をちりばめる趣向にしたのは大成功だったのだなあ、と思います。

望 岳人様、勉強になりました。ご紹介も含め、ありがとうございました。




The show must go on!

プリンス邸に乗り込んで好き放題やったジョンとシャーロックに対する、ケニー・プリンスのコメント。

"You are like Laurel and bloody Hardy."
「君たちはまるでローレル&ハーディみたいだな」

私はこの「ローレル&ハーディ」を知らなくて、友人に聞いてみたところ調べてくれました。
リンク先のwikiにあるように、1921年から1951年、サイレント時代からトーキー時代の初頭にかけて、アメリカ映画で活躍した喜劇俳優だそうです。
小さくて細いローレルと巨漢のハーディの、いわゆる凸凹コンビです。

どんな風にシャーロックとジョンに似ているのか、まずは動画をごらんください。



いかがでしょうか。
確かにローレルは、ちょっと神経質そうな感じがジョンに似ているかも。
ハーディは、シャーロックというよりも、演じているベネディクト・カンバーバッチ氏に無邪気な笑顔が似ている気がします。(この動画ではあんまり笑ってませんけど)

ところで、どうしてプリンス氏の口からこの名前が出たのか、wikiのリンクを辿ってみて納得いたしました。

淀川長治 世界クラシック名画撰集「ローレル&ハーディの天国二人道中」

ローレルとハーディは、そっちの仲良しではないかという視点で淀川氏は楽しんでおられたわけですね。
それにしても淀川氏、ハーディのべイビーフェイスを絶賛し過ぎです。Babe Hardyと呼ばれていたそうなので淀川氏に限らないと思いますが、そちらの方に人気ということは察しがつきました。そこでプリンス氏と繋がるのか~。私はすごく遠回りしたけど、イギリスやアメリカの視聴者はすぐにピンとくるのでしょうね。

さて、原作との比較。
ここでのジョンとシャーロックは、お笑いコンビではなくて「記者とカメラマン」のつもりだったようです。
こんな風に正体を隠して潜入捜査をすることは、ホームズ単独でならよくあるので別項で扱いますが、二人揃って、というのは珍しいと思います。「犯人は二人」で芝居帰りの二人連れを装ったり、「ショスコム荘」の近くの宿に、釣り人のふりをして滞在した時くらいかしら(でも、何だかんだ言って結構釣りを楽しんでいるように見えました)。あ、「株式仲買店員」では、失職した「バーマンジーのハリスさんとバーミンガムのプライスさん」を名乗って、不審な会社の面接を受けています。(ホームズがハリスで会計が専門、ワトスンがプライスで事務職という設定です)「高名な依頼人」ではワトスンが偽名を使って、骨董マニアの医師のふりをしてグルーナー男爵を訪ねていますね。

二人揃って別人の役をしているとき、ホームズもワトスンもどこか楽しそうなんですよね。
第1話のシャーロックとジョンも、警官のまねを楽しそうにしていましたね。
私が一番好きなのは、グラナダ版の「青い紅玉」で、賭け事好きな紳士たちを即興で演じる二人!
ワトスンがにこにこ笑って手をだす場面が、何度観ても微笑ましいんです。



試合に負けて、勝負に勝つ?

モリアーティーが用意した5つの「ゲーム」のうち、2つ目はある男の失踪事件でした。
被害者の妻にシャーロックが「ご主人の古い友人です」と名乗って話しかけますが、とんちんかんなことばかり言って妻を苛立たせます。
ある反応を引き出すために故意にこういう話し方をした(要するにカマをかけた)のですね。
人っていうのは、何かを教えてやるのは好きじゃない。反論するのが好きなんだ」とシャーロックは嘯きます。

ホームズはよく「コールド・リーディング」の達人と言われます。
これは相手に自分の話を信じ込ませるための手法で、占い師や霊媒師がよく使う話術だそうです。
私の理解が十分かどうかわかりませんが、

1:相手を観察し、それをもとに相手にあてはまるようなことを言う
2:「○○ですね?」というような質問をしながら、さらに相手の情報を引き出す
 

すごく簡単に書きましたが、この二つを繰り返し、ボロが出ないように巧みに修正しながら一般的(誰にでも当てはまるような)な話題から、相手についての具体的な話題へ持っていくと、聞いている側は「この人は私よりも私のことを知っている」と思ってしまうらしいです。

ホームズは1に秀でていて、しかも観察から推理の過程が速く、そこから出た結論をずばっと相手に突きつけます。その象徴がワトスンと出会ったときのセリフ「あなたはアフガニスタンに行ってきましたね?」ですが、依頼人に対してもよくこれをやっています。(初対面の相手にいきなり『あなたが○○で、今日は××に乗ってきたということ以外存じ上げませんのでね』なんて言って驚かせるパターンですね)
これで依頼人はホームズの実力に驚き、信頼するようになり、捜査にも協力的になるのです。

依頼人を信用させるだけでなく、捜査中、特に聞き込みの段階で相手から聞きたいことを引き出す時にもこの話術が用いられます。
ホームズの目的が「相手に自分を信頼させること」でない場合、知りたい情報を引き出せればそれでよいので、シャーロックが使った「相手に自分の間違いを正させる」という手法でもかまわないわけです。

「青いガーネット」に登場する鵞鳥の仲買人、ブレッキンリッジとホームズの会話が良い例になると思います。

鵞鳥の仕入れ先が知りたいと言うホームズを怪しむブレッキンリッジ。ホームズはブレッキンリッジの風貌から彼が賭け好きだということを見抜き、「仕入れ先がどこだか賭けをした」と嘘をつきます。さらに、ブレッキンリッジ自身に賭けを持ちかけ、わざと間違った方に賭けて、見事仕入れ先台帳を見せてもらうことに成功します。

ただし、賭け金の1シリング取られているので、現代版シャーロックがこれをやったら、あとでジョンに怒られそうですね…(当時の1シリングは現代日本でいうところの1200円にあたるそうです※。充分明日の牛乳買える!)


ここからは余談。この「ゲーム」の鍵となるレンタカー屋さん、ジェイナス・カーズの名前は「二つの顔を持つ神」から取られていて、その名が解決へのヒントともなっています。
この「Janus」という名前、30代くらいの方ならピンと来るんじゃないでしょうか。
そう、子どもの頃に夢中になって観た(←決めつけ)大映ドラマ「ヤヌスの鏡」のあのヤヌスですよ!

というわけで、この「ジェイナス・カーズ」が日本放映の際どう訳されるのか、興味しんしんの私です。
だって「ヤヌス・レンタカー」とかだったらほとんどの日本人が名前だけで怪しむよ!(←そうか?)

とりあえず、あのおじさんが杉浦幸に見えちゃった方は私と同世代です。

※「青いガーネット」当時のロンドンの貨幣価値を調べていたところ、「The Diogenes Diary」という日本語のサイトさんがとてもわかりやすい記事を載せていらっしゃったので、参照させていただきました。ありがとうございました。

【追記】(2012.6.16)ホームズがブレッキンリッジにとられた(あげた)のは1シリング(約1200円)じゃなくて1ソヴリン(約24000円)でした。お詫びして訂正致します。あまりの金額に、納得いかない気持ちでいっぱいです。

【3話ラストネタバレ】親友の危機、その時

ジョンに着けられた爆弾を必死に取り外し(ジョン曰く『剥ぎ取り』)ながら、明らかに平静を欠いているシャーロック。
無事に爆弾を遠ざけた後も、うまく言葉が出てきません。
ワトスンのピンチに思わず取り乱してしまうホームズ、といえばこの場面を思い出します。

犯人の発砲で負傷するワトスン。

「ワトスン君、やられたのじゃなかろうね? 後生だから、そんなことはないといってくれ」
怪我が何だろうーーもっとたくさんの怪我をうけてもなんでもないーーマスクのような冷ややかな顔のかげにこんなにも深い誠実と愛情を秘めているのだと知った今、私はそう思った。澄んだ鋭いひとみもしばし曇り、かたくむすんだ唇は震えていた。このとき初めて私は、頭脳の偉大さにも劣ることなく、彼の心情のきわめて大きいのを知り得たのである。多年にわたる私の取るに足らぬ、しかし心からなる奉仕の生活は、この天啓の一瞬に頂点に達したのである。(三人ガリデブ・延原謙訳)

犯人と銃で狙いあいながらの駆け引き、という構図も似てますね。

第3話のシャーロックは、事件を純粋に「ゲーム」として楽しんでいる様子を見せ、被害者を救うことを第一に考えているジョンの反感を買います。

「死にそうになっている女性がいるのを忘れないでくれ」というジョンに
「病院は死にそうな人間でいっぱいだろ、ドクター。枕元で泣いてきたらどうだ?それで救えるのならね」とうそぶくシャーロック。(拙訳)

シャーロックは「感情的になっても解決にはつながらない」と言いたいのでしょうが、冷たい物言いにジョンは何度も傷ついた表情を見せます。

そんなシャーロックがジョンが死にそうになると思いっきりしどろもどろになるんですから、ジョンも感動したんじゃないでしょうか。劇中では冗談を言ってシャーロックを笑わせようとしていましたが(…いや、案外心からの感想かもしれませんが)、この事件についてのジョンの文章を早く読みたいものです。


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プロフィール

Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

ご閲覧やRSS登録ありがとうございます!まだ廃墟じゃありませんよ~!亀の歩みですが、過去の振り返りも含めてのんびり元ネタ探し続けていきたいと思います。

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