最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
【お願い】 ★記事における間違いは、できる限り修正したいと考えております。お気づきの点がありましたら、ご教示いただけるとありがたいです。
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タイトルについて(3)

1回で済むと思ったのに、だらだら続いて3回目です。
もうBBCの秋冬新番組予告ではシーズン2の映像もちらほら観られるそうですが、そんな空気を一切読まずにシーズン1・第3話のタイトルについて。

原題は"The Great Game" 邦題は「大いなるゲーム

原題・邦題共にとっても良いと思います!
でもそれだけではなんだかバランスが悪いので、gameという言葉について、無理やり何か書こうと思います。

Game といえば、原作で有名なホームズのセリフは、"The game is afoot."

“Come, Watson, come!” he cried. “The game is afoot. Not a word! Into your clothes and come!”
「ワトスン君、おきたおきた!面白いことになってきたんだ。なんにもいわずに服を着て、ついて来たまえ」
(『アベ農園』延原謙訳)

「服を着て」というのは、ワトスン君がまだベッドの中にいるからです(以前シャーロックの寝室の話題が出ましたが、ジョンの寝室が登場するのは時間の問題ですね…)

"The game is afoot"とは、「獲物が現れた」という意味で、シェイクスピアの「ヘンリー五世」と「ヘンリー四世」に出てくるセリフの引用だそうです。
ホームズ・シリーズを代表するとも言えるセリフで、もう、どなたの本を読んで覚えたのかもわからないくらいシャーロックホームズ関係の本には良く出てくるので、詳しくはきちんとしたシャーロッキアンの方の本やサイトを参照していただいた方がよいかと思います。
ホームズ・シリーズとシェイクスピアの関係に関しては、オックスフォード大学出版局発行のホームズ全集に詳しい注釈が載っているようです。日本では河出書房新社版「シャーロック・ホームズ全集」で読めます(一部は品切れだそうです。翻訳は日本シャーロック・ホームズクラブの主宰でもある、小林司氏・東山あかね氏です。)

この表現は「ウィステリア荘」にも出てきます。

I could tell by numerous subtle signs, which might have been lost upon anyone but myself, that Holmes was on a hot scent.As impassive as ever to the casual observer, there were none the less a subdued eagerness and suggestion of tension in his brightened eyes and brisker manner which assured me that the game was afoot.

口ではいい表しにくいし、また、ほかの人には感知できないだろうが、多くの微妙な徴候から私は、ホームズがいま有力な手掛りを握っているのを知ったのである。
何げなく見る人には、ふだんと変りない冷やかな態度と思われるだろうが、生き生きと光をましてきた眼つき、動作の活気をおびてきたことなどの中に、内心の逸りと緊張が看取られ、獲物が近いのを思わすものがあるのである。(『ウィステリア荘』延原訳)

「ボール箱」の冒頭で、ホームズがワトスンの表情や動作から考えていることを当ててみせる場面がありますが、ワトスンもなかなかよくホームズを観察しています。

話が逸れました。
The Phrase Finder (成句集サイトとでもいいましょうか。英文学の知識が少ない私が、英文を読んでいてわけのわからない表現にぶつかったときの強い味方)というサイトによると、"The game is afoot"という言葉は「状況が動き出した」というような時に使う、慣用表現でもあるようです。延原謙氏はそちらに近い訳をしていますね。

このサイトでは「シェイクスピアの作品から引用された表現」がまとめられており、そこには"The game is afoot"に並んで"The game is up"という表現もあります。これは相手の嘘を暴く時なんかに「ゲームは終わりだ」という感じで使うみたいです。

シャーロックが使った表現は

"The game, Mrs. Hudson, is on!"
「ゲームですよ、ハドスンさん、ゲームが始まったんだ!」(第1話より・拙訳)


Gameという言葉には勝敗を含む遊戯、というような私たちが(そしてシャーロックが)よく使う意味に加え、狩猟の対象となる動物(獲物)という意味もあるということは、"The Great Game"とはかつてない強大な「獲物」であるモリアーティーのことでもあるのかもしれません。

って今のところ、どっちかというとシャーロックとジョンの方が狩られそうなんですけど…
…いやあ、シーズン2、本当に楽しみですね!(水野晴郎風に無理やり朗らかにまとめてみた)

【追記:2014.4.20】再放送があって、タイトルで検索して来てくださる方が多いようなので、その後わかった正確な「元ネタ」を追記します。シャーロッキアンたちが「正典」の矛盾などを追及する遊戯自体を"The Great Game"と呼ぶそうです。(Wikiより。
現在はSHERLOCKにエピソードごとの解説ページができていて、"The Great Game(Sherlock)"のページにも言及があります。
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この記事へのコメント

大きいのはなあに? - XiXi - 2012年06月24日 00:05:10

ナツミさん、こんばんは!
前の記事にこっそりコメントさせていただきます(苦笑)

S1ep3 原題 "The Great Game" ですが、こちらの「グレート・ゲーム」のもじり要素は含まれていないでしょうか:
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Great_Game

正典ホームズの活躍した時期とほぼ重なるので、脚本の方が意識していらしたらすてきなお茶目(ちょっとシニカル?)だなぁと思いました。ゲームボードがロンドン市内より大きいというか、広すぎる☆

「たかがGame」に「狩猟」やら「外交」やら、日本人にはびっくりな意味がたっぷり…これも海外作品に触れる醍醐味ですね。

グレート・ゲーム - ナツミ - 2012年06月24日 01:20:44

いらっしゃいませ!

「冷戦」という言葉が、今でこそ個人のケンカの形容にも使いますがもともとは米ソを中心とした国家間の対立を指すように、名詞としての「グレート・ゲーム」といえばこちらなのですね。ご指摘ありがとうございます!

日本語wikiもありますね。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0#.E5.A4.A7.E8.A1.86.E6.96.87.E5.8C.96.E3.81.AB.E3.81.8A.E3.81.91.E3.82.8B.E3.82.B0.E3.83.AC.E3.83.BC.E3.83.88.E3.83.BB.E3.82.B2.E3.83.BC.E3.83.A0

歴史に思いっきり疎い私、第1期グレート・ゲームが「正典ホームズの活躍した時期とほぼ重なる」というのには気づきませんでした。もし関連を意識してつけられたのだとしたら、立派な『原作ネタ』なんですね!!




- らいかみんぐ - 2012年06月25日 08:57:26

タイトルつながりで少しお邪魔します。
NHKサイトにて、2期の日本版サブタイトルが公開されていますね。

http://www9.nhk.or.jp/kaigai/sherlock2/

3回目は「ライヘンバッハ・ヒーロー」.....意図はわかるんですが、ちょっと微妙かなあ。いっそ原典に従い「最後の事件」としてくれた方がいいのではないか、などと思ったりしています。

タイトルは難しい - ナツミ - 2012年06月25日 23:13:00

おお、初めて気づきました!
2話の「バスカヴィルの犬・括弧してハウンド」にも翻訳者さんの苦心の跡がしのばれますね!確かに、houndという言葉が重要になってくる箇所があるんですよね。

第2シリーズのエピソードはすべて「原典つき」なので、視聴者に既に馴染みのある原作の題を優先するか、それはおいといてドラマそのものの題を重視するか、難しいところなのでしょうね。
第3話では、ジムが何度も"The final problem"と口にするので、「最後の事件」でもいいかなあと私も思うのですが、NHKの翻訳者さんはドラマの原題を尊重なさっているのかもしれませんね。「馴染みがある」といっても、視聴者全員が原作ありきで観ているわけではないですしね。
そして当然、「ネタばれしてはいけない」という大前提もあるわけで・・・う~ん、やはりタイトルの訳は難しい!

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