最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
【お願い】 ★記事における間違いは、できる限り修正したいと考えております。お気づきの点がありましたら、ご教示いただけるとありがたいです。
★コメントを歓迎しております。初めてコメントくださる方は、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。
→「コメントをくださる方へ
「あの場面の元ネタは?」という時はこちらへ
記事索引「ブリキの文書箱

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

クライテリオンとホルボーン

原作と同じように、そして現代版と同じように(ややこしい!)退役してロンドン砂漠をさまよう家なき子・ワトスン。

Under such circumstances I naturally gravitated to London, that great cesspool into which all the loungers and idlers of the Empire are irresistibly drained.

そういう状況のもとにおかれた私が、全国の無為怠惰のやからたちが滔々としておし流されていく、あの下水溜めのような大都会、ロンドンへとひきつけられたのは、すこしの無理もないことだった。(『緋色の研究』)


この描写は、現代版では第3シリーズ1話"The Empty Hearse"でシャーロックが使ってますね。
関連記事:『This is London

そこに現れたスタンフォード君が声をかけます。(※追記1)

Good Lord! Where have you been?You're as thin as a rake!
「なんてことだ!いったいどこにいたんです?熊手みたいに痩せてる」 (拙訳)



ちなみに原作では

“Whatever have you been doing with yourself, Watson?” (中略) “You are as thin as a lath and as brown as a nut.”
「ワトスンさん、あなたいったいなにをやっているんです?」(中略)「からだは針金みたいにやせてるくせに、顔や手はくるみのように日にやけてるじゃありませんか」(『緋色の研究』)


さらに"A Study in Pink"ではジョンの体重増減への言及はなく、マイク・スタンフォードが太っちゃったことになってます。
日焼けに関しては後にシャーロックが言及してました。マーティン・フリーマンって、あんまり体重の変化がなさそうですよね。顔色はまあ、メイクでどうにでもなるか。
lathからrakeへの変更理由がよくわからないとこに、己の英語力の限界が……そもそも今日の今日までlathの意味をよくわかってなかったですよ。壁の中に入ってる、木とか金属でできた網みたいなヤツね。上から塗ったもの(モルタルとか)が削げちゃってて、木摺が露出してる……要するにワトスンは骨と皮ばかりだったのね。今でもこの表現はよく使うのでしょうか。rakeなら、たまに聞く気がします(私以外に使われるのを)。

思わぬところで(熊手に)ひっかかりましたが、問題はその後。
現代版"A Study in Pink"では、屋外のベンチでコーヒーを飲んでいた二人。手の中の紙コップにはしっかり"The Criterion"の文字。

クライテリオン酒場のまえにつっ立っていると、肩をたたくものがある。ふりかえってみると、聖バーソロミュー病院時代私の下で助手をつとめていたスタンフォード青年である。(『緋色の研究』)



現代版ではいかにも21世紀の若者らしく「外でコーヒー立ち飲み」でしたが、今回はちゃんとクライテリオンで飲めたね!原作通り!(※追記2)


……と思いきや、原作ではもう一軒出てくるのです。

In old days Stamford had never been a particular crony of mine, but now I hailed him with enthusiasm, and he, in his turn, appeared to be delighted to see me. In the exuberance of my joy, I asked him to lunch with me at the Holborn, and we started off together in a hansom.

スタンフォードとはそのころ、なにも特別に親しくしていたというわけでもないのだが、私は狂喜した。むこうも私に会ったのを喜んでいるらしい。私はうれしさのあまり、ホウボーン料理店で昼食をおごるからというわけで、辻馬車に乗って出かけた。(『緋色の研究』)



原作では、クライテリオン酒場→ホルボーン料理店→聖バーソロミュー病院(バーツ)、と移動してたんですね。
辻馬車を使っているので、そこそこ離れているのでしょう。
どれも実在のお店や病院ですが、ホルボーンはすでに閉店しているようです。

クライテリオン(ピカデリーサーカス)


今でも、ちゃんとプラークが!


1881年1月1日、ここクライテリオン・ロング・バーにて、バーツの手術助手スタンフォードがジョン・H・ワトスン博士に出会い、彼を導いた——不朽の名声、そしてシャーロック・ホームズへと (拙訳)


スタンフォード君の偉業、ここにあり!

聖バーソロミュー病院


ホルボーンが閉店しているから省略して、二人が話り合う場所をクライテリオンに変更した、というのもあるでしょうが、原作を読むと「本人も言ってるけど、ワトスンってお金ない割に金離れがいいなあ」って思うんですよね。

There I stayed for some time at a private hotel in the Strand, leading a comfortless, meaningless existence, and spending such money as I had, considerably more freely than I ought.

ロンドンで私は初めしばらくのあいだ、ストランドのあるホテルに滞在して、つまらない無意義な生活をただ漫然とおくり、持っていた金をかなり不相応に使い荒していた。



クライテリオンでも立ってたからには飲んだんだろうし、ホルボーンでもスタンフォード君とワイン飲んでる描写がある。
ここで”A Study in Pink"の紙コップコーヒーを思い出すと、21世紀のワーキングプアなめんなよって気持ちになります(ジョンじゃなくて私が)。

【追記:2016.2.27】こちらは、「シャーロック・ホームズの世界」主宰、みっちょん様こと関矢悦子様にいただいた19世紀当時の写真です。

ホウボーンの鉄道陸橋

こちらは、劇中の背景。BDを再生したものを携帯で撮ったので、画像が見えづらくてすみません。
でも、同じ風景ですよね!
ホウボーン

みっちょん様によると、ここは既に「ホルボーン(ホウボーン)」と呼ばれる地区だそうです。
すると、ワトスンとスタンフォードはホルボーン地区で出会って、わざわざピカデリーサーカスまで移動したことになる!
この日のワトスンとスタンフォードの足どりについて、詳しくはみっちょん様の記事をごらんください。地図つきでとってもわかりやすいです。
『忌まわしき花嫁』との関連についても、追記してくださっています!

【追記:2016.2.27】ワトスンとスタンフォード、また左手の男性二人連れの背景の窓ガラスに店名のロゴが見えています。
このことをみっちょん様にお話したところ、「同じように窓ガラスに書かれた文字+ワトスン、という構図の挿絵がある、と教えていただきました。


シドニー・パジェットによる挿絵(『白銀号事件』)ですが、ワトスンの背後に(おそらく喫煙車両を示す)”SMOKING"の文字が見えます。
それにしても、メールで教えていただいた画像を観るだけで「あ、ワトスンだ」とわかってしまったことで、この後出てくる「挿絵画家のせいで、読者に僕だと認識してもらうためだけにヒゲをのばす羽目になった」というワトスンの嘆きに納得しました。刷り込まれた『特徴』のアピール力ってすごい!)
「列車」も「ガラス」も、この後登場しますね。また別項を立てたいと思います。

(原作からの引用は延原謙訳から)
関連記事
スポンサーサイト

この記事へのコメント

スタンフォードふたたび - midori - 2016年02月09日 17:55:01

新作について話せる場をありがとうございます。実はDVDは通しで1回しか観れてないし、妄想が先走るので入れ子構造へのコメントもうまくまとめられず、軽く苦悩してました(^_^;)

現代版や原典の言い回しや場面の再現、本当に多かったですよね。私の耳でも、あ、このセリフ知ってる!と思えたシーンは数え切れない。

ジョンの背後のクライテリオンらしき文字、私もチェックしました! あの頃の紳士の昼酒と今時の成人男子のスタバ系コーヒーのお財布への負担感は同じ位なのかしら。でも本気でビンボーならそこは缶コーヒーやで、ジョン!

ところでマイパレ劇場にジョンもスタンフォードもいて嬉しいですよね。S3E3ではマイパレにジョンはいないのがファンの間の定説のように思いますが、私はメアリーと同じ部屋にしまってあったため彼女に阻止されただけでその奥にジョンもいたのではないかと考えてました。そしてきっとスタンフォード関連のお部屋もあるのですよね。

余談ですが先日パスポートの更新に塚口まで行きまして、ナツミさん憧憬のロサンサンは確かこの辺り…と劇場前まで行ってみました。落ち着いたオレンジとブラウンの外観でしたよ。しかもTSUKAGUCHI SUNSUN THEATER などとお洒落なロゴで。ロサンサンちゃうんや!(もともと違)

私はセブンカフェ派 - ナツミ - 2016年02月11日 10:01:06

midori様

私こそ、日本上陸を待たずに突撃組の方々とお話ができてうれしいです~!
記事についてはあまり信用しないようお願い致します……


> ジョンの背後のクライテリオンらしき文字、私もチェックしました! あの頃の紳士の昼酒と今時の成人男子のスタバ系コーヒーのお財布への負担感は同じ位なのかしら。でも本気でビンボーならそこは缶コーヒーやで、ジョン!

そこなんです、私も「ひょっとしたらコーヒーよりワインの方が安かったとか…?」と不安になって調べてみたんですよ。まだ結論は出てないのですが、たぶんそんなことない……と思います。
想像するとジョンに缶コーヒーが似合いすぎて、いっそCMやって欲しいくらいなのですが(銘柄は『BOSS』希望)、ロンドンにはあんまり売ってないのかもしれないですね~。クライテリオンバックスコーヒーが、お安いことを祈ります。

> ところでマイパレ劇場にジョンもスタンフォードもいて嬉しいですよね。S3E3ではマイパレにジョンはいないのがファンの間の定説のように思いますが、私はメアリーと同じ部屋にしまってあったため彼女に阻止されただけでその奥にジョンもいたのではないかと考えてました。そしてきっとスタンフォード関連のお部屋もあるのですよね。

「マイパレにジョンはいない」にまず気づいてませんでした!それに気づけていたら、このお話は感慨深かったでしょうね……。
個室を与えてくれるくらい仲良かったどうかはわからないですが、それなりに仲良しだと嬉しいですね。研究室でおしゃべりする仲ですし、変人扱いされがちなホームズやシャーロックを面白がってくれる大らかな人ですもんね。

> 余談ですが先日パスポートの更新に塚口まで行きまして、ナツミさん憧憬のロサンサンは確かこの辺り…と劇場前まで行ってみました。落ち着いたオレンジとブラウンの外観でしたよ。しかもTSUKAGUCHI SUNSUN THEATER などとお洒落なロゴで。ロサンサンちゃうんや!(もともと違)

おお、なら地元民は間違えようがないのですね!(そもそも『塚口』を間違えないか……)よそ者ぶりを発揮してしまった…!

紙コップじゃない! - YOKO - 2016年02月26日 12:23:13

私も見てきました~~!映画館だと巻き戻しできないのがもどかしい・・・ので細部はまだあまりわかってませんが。
「19世紀はちゃんとクライテリオン酒場で飲んでるじゃん!」と思いました。
それだけで、もう、嬉しくて嬉しくて。

セリフも21世紀と同じのがバシバシ登場してて、コツコツ和訳してきたおかげで、私でも結構聞き取れたりして嬉しかった。全体的に嬉しくて浮かれてみてました。

嬉しい発見 - ナツミ - 2016年02月28日 01:34:28

YOKO様

> 「19世紀はちゃんとクライテリオン酒場で飲んでるじゃん!」と思いました。
> それだけで、もう、嬉しくて嬉しくて。

そうそう、そうなんですよ~~!
S1から観ていたファンはやっぱり嬉しいですよね。(『ご新規さんへの気遣い』みたいなものについて、別記事で語った後なんですけど、やっぱ根本的にオタク嗜好を持った人向けの作品なんですよね……)

> セリフも21世紀と同じのがバシバシ登場してて、コツコツ和訳してきたおかげで、私でも結構聞き取れたりして嬉しかった。全体的に嬉しくて浮かれてみてました。

私も、シリーズ3作を経て和訳のスピードは飛躍的に上がりました。ただ、私の場合英語はうまくなってないのですが……SHERLOCK的言い回しに慣れてきた、のかな。

上達してる!というのを肌で感じると嬉しいですよね!YOKOさんは中国語もお出来になるので、たくさんのもどかしさと嬉しさを積み重ねていらっしゃるのではないかと思います。阿片窟の場面の中国語表示はいかがでしたか?今度教えていただけたら嬉しいです。

トラックバック

URL :

プロフィール

Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

ご閲覧やRSS登録ありがとうございます!まだ廃墟じゃありませんよ~!亀の歩みですが、過去の振り返りも含めてのんびり元ネタ探し続けていきたいと思います。

メールはこちらへ

Twitter
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
索引
このブログで考察した「元ネタ」を、ドラマの時系列に沿って探すための索引サイトです。 順次更新致します。 「21世紀探偵・ブリキの文書箱」
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR
blog mura
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。