最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
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レンスター・ガーデンズの冒険

シャーロックがメアリを呼び出したレンスターガーデンズ
リンク先にある通り、ロンドンに実在する場所です(放映翌日には、きっちり『SHERLOCKで使われた』という情報が付加されてた!)。劇中ではthe empty housesとも表現されていますが、ホームズで空き家といえば、もちろん第3シリーズ1話のタイトル元ネタにもなった、ホームズの復活譚「空家の冒険("The Adventure of the Empty House")」。
ここで言う「空き家」とは、ベーカー街221Bの向かいに位置するカムデン・ハウス(Camden house)。

ホームズがロンドン市内のぬけ道に明るいことは、真に驚くべきものがあった。この晩も彼は何のためらうところもなく、私なぞは存在すら知らなかったような厩舎のあいだをぬけて足ばやに歩き、古い陰気な家のたち並ぶ小さい通りへ出たと思ったら、そこからマンチェスター街へ、そしてブランドフォード街へ出た。と思ううちまた素ばやく狭い通路へとびこんで、木の門を潜り、人けのない裏庭に入ると、鍵をだしてとある家の裏戸をあけ、二人がなかに入ると急いであとを閉めた。
(中略)
「ここがどこだかわかるかい?」
「おお、ベーカー街じゃないか!」私はほこりだらけの窓からそとをのぞいてみた。
「その通り。ここはカムデン・ハウスだよ。そら、僕たちの家のま向かいにあったろう?」



この記述をもとに、多くの人たちがカムデン・ハウス及びベーカー街221Bを見つけ出そうとしたのでしょうね。(私も横浜に住んでいた時、馬車道で「あの窓がきっと御手洗・石岡の住居」と勝手に設定したりしてたので、気持ちはよくわかります……)

外壁にメアリの顔を映し出すシャーロック。美人のメアリならともかく、アレをやられたらそれだけで死ねます、私。
"Sorry, I never could resist a touch of drama."(『すまない、芝居がかりにやらずにはいられなくてね』)というシャーロックの台詞は「海軍条約文書事件」から。劇的な演出が過ぎて、依頼人を卒倒させかかった場面。

「こりゃどうも!」ホームズはフェルプスの肩をやさしくたたいて力づけながら、「こりゃどうも、薬をきかせすぎて、悪いことをしましたな。ワトスン君はよく知っていますが、私はとかく芝居がかりにやらないじゃいられない癖があるもんで……」



原作でメアリが出てくる「四つの署名」では、「僕は芝居がかりは嫌いだ」って言ってるんですけどね。総合的に見て、やられるのはともかくやるのは好きなんだと思います。
外壁にメアリの映像を映し出すには、おそらく投影機を通りの反対側に据え付けたと思うのですが、これは221Bにいるホームズを通りの反対側から狙撃しようとしたセバスチャン・モランを連想させます。(まったくの余談ですが、「撃つ」と映画を「撮影する」が同じshootなのが、感覚的に納得いかない私。何かをこちらから向こうにすばやく移動させる、というイメージなら、撮る(映像を取り込む)んじゃなくて投影する(映像を放出する)方がshootなんじゃないか?といつも思っちゃいます。たぶん『こちらから向こうに』というとこに誤解があるんでしょうね。)

「空家の冒険」つながりで、「ダミー人形のトリック」にもちゃんと触れられてますね。
原作でモランが撃ったのは、ホームズ本人ではなくその胸像。「マザリンの宝石」にも似たトリックが出てきます。
リンク先にあるように、「マザリンの宝石」はもともとドイルの手掛けた戯曲。この戯曲が書かれたのは「空家の冒険」より前ですが、犯人はモランだったそうです(その後、『空家の冒険』でこの名前を使ったため、正典版『マザリンの宝石』の犯人は『シルヴィアス伯爵』に変更されています)。モランとホームズ像はワンセットなんですね。
メアリはモランにも劣らない射撃の名手のようですが、「空家の冒険」の中で、自ら編集した「伝記便覧」の中からモランの名を探しながら、ホームズはこんなことを言います。

「 Mの部は秀逸ぞろいだな。モリアティは全巻を通じての大ものだが、そのほか毒殺業者のモルガンがあるし、ここには思い出しても胸の悪くなるメリデューがあるし、マシューズがいる。こいつはチャリング・クロス駅の待合室で、僕の左の犬歯をたたき折った奴だ。それから、ああ、ここに今夜の先生がいた」



一番の強敵はメアリ・モースタン(Mary Morstan)だけどね!
……という読者からのツッコミは、この120年間いい加減使い古されてると思うのですが、ここに来て具体化した感じ……。

さて、このレンスター・ガーデンズ、ドラマ世界ではシャーロックの所有物となっているようです。

"'Hmm, I won it in a card game with the Clarence House Cannibal."
「『クラレンス・ハウス の人食い』から、トランプで勝ち取った」(拙訳)


クラレンス宮殿はチャールズ皇太子の住居。続く台詞から、その「人食い」が女性であることがわかります。

"Quite a gambler, that woman."
「あの女、 生粋のギャンブラーだった」(拙訳)


この情報で、ロンドン市民はピンとくるのかな。追及は自粛するとして、「人食い」が比喩でないとすれば、食人が出てくるのは「四つの署名」。ジョナサン・スモールの仲間・トンガの出自を調べるため、ホームズが当時最新の地名辞典を紐解く場面です。

「(前略)彼らは難破船を襲撃してその生存者を石頭の棍棒で殴殺し、毒矢を放つのでつねに航海者に恐れられる。これらの虐殺により彼らは食人肉祭を行うをつねとする」



食人は関係ないと思いますが、毒矢を使う犯人は"The Sign of Three"の回想シーンにちょこっと出てきました。
過去記事:「毒の巨人

検索したら、最近の「人食い」にまつわるニュースや、SNSで出回っていたらしい「見ると寿命が縮むイギリスの人食い女画像」とか出てきたのですが、リンクは控えます、ていうか、したくないです……

カードで勝った、ていうのにも、やっぱり「空家の冒険」のロナルド・アデヤ卿事件を思い出しますね。

「(前略)調書によれば、ロナルドは大佐と組んで、かなりの金額を勝っている。大佐はカードでインチキをやるのだ。そのことはずいぶん前から僕は気がついていた。思うに殺された日、ロナルドはそれを見破ったのだ。(後略)」



(原作からの引用はすべて延原謙訳)
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この記事へのコメント

求む同好の士 - 神崎真 - 2015年01月19日 13:20:46

> 一番の強敵はメアリ・モースタン(Mary Morstan)だけどね!

な る ほ ど(笑)
確かに、一時であれ、ホームズからワトソンを奪い去ったメアリーは、シリーズを通して一番の強敵だったのですねvv
現代版でのダミー人形のトリックというと、ジョンがシャーロック……と見せかけた人形……と見せかけて座ってたアレでしょうか。
最初に見た時、キタキタキタ~~vv と画面のこちらで小躍りしておりました。
やっぱり、こういう散りばめられた原作由来の小ネタを見つけると、嬉しくなってしまうのがファンのサガなのでしょうね(苦笑)

先日ようやくガイ・リッチーのシャドウゲームを見たのですが、やはり随所でニヤニヤしていました。
……一緒に見ていた家族の中で、モラン大佐の名前を知ってるのが自分一人というあたりが、ちょっぴり寂しかったです。

私も求む! - ナツミ - 2015年01月19日 22:59:58

神崎 真様

> 確かに、一時であれ、ホームズからワトソンを奪い去ったメアリーは、シリーズを通して一番の強敵だったのですねvv

戦えない相手が、ある意味一番の敵なんですよね……
その点において、ロバート・ダウニー・Jrホームズのメンタルの強さは桁外れだと思います。新作まだかなあ……

> 現代版でのダミー人形のトリックというと、ジョンがシャーロック……と見せかけた人形……と見せかけて座ってたアレでしょうか。
> 最初に見た時、キタキタキタ~~vv と画面のこちらで小躍りしておりました。

アレです!私はひぃ~~!バレてるよメアリ!ジョン怒ってるよ!その髪型可愛い!と大混乱でした。(最後のは)

> やっぱり、こういう散りばめられた原作由来の小ネタを見つけると、嬉しくなってしまうのがファンのサガなのでしょうね(苦笑)

本当ですね。踊らされてますね。

> 先日ようやくガイ・リッチーのシャドウゲームを見たのですが、やはり随所でニヤニヤしていました。
> ……一緒に見ていた家族の中で、モラン大佐の名前を知ってるのが自分一人というあたりが、ちょっぴり寂しかったです。

ああ、そのお気持ちわかります。うちの両親なんて、ワトスンすら知っているかどうか微妙です。
誰にも聞いてもらえない私の長い話の、行きつく先がこのブログです。

ロンドンから - 篠田真由美 - 2015年03月24日 14:50:55

ご無沙汰しています。ロンドンにきています。日本食が色々定着したとはいえ、1ポンドが二百円近いレートで、カツカレー一皿10ポンドとは、デフレに馴染んだ身で卒倒しそうですが、その他は快適。
そして宿から歩いて行けるところにこの、レンスターガーデンが。しっかり写真撮ってきました。ホームズ博物館には昨日行き、今日はテートブリテン開館前にノースガウアーストリートを。
い、いやっ、気がついたら妙にその辺への足の便がいいところでした、パディントン駅近くの安宿は。いえ、決して安くはないんですよ。メイド部屋のようなシングルが、早割先払いで65ポンドですから。ああ、いつか日本は貧乏国に。

ロンドンだより、ありがとうございます! - ナツミ - 2015年03月25日 07:19:35

篠田真由美様

わあ、ロンドンからのコメントありがとうございます!「お仕事日誌」での旅行記拝見しております。
ドアノッカーから察するに、シャーロックは在宅中だったようですね。うらやましいです!
しかし、物価が高いですね……食費が一回2000円近くかかってしまうとは……
デフレ日本か……ご飯を作るのをさぼって割高といわれるコンビニご飯にしちゃっても、500円以内でどうにかなっちゃうから、生活能力のない私でもなんとかやっていけるんですね……
もしロンドンに行けたら、10年以上前に行った時は出会えなかったオーガニック系のデリをぜひ試したいと思っているのですが、やっぱりお高いのかな?日本でも高いですもんね。

> そして宿から歩いて行けるところにこの、レンスターガーデンが。しっかり写真撮ってきました。ホームズ博物館には昨日行き、今日はテートブリテン開館前にノースガウアーストリートを。

メアリとビリーが言葉を交わしたその場所に立たれたのですね!すごい!
パディントン駅の近く……といえば、(原作で)新婚時代のワトスンが医院を開業したところですね!そのあたりも"His Last Vow"に合ってますね。
その頃のワトスンがパディントン駅の駅員さんに妙に懐かれて「(他の医者に逃げられる前に)ケガ人つかまえてきましたぜ!」と言われるエピソードはすごくジョンっぽい(そう言われたマーティンの表情が目に浮かぶようです)ので、なんだか「パディントン駅」と聞くとニヤニヤしてしまいます。その上地の利がいいなんて、私も泊まりたい!しかしそのお値段……(泣)

ロンドン博物館のホームズ展にも行かれたようですね。もうすぐ終わりなんですよね。
残りの旅程もどうぞお気をつけて、楽しんでいらしてくださいね。

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Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

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