最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
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ジャニーンとアガサ

これまでもさんざん触れてきましたが、ホームズは完璧なヒーローではありません。失敗も欠点もたくさんありますし、捜査のためなら手段を選ばないことも。
中でも、「最っ低」と言われかねないのが、「犯人は二人」のアガサ問題ではないでしょうか。

「君は僕のことを、結婚したがっているとは思わないだろうね、ワトスン君?」
「思わないとも!」
「その僕に婚約ができたときいたら、びっくりするだろうね?」
「えッ! そいつはおめで……」
「相手はミルヴァートン家の女中さ」
「おやおや、なんだってまた……」
「聞き込みがほしかったんだよ」
「それにしても、婚約とはちと深入りしすぎたよ」
「止むをえない措置だったんだ。まず景気のいい鉛管工になったのさ。名まえはエスコットというんだ。毎晩彼女を散歩につれだしてね。のべつおしゃべりをしたものさ。うっふ、ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃだ!だがおかげで、知りたかったことはみんなわかった。ミルヴァートンの家のなかは、まるで自分の手のひらをさすほど詳しく知っている」
「だってその娘がかわいそうじゃないか」
「しかたがなかったんだ」ホームズは首をちぢめて、「場にこんないい札の出ているときは、全力をつくして札を打たなきゃならない。(後略)」



「(前略)だがいやしくも紳士というものは、絶望のどん底に沈んだ貴婦人から助けを求められたら、自分の危険など顧みているべきじゃなかろう?」



……ダメだダメだ、どんなにフォローしてもしきれん!なんという下衆っぷり。
結婚詐欺だけでもどうしようもないですが、さりげなく騎士道精神をアピールしてるとこがほんっと腹立ちますね!お前がその口で言うなって話ですよ!ワトスンもワトスンだ、アガサをかばうなら最後までかばえよ!

怒るだけ怒ったので、ハイ現代版。

"Sherlock, she loves you."
"Yes. Like I said, human error."
"What are you going to do?"
"Well, not actually marry her, obviously.There's only so far you can go."
"So, what will you tell her?"
"Well, I'll tell her that our entire relationship was a ruse to break into her boss's office. I imagine she'll want to stop seeing me at that point, but you're the expert on women."

「シャーロック、 彼女は君を愛してるんだぞ」
「そう 言った通り。人的なエラーだ」
「どうするつもりだ?」
「うーん、実際に結婚しないのは確かだな。そこまではちょっと」
「じゃあ、彼女になんて言う?」
「そうだな、僕らの関係はすべて君の上司のオフィスに押し入るための嘘だったんだ、と言う。それでもう顔も見たくなくなるだろう。君は女性のエキスパートだから、別の見解があるかもしれないが」(拙訳)


最後のは「第二の汚点」からですね。

“Now, Watson, the fair sex is your department,”
「ワトスン君、女性は君のうけもちだ」



二人が忍び入ったところに先客の刺客がいるのは、原作通り。
マグヌッセンのガードマンが白人至上主義者なのは、「オレンジの種五つ」を思わせます。
ホームズが香水を嗅ぎ分ける能力を披露する場面は、「バスカヴィル家の犬」に出てきます。

「(前略)いやしくも探偵だというからには、かならず鑑別できなければならない香料が七十五種ある。僕の経験からいっても、においを敏速に鑑別し得たために事件が解決したことは二度や三度ではない。(後略)」



時代が違うせいか、ジャニーンの小悪魔的なキャラクターが前回から描かれていたせいか、シャーロックが原作のホームズみたいにもっともらしく大義名分を振りかざさないせいか、個人的にはそれほど腹立たしくないかな……

人的ミス、つまり個人の愛情を弱点として利用する方法は、第2シリーズではアイリーンからパスワードを引き出す決め手にもなり、シャーロックにとつても、ジョン、ハドスンさん、レストレードへの友情がジムと戦う上での弱みになっています。

原作と違うのは、ジャニーンの復讐と二人の和解が描かれているところ。
シャーロックとのゴシップをタブロイド紙に売ったお金で、田舎にコテージを買うというジャニーン。


"Sherlock Holmes, you are a back-stabbing, heartless, manipulative bastard."
"And you, as it turns out, are a grasping, opportunistic, publicity-hungry, tabloid whore."
"So, we're good then?"
"Yeah, of course.Where's the cottage? "
"Sussex Downs."
"Nice."
" It's gorgeous.There's beehives, but I'm getting rid of those."
「シャーロック・ホームズ、あなたって裏切り者で冷血で、確信的クソ野郎ね」
「そして君は貪欲で日和見で、目立ちたがり屋でタブロイド大好き女というわけだ」
「じゃあ、おあいこね?」
「ああ その通りだ。 コテージはどこ?」
「サセックス・ダウン」
「いいね」
「ゴージャスよ。ミツバチの巣があるの。私が処分しちゃうけどね」(拙訳)


サセックスダウンは、原作のホームズが引退後養蜂をやっていた土地。
「処分しちゃう」というのは、時を超えた小さな復讐になるのかな。

現代版のこのくだりが「腹立たしくない」理由が、もうひとつあるような気がします。
それは、ジャニーンの去り方が清々しいこと。
「シャーロックが自分を騙していたこと」にはもちろん怒り、しっかりちゃっかり「利益の伴う復讐」をしているけれど、「自分が恋に落ちたこと」は自分の問題である、と割り切っているように、彼女は見えます。
きっと、画面に映っていないところで泣いたろうし、この場面でも内心つらいと思うんです。でも、自分に起こったことの全部をシャーロックのせいにはしない。やられた分きっちりやり返したら、残った感情は、自分の問題として自分がなんとかするしかない。
それは、たくさん恋をしてたくさん傷ついた経験のある人にしかない潔さで、シャーロックにとっては眩しいものではないでしょうか。昼の光に包まれた彼女は強かで、思慮深く、美しい。がんじがらめになったシャーロックや、闇に紛れて嘘を塗り固めにくるメアリよりも、ずっと輝いて見えました。
(もちろん彼女とて、マグヌッセンを裏切った報復はきっちり受けたわけで、その後どうなったか気になるのですが……)

原作のアガサは、どんな女性で、あの後どういう人生を送ったのでしょう。
ワトスンの知らないところ(=書かれていないところ)で、新しい一歩を踏み出せるような素敵なことが彼女に起こっていたなら良いのですが。
はじめに引用した原作の、ホームズがアガサについて述べる文章は、こんな風に続きます。

"However, I rejoice to say that I have a hated rival, who will certainly cut me out the instant that my back is turned."



このrivalを延原謙版ではミルヴァートンのことと捉えて、こんな風に訳されています。

「だが僕としては、ちょっとでもすきを見せたが最後、かならず切りつけてくるような手ごわい相手を持っているかと思うと本望だよ。」



でも、rivalをホームズの「恋敵」と解釈すれば、「僕が背を向けたとたんに、アガサを奪おうとしている男がいる」とも読めますね。アガサもまた、ジャニーンのように恋多き女性だったのかもしれません。

どんなにホームズがアガサを巧く騙したとしても、恋愛は二人のものであって、その責任の半分は彼女自身にある。
アガサが、そんな風にも考えられる心の筋力のようなものを、備えている女性だったらいいなと思います。
グラナダ版「犯人は二人」は、その辺りを上手に描いてましたね。

(原作からの引用はすべて延原謙訳)
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この記事へのコメント

お久しぶりです〜 - midori - 2014年12月09日 17:14:10

ナツミさんご無沙汰してました。なんと今年もあと3週間…びっくりです。

昨年の今頃はシャーロックの帰還を待ち侘びて危うくゴラム化しかねない感じでしたが、今年は穏やかに過ごせています。年始には英国でシャーロック新作とも聞こえてきてますが、なんの、帰還に比べたらスルーできるできるできる(本当か)


わしらの国でも探偵流行りで人形劇は絶好調だしCSで各国のホームズが観られたり三谷脚本で萬斎ポワロの翻案物あるとか色々退屈しません。有難いよお。

さて、ジャニーン私も良いキャラだと思います。それはたくさん恋してたくさん傷ついた結果…。ナルホドそうですよねー。そこまで読めてませんでした。
あぁでもあの大きい綺麗な瞳。怪我してないかなぁT_T


シャーロックとは恋愛抜きでも一緒に海で泳いだり砂浜でクラゲ突っついて遊ぶ仲になればいいかなとか妄想してます。


では皆様、今年も遊んでくれてありがとうございました。

うっかりしてると言いそびれそうなので(たいそう気が早いけど)良いお年を!

観たいものがたくさん! - ナツミ - 2014年12月09日 22:12:45

midoriさま

いらっしゃいませ!

そうですね……昨年の今頃は霊柩車が走ったり、クリスマスミニドラマがあったり大騒ぎでした。
今年の私はホビットの3部待ちで完全にゴラムです。トーリンへの心配はシャーロックへの比じゃありません。
ね、年始に新作!?新作の撮影開始ってことですか?私乗り遅れてますか!?

> わしらの国でも探偵流行りで人形劇は絶好調だしCSで各国のホームズが観られたり三谷脚本で萬斎ポワロの翻案物あるとか色々退屈しません。有難いよお。

人形劇、絶好調ですよね!特に、先日の放送(『愉快な四人組の冒険・後編』)には感動しました。
「アグラの宝物」の正体の見事な回収に、原作が好きで良かったと思えたし、飄々としたギャグに三谷幸喜が好きで良かったとも思えた。突き抜けた展開はもはや子供だましじゃなくて、子どもが笑いながらも考えられるようにできてるし、win-winにも程があるわ……
オリエント急行も楽しみです。

> さて、ジャニーン私も良いキャラだと思います。それはたくさん恋してたくさん傷ついた結果…。ナルホドそうですよねー。そこまで読めてませんでした。
> あぁでもあの大きい綺麗な瞳。怪我してないかなぁT_T

ジャニーンが本当に恋多き女だという証拠は、よく考えたらないんですけどね。
あんな言動なのに実は純情だったとしても、それはそれで萌えますが……!
きっと、マグヌッセンに容赦なく報復されたんだろうな…彼は殺人はしない主義なので直接怪我させたりはしてない、と思いたいです。でもお金は取られちゃったんだろうなあ。

> シャーロックとは恋愛抜きでも一緒に海で泳いだり砂浜でクラゲ突っついて遊ぶ仲になればいいかなとか妄想してます。

ちょっ!midoriさん!コーヒー吹きましたよ!
クラゲつっついてる二人が愛しすぎる!

midoriさんも よいお年を~!
観たい映画や番組がたくさんあって、楽しい年末年始になりそうですね。

- F - 2014年12月12日 23:46:25

はじめまして。いつも拝見させて頂いております。

> 中でも、「最っ低」と言われかねないのが、「犯人は二人」のアガサ問題ではないでしょうか。
> (中略)
> ……ダメだダメだ、どんなにフォローしてもしきれん!なんという下衆っぷり。

この点について、幾つか反論を。

ホームズは「景気のいい鉛管工」を演じたまでに過ぎません。
わざわざ「景気のいい」と前置きしていることからも、何らかの品物等を贈るなどして関心を買ったことも容易に推測できますよね。
女性側も、それなりの品物とロマンスを得られたということで諦めてくれるだろうと計算した上での行動かと思います。

また、ホームズは法よりも自己規範を最重要と考える人物ですので、当人は詐欺とすら思っていないでしょう。
むしろ、単なる婚約の口約束程度で重要な情報を確実に得られるのであれば、間違いなくそれを実行するはずですし、それをしないのはホームズではないといっても良いかと。

ワトスンは、ホームズよりは社会の法や規範を重要視しますが、それゆえに女中という階級にいる女性に対してフォローをしようとは特に考えないでしょう。

くれぐれも忘れないでほしいのは、ホームズは(少なくとも表面的には)女性を信頼していないという点です。
その点、シャーロックは相手に僅かなりとも良心の呵責を感じているような描写があるので多少は救われていますね。

それをしないのはホームズではない! - ナツミ - 2014年12月13日 06:03:13

F様

はじめまして。コメントありがとうございます!
そして、「反論」大歓迎です。

> 女性側も、それなりの品物とロマンスを得られたということで諦めてくれるだろうと計算した上での行動
> 当人は詐欺とすら思っていない
> ワトスンも女中という階級にいる女性に対してフォローをしようとは特に考えない

ええ!全くその通りです!その通りなんですが、ご指摘いただいた点、その全てに対して腹が立つんです!

「『最っ低』と言われかねない」などと、世間一般の方々が皆そう思っているような書き方をしたのは、いささか卑怯でしたね……!生きている時代も考え方も違う人間に対して、「腹が立つ」のは私の個人的な考えに過ぎませんものね。その点に関しては、F様の「反論」に同意させていただき、お詫び致します。

もちろん、「女性を信頼していない」ホームズの人格を全面的に否定したいわけではないのです。F様のおっしゃるように、「それをしないのはホームズではない」ですものね。
ただ、その行動を私個人として愛おしく思うことも、疎ましく思うこともあります。
ホームズに対してもシャーロックに対しても、その言動に感動することもあれば、「すっげえ腹立つ!」となることもありますし、この記事の末尾のように、自分の感覚に引き寄せて折り合いをつけることもあります。
そういった「私の気持ち」をこのブログに綴ってしまうことはこれからもあると思うのですが、ご容赦いただけますでしょうか。

今回F様がしてくださったように「ん?それはちょっとズレてるんじゃない?」というご指摘をいただいてホームズやシャーロックへの考えが更新されたり、、自分自身の人間観も振り返っていければ、それがブログというツールで考えを発表していく上での私の愉しみです。
「反論」ありがとうございました。そういうホームズだからこそ好き、という側面も確かにあります。
「ありのまま」を受け入れることって大事ですよね。私、狭量でした……(←小説やドラマを超えて色々と反省材料がある私)

>シャーロックは相手に僅かなりとも良心の呵責を感じているような描写がある

ひょっとしたら、原作でもそうだったのかもしれませんね。ワトスンがホームズの心の逡巡を描写しないように、ホームズはあえて冷淡を装ったのかも…… 作品の上でホームズのしたことが正当化されたことを知ったら、それこそアガサは傷つきますもの。
私のような考えの浅い一般大衆が「きーっ!なんてひどい男!」と彼女の味方になるのを見越して、あえてああいう言動になったのかもしれません。(『ありのままを受け入れる』などと言っておいて、舌の根も乾かぬうちにこんな妄想を書いて申し訳ないです……)

それと、この場をお借りしてもう一つ。(F様、すみません)
「否定の言葉」は「賞賛の言葉」に比べて強く書いてしまいがちです。私の拙い表現ではなおのこと、お読みになって不快なお気持ちになった方がいらっしゃるかもしれません。その点に関しては申し訳ありませんでした。これは、読んでくださった方すべてにお詫びしたいと思います。

F様、勉強させていただいて、改めてありがとうございました。また遊びにきていただけたら幸いです。

お詫び - midori - 2014年12月13日 09:08:31

おはようございます。年末のご挨拶した舌の根も乾かんうちにまたお邪魔します。本日ホビット3公開ですね。すでにナツミさんは「いとしいしと」に会いにお出かけなのでしょうか。

シャーロック新作、台本読み合わせが先月末に行われたと聞いてましたが撮影はまだでしたか。放送日も未定ですか。てっきり60分スペシャルとかで簡単に撮って2月にはDVD〜ポンド高だけど昨年のDoctorWho50thSpecialとXmasSpecial合わせてAmazonUKでポチとか浮かれてたのですが。

↓例えるとこんな感じでしょうか。

美味しそうなおサカナ=ホームズものを多数発見するゴラムちゃん→浮かれて歌い踊るゴラムちゃん→実は一番太って美味そうなおサカナ=シャーロックスペシャルが見間違いと知って頭抱えるゴラムちゃん。
「なんだよ!ひどいよ!なんでだよ!いとしいしと!」(単なる本人の勘違いです)


ガセネタ流して大変失礼しましたm(_ _)m

大晦日にはBSPでロードオブザリング3部作観よ( ̄▽ ̄)

ホームズの女性観は? - 篠田真由美 - 2014年12月13日 17:37:20

いつも楽しく拝読させていただいています。そしてごめんなさい、いまだに原作ホームズをちゃんと読めていないです。
しかしただいま仕事でヴィクトリア朝関係の資料を30冊以上どか読みしまして、メイドさんの回想記などもあるものですから、19世紀の女性労働の過酷さに胸が痛んでしまいます。そして当時メイドは、雇用者である上層階級男女には、酷使されつつ当然のように差別されていたようです。
ホームズが探偵として、女性家庭教師にはしないような利用の仕方をメイドにはした、というのは、やはり現代人の目から見れば身分差別(女性に恋愛は求めないが、家庭教師には敬意を払う、メイドには払わない)だと思うのですが、それは大衆雑誌の読者層とドイル自身の意識の反映として、いたずらに現代的価値観をあてはめるべきではないとも思います。
なんか、まとまらない文章ですみません。

似て非なるUKとJP - billylab - 2014年12月14日 11:18:15

midoriさん
Fさん
篠田真由美さん
こんにちは
とつぜんの横レス失礼いたします。
(ほかの記事へのコメントも楽しく読ませて貰っていますm(__)m)

& ナツミさんの記事内での 鋭いツッコミ、笑わせてもらいました。
シャーロック・ホームズは賢人、ワトスン先生は善良なる市民、という
一般的イメージと、原作での発言に「???」と感じる落差、
ナルほど、です。
現代版でも それを突っ込んだりフォローしたりしている気がします。

また、コメント欄でみなさまが指摘しているとおり、女性の人権(?)に
関しては、時代がそうだった、というのもあると感じました。
同じUKのポアロものだと、長寿番組のせいか、初期作品の女中さんは、
見るからに粗野な風貌をさせられているんですよね〜。
髪とかもバッサバサで。(小綺麗な人もいますが)
働く女性も平等に…と、考えられるようになったのは、UKでも
最近のことと 思います。
階級の感覚は けっこう根深いようで。
自分は UKの試験官によるテストを受けたことがあるのですが、
その時の校長先生によると(学校は日本の、です)、
‘日本人は ほぼ総中流で 一般に誰でもある程度の教育を受けている’、
という事を 先方に理解してもらうことが、大変だったそうです。
つまり けっこう最近まで、“労働者=無教養”という意識が強かった。

まぁ、日本も 時代劇ではお城の人間と町娘では、しゃべり言葉まで
違うように 描かれますが…。(^^;)
でも、勤労を美徳とする日本とは、ちょっと感覚が違いますね〜。

名推理だ…… - ナツミ - 2014年12月14日 20:31:28

midori様

> 本日ホビット3公開ですね。すでにナツミさんは「いとしいしと」に会いにお出かけなのでしょうか。

さ、さすがmidoriさん……
初めの2行を翻訳すると
「君は休日の朝にはめったに更新しない。惰眠をむさぼっているからだ。なのにホビット公開日の今朝、朝6時台からコメントを返信、プロフィール欄まで更新している。すでに出かけているのは明白だ」
ということですよね……その通りです。Fantasticです。
Happy Socksで靴下を買い、「決戦の行方」を観て「八月の鯨」で飲むという大はしゃぎっぷりです。
でもわしら映画で泣いたよ……当分立ち直れないよいとしいしと!

> シャーロック新作、台本読み合わせが先月末に行われたと聞いてましたが撮影はまだでしたか。放送日も未定ですか。てっきり60分スペシャルとかで簡単に撮って2月にはDVD〜ポンド高だけど昨年のDoctorWho50thSpecialとXmasSpecial合わせてAmazonUKでポチとか浮かれてたのですが。

いえ、私のほうが全然情報収集できてなくて……年明けから撮影、来年末にクリスマススペシャル、再来年初めにS4と聞いていたような気がするのですが、きっと続報が出ているのでしょうね。
お詫びなどとおっしゃらず、またオサカナが来たら、教えていただけたら嬉しいです。

ご教示に感謝します - ナツミ - 2014年12月15日 07:31:03

篠田真由美様、billylab様、コメントありがとうございます。
ご返信をまとめてしまって、失礼致します。
F様も含めて、特定のどなたかに、というわけではなく、皆さんにお話ししたかったので、こういう形にさせていただきました。
お話の前にひとつだけ……

> しかしただいま仕事でヴィクトリア朝関係の資料を30冊以上どか読みしまして、

篠田先生、まずここにめちゃくちゃ食いついてしまいました。次回作のための取材をなさっているのですね~!

さて、先日ここでお話させていただいたF様や、現在まさにヴィクトリア朝の資料を読み込んでいらっしゃる篠田様、英国と深く関わった方から直接お話を伺ったというbillylab様と、いずれも英国の社会や歴史に造詣の深い方々からコメントをいただいたわけですが(ありがとうございます!)皆様のコメントに共通しているのは、「現代の価値観で19世紀の小説を語るべきではない」というお叱りのお言葉かと思います。(皆様、ご配慮ある書き方をしてくださっているので、『叱られた』という受け取り方は大げさだよ!と思われるかもしれませんが、正すべきことを人に告げるのは、大きなエネルギーと優しさを必要とすることだと思いますので、心して受け止めたいと考えています。)

皆さんのご教示はありがたく賜りましたが、正直に言ってしまいますと、ちょっと驚いたのです。
このブログを始めて数年経ちますが、「ホームズやワトスンに対する感情を、現代人としての感覚を通して語ってはいけない」という自覚がまるでないまま、いろいろ書いてきてしまいました。共感も、反感も。

実をいうと、こんな私でも、いつの日か尊敬するシャーロッキアンの先生方にお見せできるような論文が書けるようになりたい、という志だけはありまして、先輩方の論文を読ませていただくなど、ささやかながら勉強をしています。
論文であれば、個人の感情を中心に据えるべきではないと思います。論文は、事実を根拠とするものですから、昔の人の行動を語るのに現代の価値観を持ちこんだら、それはノイズになりますよね。
しかし、ブログは別、と考えていたのです。

一口にブログといっても、その内容は多様です。「ホームズ、かっこいい!大好き」とだけ書いてもいいし、論文に近い形で書いてもいい。だから、「時代による意識のズレに配慮し、偏った見方や感情的な記述は排除する」という書き方も、もちろん選択することができます。(今の私にそれができる技量があるかどうかは別として……)

では、このブログでは、今後どういうスタンスをとるべきか。

「現代の感覚をもって、昔起こったことに怒ったり笑ったりする」ということは、本当に悪いばかりなのでしょうか。

(前提としてご理解いただきたいのは、この記事の中で私はホームズに対して怒ったけれど、この記事をもって彼を裁こうとしたつもりはない、ということです。小説の登場人物とはいえ、一人の人間を裁くには、それこそ論文になるくらいの根拠が必要になるでしょう。)

小説が書かれて100年以上経ってから、遠い国の一人の読者が、登場人物に怒りを見せた。そして、読んでいた人々が、その時代では当たり前のことだったんだよ、と彼女を諫めた。そういうこと全てが、一つの作品を巡る長い歴史の中で「あってもよいこと」なのではないでしょうか。
私のことは一旦置いておいて、もっと力のある方が新しい価値観で既存の作品を語ったら、その作品が今までとは違う形で理解されることにつながるかもしれません。『SHERLOCK』も、そういう考えの延長線上でできたドラマなのかもしれません。

無知や無理解を晒してしまうかもしれませんが、気持ちを言葉にすることで、それを見ている誰かの考えがすこし自由になるかもしれない。そういうことも考えた上で、「今後どのようにブログ記事を書いていくか」という先ほどの自問に対して私が出した答えは、「これからは現代っ子感覚で『ホームズまじ腹立つ』などと言わず、公平・公正な記事だけを書きます」というお約束はしないでおこう、というものです。
このブログに関しては、今回皆さんにいただいたご指摘を私なりによく考えた上で、しかし「懲りる」ことをせず、現代人であったり、女性であったりする「私」の感じたことを心のままに綴ることをお許しいただければ、と思います。

それと……呆れられてしまうかもしれませんが、これだけ皆さんに説得していただいてなお、私は「ホームズ、てめえ」と思っていたりします。
現代に生きる人間として、私もまた現代の人間の意識に疑問を抱いたり、抵抗をしたりしています。男性が暇そうにしていても、お茶が飲みたくなったら女性に淹れさせるのが当然とする上司に「てめえ」と思うのと同じように、下賤な、無教養なメイドなら騙してもよい、とする意識に「てめえ」と思うのです。
「時代の違い」や「社会の違い」は確かにある。でも、「時代や社会が違うから仕方ない」という理屈では納得しきれない、してはいけないことも、あるような気がするのです。
完全に納得できるまでは、私は愚直に「てめえ」と言い続けていくのではないかな、と思います。

過去について、未来について、自分と違う考えを持った人に対して、「自分の価値観を当てはめない」と冷静に判断することと、我がこととして「もっとこうできなかったのか」「どうすればよいのか」と胸を熱くすること、両方が必要なことですよね。
重要なのは、主張の使いどころを間違えないことと、人の意見を聞く耳を持って、考え続けることをやめないことだと、私は思います。
このブログでは、たくさん間違えて、たくさん教えていただけたら、と願っています。
史上最低の投票率で選挙の夜が明けた朝、「関心」というものがどれだけ重要で、誠意や知識、労力を要するものか、改めて考えずにはいられません。私の拙い話を聞いていただけることも、それに対してご意見をいただけることも、贅沢なことだと思います。あらためて、コメントをいただいたことに感謝致します。

- billylab - 2014年12月15日 18:23:27

おぉ、ナツミさん。
誤解させてしまったのでしたら、ごめんなさい。
> 「現代の価値観で19世紀の小説を語るべきではない」というお叱りのお言葉

では ないんですよ〜。
ホームズ氏のすることや UKの諸々の事に、
「あの時代の話じゃあ しょうがないよね」という気持ちはあれど、
ナツミさんが現代人としてコメントするのを 咎めたわけでは、けっして
ないです。
むしろ自由闊達にご意見されるのが、楽しみですョ。
それに
> 「否定の言葉」は「賞賛の言葉」に比べて強く書いてしまいがちです。
と、記述の仕方も逡巡などしてしまったのでしたら、あまり気になさらないで
欲しいです。
少なくとも、自分は 「読んで不快になりました」とは 思いませんでした−。
これもホームズ作品への愛ゆえのツッコミ、と、受け取っています。(^^)
ナツミさんのリズム感とノリのある文章が好きです。
意気消沈してしまって 固くなってしまわないと いいな、と
願っています〜。

こちらこそ、すみません! - ナツミ - 2014年12月16日 07:43:26

billylabさま

こちらこそ、お気遣いすみません!
私への批判という形にならないように、皆さんが気を遣って書いてくださったのは、よくわかっているつもりです!
ただ、「現代の価値観で19世紀の小説を語るべきではない」という話題が出た後で、平気な顔で同じような文章を書くのはどうかな、と思ったので、スタンスをはっきりさせておこうとしたのですが……
私に皆さまほどの文章力や先を読む力がないせいで、「なんでも書いてください」とお伝えしたかったはずが逆に書きづらい状況を作ってしまったとしたら、それこそごめんなさい。
billylabさんのようにニュアンスが伝わる文章を書くのは、まだ私には難しいです。
「硬さ」と「やわらかさ」の調整が下手で、急に場を凍らせて皆さんをびっくりさせてしまうことがあるので、そこらへんを勉強していきたいです。

「愛ゆえのツッコミ」と思っていただけて、嬉しいです。
この先お叱りのお言葉をいただくことがあっても、愛ゆえと(勝手に)信じて真摯に受け取ろうと思います!

- F - 2014年12月16日 15:16:31

失礼ながら再度コメントさせて頂きます。
何やらお悩みの種を撒いてしまったようで… 大変申し訳ありません。

ナツミさんの目を通してホームズやシャーロックを見たらどうなるのかという部分を含めて、いつも私は楽しく拝見させて頂いております。
「おい、ホームズてめえ」と思うのは当然であって、至極真っ当で素直な感情だとも思います。
その感情や感想自体を否定しようなどとは、私は露ほども考えておりません。

私が反論という形で示したのは、それらを含めて全てがホームズである、という点に尽きます。

そもそも、現代の価値観に基いて作品を読むというのは至極当然のことです。
現代の日本においては(目に見えて分かるような)階級社会は存在しませんし、暇にあかせて7パーセントの溶液を用いたり、他人の家に上がり込んで目当ての物を掠め取ることは明らかに違法行為ですよね。

お行儀が良く社会的節度を持った親しみのある典型的な人物「ではなく」、事実を追求するためならば死者に鞭を打ってみたり、延々と豚に銛を打ち込んでみたり、目的のためなら非合法活動すらも当然のように行う人物。

間違っても根っからの善人ではない。それこそがコナン・ドイルのホームズであり、他に山ほど存在する紳士的な私立探偵とは一線を画しているのだと、私は考える次第なのです。

うーん… 一言で表すなら「大きな欠点に見えるけど毛嫌いしないであげて?」ですかね。
私の語彙は乏しいのでニュアンスが伝わるかどうかは少々怪しいところですが。

フォローになるかどうかは分かりませんが、以下は蛇足として。

少なくとも作品上、ホームズがGOサインを出すまでワトスンは物語を公表しませんよね。
完全に過去の出来事として語れるまでに時間が経過したか、あるいは公表しても問題ないと判断されるまでは秘匿される筈ですので、おそらくアガサは別の男性と結婚したなどの幸せな状況にあること等が推測されます。
案外、ワトスンが知らないだけでアガサに一切を明かして謝罪、許しを得たのでGOサインを出したのかもしれませんね。

小説は世に連れて - 篠田真由美 - 2014年12月17日 10:08:50

コメントを書いた後旅行に出ていたので、反応が遅れました。旅立ち前でばたばたしながら、舌足らずな文章をつづってしまった気もします。誤解させてしまったなら失礼をいたしました。

小説とは基本的に「世に連れ」な文芸です。現代のベストセラーで100年後にも読むに足るものがどれほどあるか想像してみれば、ホームズの物語がいまなお現代の読者を惹きつけ、ドラマ、映画などさまざまなバリエーションの二次創作が作られ続けていることがいかにすごいか、ここに来られる方はみんな「その通り!」と思われるでしょう。
そのような前提を共有した上で、私たちはそれでもあくまで現代人、人間は男女別や職業、出身で差別されるべきではないという観念も共有している現代の日本人です。100年前の小説の価値観に摩擦を感ずるのは、むしろとても当たり前のことで、「それでもちゃんと面白い」「わかるよと感じられる部分の方が多い」のがすごいのです。
ホームズが19世紀の紳士階級の独身男性として、女性一般にある種の差別意識を持っていたと想像され、さらにメイドという階級に敬意を持てなかったとしても、それは彼が当時の一般常識を踏襲していたというだけで、とんでもない嫌なやつであったということにはなりません。逆に彼がメイドに愛着を示したりしたら、少なくとも当時のドイルの読者は、違和感を覚えずにはいられなかったでしょう。そういう意味で現代の我々が、ホームズの行為にときに抵抗を感じながら「まあ、この時代だからね」という形で免罪を与えるのも、「それでもやっぱりむかつくぞ」と思うのも、小説の読み方としてはどちらもありだと思うのです。
だからナツミさんが「ホームズのアガサに対する遣り口が赦せないから、もうホームズは読まない」といわれたら、「いや、現代の価値観で過去の作品を裁くのは必ずしも正しくないから」という意見が投げかけられることでしょうが、全然そうではないのですから、誰もナツミさんが間違っている、とは思わないと思います。

私がいま書きつつあるヴィクトリア朝ロンドンを舞台にした話では、まんが「エマ」のような、当時の価値観に逆らうことなくけなげに働くメイドではなく、当時のリアルを現代方面へ半歩踏み出した虚構(コルセットが嫌いな奥様とか、なぜかコックが中国人でキッチンメイドが黒人で執事がアイルランド人とか)をやらかしていますが、ドイルはリアル19世紀人ですからね。
(って、ちゃんと原作読まずにえらそうな長文コメント書いてるおまえ、なに?!)

ありがとうございました! - ナツミ - 2014年12月20日 16:09:27

F様

再度コメントいただけて、心から感謝しております。
なんだか面倒くさい反応をしてしまった後で、それきりになってしまうと、「ああ、やっぱり失礼してしまったかしら」などとうじうじする、我ながらつくづく面倒くさい人間で……
でも「もうこいつ面倒だから放っておこう」という選択もできたのに、丁寧にお話いただけて、本当に嬉しかったです。

> 私が反論という形で示したのは、それらを含めて全てがホームズである、という点に尽きます。

「結婚詐欺は嫌いになっても、ホームズのことは嫌いにならないでください!」という感じでしょうか(ちょっと違うな……)

そういう行動もホームズという人間の一部である、ということ、了解しました。
記事という形でうまくお伝えできなかったので後出しになってしまいますが、「今回の行動はどうかと思うけど、でも、そんなホームズでも好き」という気持ちは私にもあります。
根っからの善人でいてほしい、とは全く思いませんし、欠点があったとしてもそのために彼自身を嫌ってはいません。
そういう気持ちをうまくお伝えできなかったのは、記事全体の構成における私の表現力不足と、おそらく日頃から「あ、こいつよくわかってないな」と匂わせる何かがあったせいで、要するに「不徳の致すところ」ってやつですね……
F様のコメントがなければ、不快な印象の記事でしたし、その不快さを思いやることもないままでした。「反論」という形で「フォロー」をしていただいたように思います。あらためて、ありがとうございました。

現代の法律では7パーセント溶液はダメだし、不法侵入は当時だってダメ。
でも法と離れたところに彼は彼の正義を、信念を持って生きている。
その姿勢に完全に同意するわけではないですが、私もそんなホームズが好きです。
ただ、どういうわけか「結婚詐欺」だけは「お前そりゃ本当にダメだろ!」と思います。私の中でアウトなんですね。
個人的な感情に基づいた攻撃になってしまいますし、そういう「整理のつかなさ」の攻撃的露出がそもそもよくなかったので、ループするのは控えますが、どうしてダメだと思うのか、よく考えてみたいと思います。

> 少なくとも作品上、ホームズがGOサインを出すまでワトスンは物語を公表しませんよね。
> 完全に過去の出来事として語れるまでに時間が経過したか、あるいは公表しても問題ないと判断されるまでは秘匿される筈ですので、おそらくアガサは別の男性と結婚したなどの幸せな状況にあること等が推測されます。
> 案外、ワトスンが知らないだけでアガサに一切を明かして謝罪、許しを得たのでGOサインを出したのかもしれませんね。

ああ、こういう「解釈」には救われます。
思えば、シャーロックが「友達のために」自らの死を装った、という解釈も、ジョンの足の問題も、原作の描写に納得できないという「不満」から生まれたのではないでしょうか。
時代背景の違いのあるなしに関わらず、自分の「正しさ」を他人に押し付けるのはよくないことですが、表面だけを見て終わらない、考え続けることをあきらめない、という姿勢は、先輩シャーロッキアンの方々から学んだすばらしい物事のひとつです。またひとつ、F様から教えていただきました。

世は小説に連れ - ナツミ - 2014年12月20日 16:33:31

篠田真由美様

> コメントを書いた後旅行に出ていたので、反応が遅れました。旅立ち前でばたばたしながら、舌足らずな文章をつづってしまった気もします。誤解させてしまったなら失礼をいたしました。

とんでもない!
お忙しい中、再度コメントを下さってありがとうございました。

> 小説とは基本的に「世に連れ」な文芸です。現代のベストセラーで100年後にも読むに足るものがどれほどあるか想像してみれば、ホームズの物語がいまなお現代の読者を惹きつけ、ドラマ、映画などさまざまなバリエーションの二次創作が作られ続けていることがいかにすごいか、ここに来られる方はみんな「その通り!」と思われるでしょう。
> そのような前提を共有した上で、私たちはそれでもあくまで現代人、人間は男女別や職業、出身で差別されるべきではないという観念も共有している現代の日本人です。100年前の小説の価値観に摩擦を感ずるのは、むしろとても当たり前のことで、「それでもちゃんと面白い」「わかるよと感じられる部分の方が多い」のがすごいのです。

小説家というご職業を続けてこられた方ならではの、ご教示をありがとうございます。
し、しかし……プロの方にこの内容のご解説を、無料でいただいてしまうとは!ありがたいやらもったいないやら……(冷や汗)

何年も読み継がれ、いくつもの二次創作があるので「地続き」な印象を持ちがちですが、そもそも「ホームズ」に100%の共感を期待する方が間違いだ、というわけですね。
たとえば光源氏に「あのマザコンムカつく」という感想を持つのは自由ですが、その感想一つで彼の人格すべて、作品の価値すべてを否定するのは愚かですよね。

なんだか、ピントのずれたところで過剰反応をしてしまったようで、申し訳ありませんでした……私としては、篠田先生や皆さんのコメントでたいへん勉強になったので結果オーライですが、皆様にご心配いただいたり、師走だというのにお時間を割いて再度コメントを書いていただいてしまったこと、反省しております。

> 私がいま書きつつあるヴィクトリア朝ロンドンを舞台にした話では、まんが「エマ」のような、当時の価値観に逆らうことなくけなげに働くメイドではなく、当時のリアルを現代方面へ半歩踏み出した虚構(コルセットが嫌いな奥様とか、なぜかコックが中国人でキッチンメイドが黒人で執事がアイルランド人とか)をやらかしていますが、ドイルはリアル19世紀人ですからね。

そこに書かれていなくとも、その時代で求められる共通理解の上で、物語は成り立つ。
だから舞台がヴィクトリア朝ロンドンでも、作者や読者や視聴者が現代人なら、それは本質的に現代の物語、なのですね。
きっと、私の頭の中にあるホームズ像も、「原作のホームズ」だけでなく、いくつもの「現代のホームズ」でできています。
それにしても、「篠田版ヴィクトリアン・ロンドン」の、多国籍なお屋敷のお話が楽しみです!

大変ご無沙汰しています - YOKO - 2014年12月22日 16:52:13

お久しぶりです。
皆様の活発なやり取りを拝見して、うんうん、とうなずきました!
100年前の小説を(あれ?もう120年前?)今読んで今の価値観のもとで好きになったり感想を抱く。これがとても面白いのですね。
120年前のファンの人たちのとらえ方、80年前の延原氏の翻訳でのとらえ方、そしてウン十年前に初めて読んだ子供の頃の自分、そして大人になった自分。いろいろ変わっていくのが楽しいし、また、同じ時代を生きていても人によってもとらえ方が違うのが面白かったりしますよね。

面白いと思ったのは、ナツミさんも書かれていますが、グラナダのアガサの描かれ方。
あれにはやはり80年代の価値観が反映してたと思います。
そして今回のジャニーンにいたっては、潔さがさらにアップしていましたよね。
おそらくSHERLOCKは女性ファンがものすごく多いことも影響してるかも、なんて勘ぐったりもしますが、大枠は同じ話なのに、しっかり時代にあった話になっていて、引き込まれますね。

というわけで、また来年もよろしくお願いします!

それぞれの時代の女性像 - ナツミ - 2014年12月24日 05:28:26

YOKO様

わ~、いらっしゃいませ!
イン活の記事、興味深く拝見しております。
(ちょっと前に私も招待メールを受け取ったのですが、送り主が知らない名前だったので、なんとなく放置してしまってます。でも周りでやっている人の話を聞いたり、YOKOさんのブログを拝見するとすっごく楽しそうです!)

> 120年前のファンの人たちのとらえ方、80年前の延原氏の翻訳でのとらえ方、そしてウン十年前に初めて読んだ子供の頃の自分、そして大人になった自分。いろいろ変わっていくのが楽しいし、また、同じ時代を生きていても人によってもとらえ方が違うのが面白かったりしますよね。

いつもざっくり100年前とか1世紀とか書いてしまってますが、受け取る側の感覚の変化を考えると、20年の差って大きいですよね……
そしてその中でも、「ホームズ」のファンが増えてすごく盛り上がっている期間とそうでもない期間があると思います。
何人も「同時代のホームズ」がいてくれて幸せです。


> 面白いと思ったのは、ナツミさんも書かれていますが、グラナダのアガサの描かれ方。
> あれにはやはり80年代の価値観が反映してたと思います。

そうなんですか!80年代の女性……私は体感できていないので、すごく興味があります。いつかご紹介いただけたら嬉しいです。
原作のアガサ、グラナダのアガサ、2014年のジャニーン、位置づけとしてはちょっと「あばずれ」寄りというか、率直で奔放なイメージなんでしょうかね。原作では詳しく描写されていませんけれど、ホームズの台詞から推して知るべし、という感じなんでしょうか。
私の反感の根底にあるものはその辺なのかなあ……奔放な女性はひどい目にあって当然、というような意識をうっすら感じてしまうというか。

> おそらくSHERLOCKは女性ファンがものすごく多いことも影響してるかも、なんて勘ぐったりもしますが、大枠は同じ話なのに、しっかり時代にあった話になっていて、引き込まれますね。

本当ですね!
どこまで原作を残して、どこで独自性を出すか、それぞれの作品の作り手がすごく考えてるのでしょうね。
さまざまな思い入れやこだわりを感じられるのも、「ホームズもの」を観る愉しみの一つですね。

YOKOさんも素敵な年末年始をお過ごしください!
来年はどんな楽しいことにチャレンジなさるのか、ブログの読者としても楽しみにしております。

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Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

『高名の依頼人』のこと書きましたが、6月24日までグラナダ版がGYAOで無料で観られるそうです。
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