最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
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ビリーは、五人いる!?

第1シリーズの時も、第2シリーズの時も、ビリービリー詐欺を行ってきたナツミです。

第1シリーズのビリー:「ありがとう、ビリー
第2シリーズのビリー:「ビリーは二人いる

すでに私のブログに説得力はないですが、「今度こそ真打ち」と思われるビリーが登場しましたね!
ドラッグ・デンの住人で、シャーロックに迫る観察力と推理力を持つ男、ビリー・ウィギンズ。

明智小五郎に小林少年がいるように、ホームズには彼に憧れ、捜査に協力してくれる有能な少年助手がいます。
まず、上記の記事でも触れた、221Bのページボーイ、ビリー。
それに、「バスカヴィル家の犬」に登場した、メッセンジャーボーイのカートライト。何を言われても"Yes, Sir!"と気持ちよくお返事しててきぱき働いてくれます。たぶん、ジョンに言わせれば「ザ・理想の部下」("The Hounds of Baskerville"参照)。
そして、現代版では「ホームレスのネットワーク」となっている「ベーカー街遊撃隊((Baker Street Irregulars)」。「緋色の研究」で、このストリート・チルドレンの隊長を務めていたのがウィギンズ少年。
今回出て来たビリーは、二人の有能な助手のハイブリッドなわけで、そりゃあ優秀ですよね!比較的設定年齢が若いせいか、単に性格のせいか、あまり人望がない感じのシャーロックも、弟子ができて内心嬉しいはず。

ホームズにとって、ウィギンズはワトスンよりも古い付き合いになるわけで、その後どんな大人に成長したのか気になっているのですが、現代版ビリーはジョンとも衝撃的な出会い方をするのが面白いところです。その後、ジョンに対する観察力・推理力を見せつけて、シャーロックに認められることになります。

「おや、あれはいったいなんだろう?」このとき私は叫んだ。ホールから階段へかけて、どやどやと人の足音がして、主婦の聞えよがしの口小言が聞えたからである。
「探偵局のベーカー街分隊だよ」ホームズが真顔で答えた。そのとたんに、ぼろをまとったこれまで見たこともないきたならしい浮浪少年が六人、どやどやと室内へおしこんできたのである。
「気をつけ!」ホームズが命令すると、六人の小さな無頼漢どもはきたない小像でも並べたように、一列につっ立ったものである。「これからはウィギンズひとりを報告によこすのだ。ほかのものはここへ上ってくるんじゃない。そのあいだそとで待っているんだ。ところでウィギンズ、見つかったか?」
「いいや、まだだよ」少年のひとりが答えた。(『緋色の研究』)


ぱっと出会った時の反応は、ワトスンがウィギンズに出会ったときに似ているかもしれません。
現代版ビリーがどういう背景を持った人物かは、まだよくわかりませんが、19世紀の浮浪児たちも、現代の麻薬中毒者たちも、ホームズたちから見て「掃き溜めのような場所にいる」という点は同じです。そこにこだわらず純粋に能力を評価するホームズは大したものですが(関連記事: 『シャーロックと子ども』 )、率直なワトスンは「汚さ」への嫌悪感を隠さず描写しますし、ジョンはおそらく倫理的な理由から、麻薬中毒者のビリーに毅然とした態度で相対します。

一方、ビリーとワトスンはなかなか良い関係のようです。

「何もかも相かわらずだね、ビリー。君も変らないよ。ホームズにも変りはないだろうね?」
ビリーは何かしら気にかかるらしく寝室のドアをちらりと見やって、「先生はお寝みのようですよ」といった。
それは美しい夏の夕がた七時のことだったけれど、旧友の時間の不規則なのをよく知っているワトスン博士は、意外とも思わなかった。
「すると事件があるのだね?」
「はい、いま事件で一生懸命なんです。お体が心配ですよ。顔いろはだんだん悪くなるし、やつれてくるばかりで、何も召しあがりません。『お食事はいつなさいます?』ってハドスン夫人が尋いたら、『あさっての七時半に』とこうなんですよ。ワトスン先生は事件に熱中している時の先生のやり方はごぞんじですね」
「そう、ビリー。知っているさ」
「誰かを追い回しているんです。きのうは職さがしの労働者になって外出なさいました。今日はお婆さんでした。私まですっかり担がれてしまいましたよ。先生の手はよく知っているはずなんですがねえ」(『マザリンの宝石』)


この頃のワトスンは、ホームズとは別居しています(メアリと結婚していた時ではなく、クイーン・アン街に住んでいたころでしょう。出迎えるホームズの口調に、それをあまり快く思っていないようなよそよそしさがあります。『マザリンの宝石』はもともと戯曲なので、時間軸から独立したパラレルワールドという可能性もありますが)。ビリーは、当時のホームズとワトスンの間柄をよく理解していて、ワトスンの留守を守るような気負いがあるように思えます。
ジョンが所帯を構えた今、現代版でもシャーロックのそばにいてくれるビリーが必要になったのでしょう。今後は、ジョンと協力し合ってシャーロックを見守っていく関係になるのかもしれません。

ところで、第2シリーズと第3シリーズの間に出版された「公式ファンブック」では、シャーロックの持っている頭蓋骨が「ビリー」という名前になっていました。ジョンに出会うまではこの頭蓋骨がシャーロックにとっての唯一の友人だったことを考えると、ビリーという名前はふさわしいように思います。

それからその眼を最後にビリー少年の元気な笑顔に落ち着けた。この利口で気転のきく給仕は、あのむっつりと陰気な大探偵の孤独と寂しさを慰めるのにいくらか役だってきたのである。(『マザリンの宝石』)


そして、終盤で明らかになるシャーロックのフルネーム。(関連記事:『ウィリアムとヘイミッシュ』)
ビリーは、ウィリアムの愛称でもありますから、頭蓋骨はシャーロックの分身であり、シャーロック自身が5人目のビリーである、という考え方もできるんじゃないでしょうか。
リンク先にも書きましたが、ウィリアムというファーストネームは、原作にあるのではなくベアリング・グールドに命名されたものですから、ドイルがホームズの名と関連付けて命名したわけではありません。でも「ビリー」という名前が出たら、何か意味が込められているのではないかと身構えてしまう私です。まだ増えるんじゃないだろうな……(疑心暗鬼)

(原作からの引用はすべて延原謙訳)

【追記】れすとらさんのブログで、ビリー増殖の果てをイラストにしていただいてます!ビリー、ビリー、ビリー♪(←Spam Song風に)
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この記事へのコメント

- 神崎真 - 2014年10月21日 03:48:08

> ビリーは、ウィリアムの愛称でもありますから、頭蓋骨はシャーロックの分身であり、シャーロック自身が5人目のビリーである、という考え方もできるんじゃないでしょうか

なるほど!
それは盲点でした。ウィリアムの愛称がビリーですか。
あの頭蓋骨=ビリーは、シャーロックの唯一の友人であると同時に、自らを写す鏡、客観的に推理を分析するためのもう一人の自分でもあったのかなと思うと、あまりの孤独さに泣けてくるよシャーロック……

> ジョンが所帯を構えた今、現代版でもシャーロックのそばにいてくれるビリーが必要になったのでしょう。

おお、そうするとホームレスだったビリー・ウィギンスは、住み込み給仕のビリーくんになっていくのでしょうか(わくわく)
……なんだかむしろ、変人の二乗で余計に手が付けられなくなっていきそうな気も(苦笑)
頑張れジョン(笑)
221Bの平穏はやっぱり君にかかってるvv

「ビリービリー詐欺」? - カミーノ - 2014年10月21日 16:57:10

ナツミさん、こんにちは。
1行目から理解できなくてお恥ずかしいのですが、
>ビリービリー詐欺を行ってきた
とは、どういう意味か教えて頂けるとありがたいです。

変人の二乗… - ナツミ - 2014年10月22日 06:51:39

神崎 真様

頭蓋骨、正体が気になりますよね。誰のもので(レプリカだろうけど、ロイヤルシェイクスピアのハムレットの舞台では本物を使っていたこともあるようだし)、どういう経緯でシャーロックの持ち物になったのか。

> あの頭蓋骨=ビリーは、シャーロックの唯一の友人であると同時に、自らを写す鏡、客観的に推理を分析するためのもう一人の自分でもあったのかなと思うと、あまりの孤独さに泣けてくるよシャーロック……

ああ、そう考えると泣けてきますね!ジョンに出会わなければ、あの椅子に彼(彼女?)が座ることになったのかな。

> おお、そうするとホームレスだったビリー・ウィギンスは、住み込み給仕のビリーくんになっていくのでしょうか(わくわく)
> ……なんだかむしろ、変人の二乗で余計に手が付けられなくなっていきそうな気も(苦笑)

給仕……は無理そうな気がするんですが、あの無表情で、家事や料理にもものすごいスキルを発揮したりして…でも癒されないし、何よりシャーロックと似た者同士なので、

> 頑張れジョン(笑)
> 221Bの平穏はやっぱり君にかかってるvv

↑まさにこのオチで!

Re: 「ビリービリー詐欺」? - ナツミ - 2014年10月22日 07:03:04

カミーノ様

> 1行目から理解できなくてお恥ずかしいのですが、
> >ビリービリー詐欺を行ってきた
> とは、どういう意味か教えて頂けるとありがたいです。

こちらこそ、わかりにくく書いてしまってすみません!
過去に「ビリー」という名のキャラクターをみつけては、「元ネタ」として原作「マザリンの宝石」などに登場する「給仕のビリー」を紹介してきたのですが(2行目、3行目にリンクした記事がそれです)、第3シリーズでより「給仕のビリー」に近いキャラクターが出て来たので、結果として過去に書いた記事は見当はずれのご紹介になってしまいました、ということです。

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Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスンがより好きです。

2017年エイプリル・フールお片付けしました。お付き合いありがとうございました!片付けきれてないところがあったらお知らせいただければありがたいです。

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