最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
【お願い】 ★記事における間違いは、できる限り修正したいと考えております。お気づきの点がありましたら、ご教示いただけるとありがたいです。
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ウィリアムとヘイミッシュ

何だか順番がめちゃくちゃですが、放映日に間に合うように記事を書くのはすでに諦めたので、かねてメールをいただいている件を先に書こうと思います。 まちるださんからいただきました。お許しを得て引用させていただきます。

「三の兆候」で、ジョンがヘイミッシュという名前を嫌っていて、シャーロックに聞かれても教えなかったのはなぜでしょう。

このお話の回想シーンには、シャーロックがジョンのミドルネーム"H"がどんな名前かしつこく知りたがり、ついには出生証明書まで取り寄せる(!)エピソードがありました。
一度考え始めると解決まで止まれない彼らしい挿話ですが、確かに、どうしてジョンはヘイミッシュという名前に触れたがらないのでしょう。

まちるださんは、「スコットランド系の名前だから、オーストラリアやイングランドで育ったジョンは、この名前が原因でからかわれた経験があるのではないか」と考察されていました。
私も、短期間ですが海外にいたことがあって、イングランド、アイルランドやスコットランドの人々の、お互いへの複雑な感情はほんの少し垣間見たことがあります。まちるださんのご意見にも賛成させていただいた上で、私なりの考えを書いてみようと思います。

まず、原作のワトスンがミドルネームをHとしか発表しなかったのも理由の一つではないかと思います。
「ヘイミッシュ」は、原作でメアリがワトスンを「ジェームズ」と呼んだことから、シャーロッキアンであるドロシー・L・セイヤーズの考察によって導き出された名前です。(関連記事:『ヘイミッシュ』)
では、どうしてワトスンはミドルネームを公表しなかったのか。
ワトスンが触れたがらなかった問題はもうひとつあります。それは、自らの家族の問題です。

ワトスンは長男ではなく、兄がいて、その兄が父の名前を受け継いでいます。
この件についてワトスンは一切語っていませんが、彼が入手した古い懐中時計から、ホームズが「見破る」のです。

「ちがったら訂正してもらうとして、この時計は君のお父さんから兄さんに伝わっていたものだと思う」
「裏にH.Wと彫ってあるからだろう?」
「そうさ。Wは君の姓だ。制作日付は五十年ばかりまえで、彫り込んだ頭文字もおなじくらい古くなっている。つまりこれは、われわれの親の代の代物なんだ。貴重品というものは親から長男にゆずられるのが普通で、その長男は父親とおなじ名をあたえられていることが多い。君のお父さんはたしか、だいぶ前に亡くなったとか聞いている。だからこの時計は、君のいちばん上の兄さんが持っていたのだ」
「そこまでは間違いない。それだけかい?」
「兄さんは不精な人――ひどく不精でずぼらな人だった。いい前途をもちながら、いくたびか機会を逸し、時には金まわりのいいこともあったが、たいていは貧乏で、おしまいには酒を飲むようになって、亡くなった。わかるのはそんなところだね」


ホームズの「推理」を聞いて、珍しくワトスンは激昂します。

私はおもわず椅子からとびあがった。そして悲痛のあまり痛さもわすれて、傷ついた足でせかせかと部屋のなかを歩きまわった。
「ホームズ君、君にも似あわないね。君がそんな人身攻撃をする人だとは思わなかった。君は死んだ兄のことをかねてから調べておいて、それをいま時計でいいあてたような顔をしてるんだ。こんな古時計から読みとったような顔をしたって、誰が真にうけるもんか!あんまりだよ、はっきりいっていんちきじゃないか」
「ワトスン君」ホームズはおだやかに、「どうか許してくれたまえ。僕はこれをひとつの抽象的な問題とみて、その解決にばかり熱中したあまり、それが君の悲しい思い出にふれるということを忘れていたんだ。まったく君からその時計を僕の手にわたされるまで、君に兄さんがあるか――あったかすら、僕は知らなかったんだよ」



おそらくこの会話のほんの少し前に、ワトスンは兄を亡くしています。天涯孤独のワトスンにとって「四つの署名」は、家族の辛い思い出から始まり、メアリという新しい家族を得ることで終わるお話なんです。

ジョンの姉ハリエットも、Hで始まる名前です。ハリーとジョンの間に横たわる問題がまだ解決していないのは、ハリーが弟の結婚式に顔を見せなかったことでわかります。

つまり、Hで始まるHamishという名前には、ワトスンやジョンを父や兄、姉と結びつける意味が込められている、そして、その家族の思い出はワトスンやジョンにとって辛いものであり、親友のホームズやシャーロックにさえ、触れられたくないものである。だからワトスンはイニシャルしか名乗らないし、ジョンもミドルネームを使いたがらない。それが私なりの考えです。
ジョンの抱えている傷に関しては、過去記事でもすこし書いたことがあるので、よろしければごらんください。
→「ジョンの孤独

ここで一つ疑問が生じます。
そんなに触れたくない名前だったら、どうしてジョンは"The Scandal of Belgravia"で自ら「ヘイミッシュ」の名を持ち出したんでしょうか。

ジョンが「ヘイミッシュ」の名を出したのは、シャーロックとアイリーンが話している場面です。黙ってじっと二人の会話を聞いていて、唐突に口を出す、という感じでした。
普通に考えれば、お似合いの男女に自分の名を「赤ん坊の名前」として提案するのは「からかい」なんですが、それが本人の嫌っている名前となると、ちょっと話が違ってきます。

親友を奪われる「嫉妬」と考えられなくもないですが、ジョンがシャーロックとアイリーンの関係に対して抱く気持ちは、とても複雑だと思います。
まず、謎の着信音の正体がアイリーンからのメールだと気づいた時のジョンは、明らかに嬉しそう。これは、「椈屋敷」でホームズとヴァイオレット・ハンター嬢のロマンスを期待していたワトスンの気持ちに通じますね。
そして、メールの着信回数を数えているところからは、「好奇心」や「心配」が感じられます。
死んだと思われたアイリーンが生きていたことを知った時、シャーロックの心を弄ばれたと感じたジョンは怒ります。
それから、「ヘイミッシュ」と言い出す直前。シャーロックを頼ってきたアイリーンを見つけたジョンは、やっぱり少し嬉しそうなんです。

ジョンのアイリーンに対する感情の変遷は私の推測でしかありませんが、こうしてまとめてみると、好意のみではないにしても、悪感情とは思えない。「赤ん坊に自分の名を」という提案は、冗談ではありますが、悪意の込められたものだとは思えないのです。
ジョンらしく、公正に、そして冷静に感情を整理した上で、シャーロックとアイリーンの関係を受け容れようという意思表示がこの「ヘイミッシュ」発言だったのではないでしょうか。

そうだとしたら、シャーロックが「ジョンはヘイミッシュという名を嫌っていた」と言うのは誤解だったか、またはジョンの「ヘイミッシュ」という名に対する複雑な思いの一部しか理解できていなかった、ということになります。
シャーロックの恋を祝福する思いがジョンにあるのなら、冗談でも忌まわしい名前は提案しないはず。ジョンにとって、自分とハリー、そしてひょっとしたら父親をもつなぐ"H"のついた名前は、辛い思い出もいっぱいあるけれど、心の奥底では愛おしいものなのではないでしょうか。

もしこの「推理」が原作のワトスン夫妻にも適用できるなら、メアリがワトスンを「ジェームズ」と呼んだのは、それまでに夫婦でたくさん話し合って、お互いの(決して幸せなばかりではなかった)家庭環境で負った傷もわかり合って、そして乗り越えたからできたことではないかと思います。
「隠したくなるような、触れられたくないような傷も含めて、それぞれの過去があるからお互いの今がある」
「今まで目を背けてきた傷は、痛いだけのものではなく、家族と自分をつなぐ絆でもあった」
ワトスンにとってメアリは、そんなふうに思わせてくれた人だったんじゃないでしょうか。「唇の捩れた男」冒頭場面のこの一行からは、ワトスンがメアリの内面を深く愛していたことが伝わってきます。

悲嘆にくれる人たちは、まるで鳥が灯台へ集まるように、妻のところへやってくるのである。



現代版でのメアリとジョンも、傷だらけの過去を背負っています(メアリもまた孤児であることは、結婚式準備中の彼女自身の発言や、マグヌッセンからの祝電でわかります)。
クリスマス、メアリは初めてジョンに「過去がどうであっても、それも含めて」受け入れられます。メアリの過去がどんなものであるにしろ、きっと、この二人は乗り越えていくでしょう。原作のワトスン夫妻のように。

さて、その舞台がなぜか「シャーロックの実家」であることも見逃せません。
なんでお前まで過去さらけ出してるんだよ!……というツッコミは冗談として、この頃にはシャーロックも、「ヘイミッシュ」を隠したり、突然口に出したりしたジョンの気持ちを理解したんじゃないかなあ、と思うんです。
「僕の十字架」と言っていたはずの「平凡な」実家の温かいクリスマスに二人を連れてきたのは明らかにシャーロックの気遣いだし、何よりラストシーンでこう言っています。

"William Sherlock Scott Holmes. That's the whole of it, if you're looking for baby names."
「ウィリアム・シャーロック・スコット・ホームズ。これがフルネームだ。もし赤ん坊の名前を探してるなら」(拙訳)


このフルネームもまた、シャーロッキアンの考察…というか創作によるもの。ベアリング・グールドの書いたホームズの伝記、「シャーロック・ホームズ ガス燈に浮かぶその生涯」に出てきます。

シャーロック・ホームズ―ガス燈に浮かぶその生涯 (河出文庫)シャーロック・ホームズ―ガス燈に浮かぶその生涯 (河出文庫)
(1987/06)
小林 司、W・S・ベアリング=グールド 他

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隠していたわけではないにしても、シャーロックはまた一つ、飾らない、素のままの、名探偵ではない自分をジョンに教えたことになります。そして、ジョンがそうしたように、「子どもの名前」としてそれを提案しています。
「名前」は、家族がくれたものの象徴です。やはりシャーロックにとっても、自分の生い立ちや家族は時に疎ましくはあっても、完全に嫌えるものではないのでしょう。

「家族」には虚飾が通じません。だからこそ誰よりも厭わしく、誰よりも愛おしい人たちです。逆に言うと、他人と家族になるなら、虚飾のない関係にならなくてはならないのかもしれません。そして、もし誰かとそうなれたら、その人は家族と同じくらい近しい存在と言えるでしょう。
メアリとジョンも、シャーロックとジョンも、自分で作り上げた今の自分だけではなく、そこに至るまでの過去の自分も見せ合える、虚飾のない関係になれました。まさにこのお話が、結婚式の日シャーロックが言っていた「新しい章の始まり」なのだと思います。

まちるださん、さまざまに妄想できる、面白い問題提起をありがとうございました。
記事にするのが遅くなってしまい、申し訳ありません!

(原作の引用はすべて延原謙訳)
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この記事へのコメント

- 中務 各務 - 2014年08月02日 18:53:40

はじめまして、中務 各務と申します。以前から、ときどき拝見していました。

シャーロックさんが、別れの時に自分の本名をジョンにつげたあのシーンは、何度見ても泣けますね。
 あの時点では本気で「最後の挨拶」のつもりで、ジョンにだけ、今まで他の誰にも言う必要がないと考えていた本名を、「もう会えないから、せめてもの親愛の表現として」伝えたかったんじゃないでしょうか。
 家族を紹介するほどの関係を自分の意志で築けた相手も、きっとジョンが初めてだったんじゃないでしょうか?
(お兄様は、使える相手にはご自身でコンタクトしてると思うので。)

名乗るということ - ナツミ - 2014年08月03日 16:56:00

中務 各務様

はじめまして。ご訪問とコメント、ありがとうございます!
数日間出かけておりまして、コメントの承認に時間がかかってしまって失礼致しました。

> シャーロックさんが、別れの時に自分の本名をジョンにつげたあのシーンは、何度見ても泣けますね。

本当ですね。本気で二度と会えないと思っていたかどうかは、シャーロック本人にしかわからないことではありますが、そうだと考えると、とても重い場面です。

>  あの時点では本気で「最後の挨拶」のつもりで、ジョンにだけ、今まで他の誰にも言う必要がないと考えていた本名を、「もう会えないから、せめてもの親愛の表現として」伝えたかったんじゃないでしょうか。

「名前」の重要性については古今東西で論議されていますが(実は私も、大学の卒業論文のテーマがそれでした。ホームズではなくフランケンシュタインだったのですが……)、気持ちがこもっていることは間違いないと思います。
誰にも言わなかった(あえてファーストネームではなくセカンドネームを通称に使っていることにも、さまざまな想像ができそうです)、フルネームを伝える……それは、彼なりに意味のあることだったのでしょうね。
思えば、ジョンは自分からは本名を教えてくれなかったのですよね。メアリも、ジョンに本名を教えていない。
そういったエピソードの数々を踏まえると、「知ること」に重きを置くシャーロックが、自分からフルネームを教えるという行動の意味は深い。
(そこまで言っといて、その意味とやらが『僕の方がジョン大好きだもんね!メアリより先に本名教えちゃうもんね!』という子供じみた対抗意識だったら、私も頬骨を殴ってやりたいですが……)

> 家族を紹介するほどの関係を自分の意志で築けた相手も、きっとジョンが初めてだったんじゃないでしょうか?
> (お兄様は、使える相手にはご自身でコンタクトしてると思うので。)

では、ご両親にとってはアレが初めての「息子のお友達がうちに遊びに来た」体験だったのでしょうか。しかもまとめて3人も!いきなり、のび太くんの家のような人口密度。
……しかし、メンバー構成もさることながら、顛末が気の毒過ぎます。

ラベル - 神崎真 - 2014年08月04日 08:03:17

名前というものの考察は、考えるほどになんだか萌えてきます。
そもそもこの現代版がひとつのホームズ作品として認識されるにいたる大きな理由に、キャラクターの名前が「シャーロック・ホームズ」であり「ジョン・ワトソン」だからというのがあると思うのです。
もしも二人の名前が違っていたら、SHERLOCKはあくまで「ホームズテイストを散りばめた現代ドラマ」のひとつでしかありません(まあ、そのテイストが、これでもかというほど盛り沢山なわけですが/苦笑)。
つまりSHERLOCKをホームズ作品たらしめているその根拠が、ドラマのタイトルであり彼らの名前だと思うのです。

各務さま、はじめまして。いきなり横入り失礼します <( _ _ )>

> 別れの時に自分の本名をジョンにつげたあのシーン
あれは私も、見るたびにうわぁぁああ( T _ T )」ってなります。
外見は悲壮感もなく、なんてことないように話しているだけに、シャーロックの内心はどれだけのものだったかと思うと、その子供っぽい不器用さ加減に泣けてきます。

これは私の個人的な解釈ですが、シャーロックにとって名前とは、一種のラベルなのではないかなあと思うのです。
「この人はこういう存在」という、相手を認識するための記号なのではないかと。
だからシャーロックは、推理をするための被害者の名前はすぐに覚えられると思うんです。
そしてジョンのフルネームにこだわったのは、それだけジョンの事を気に入って、彼のことをすべて知りたいと考えたからなのかなあ、なんて。
普段自分のことをウィリアムではなくシャーロックと名乗るのも、己のすべてを世間にさらけ出すのではなく、探偵として作り上げた一部分に「シャーロック・ホームズ」という、ラベルをペタっと貼って見せているのでは?
だからこそ、「空の霊柩車」で帰還した時、ラストシーンで「これからはシャーロック・ホームズの時間だ(うろ覚え)」的なことを言っていたのかなあと。

それらを踏まえての、あの場面でのフルネーム名乗りですよ!
「もう会えないジョンには、探偵の部分だけではない、自分のすべてを知っておいてもらいたい」という気持ちが、そこには籠っていたのではないかと!
いやもちろん普通の人間にはフルネーム名乗られたからって、相手のすべてを知ることなどできませんが、そこはシャーロックだから、あくまで自分基準で(笑)

……ただ「名前にはこだわらないジョン」と「本名にこだわるシャーロック」と考えると、グレッグ・レストレードの存在はどうなるんだということになってくるんですが(悩)
私は、シャーロックがレストレードのファーストネームを間違え続けるのは照れ隠しだという、どなたかがおっしゃっていた解釈に賛成なんですけど、そうするとシャーロックにとってレストレードとは「ラベルのいらない相手」になっちゃうのかなあ、とか。
あるいは「ずっとレストレードとして認識していたから、いまさらグレッグに貼り替えるのは難しいけど、でもファーストネームで呼びたい」という複雑な思いの現れかとか。
考えだすとだんだん思考があやしい方面に行ってしまいます。腐腐腐腐腐vv

- 中務 各務 - 2014年08月04日 17:15:48

ナツミ様、神崎様、わざわざお返事いただきありがとうございます。

>シャーロックにとって名前とは、一種のラベル
分かります!私も同じように考えてました。
私は初め彼にとって名前は個人を区別するための認識番号と同程度の意味しかないのでは?ないかと思っていたんです。でも、ある日その認識がひっくりかえったんじゃないでしょうか。
ジョンは「ジョン・H・ワトソン」と名乗り、「H」の名前を教えてくれなかった。
なんでも知りたいシャーロックさんとしては、どうにかして聞き出したいけど、完全に無視されるし、調べたけど分からない。では、どうして彼は「H」に名前を隠しているのか?
そう考えた時、シャーロック自身の中で、自分があえてセカンドネームで名乗ってきた事が、逆にクリアになったんじゃないでしょうか?
「シャーロック・ホームズ」という対外的な自分は、ある意味では本当の自分ではないかもしれない?ということに。
シャーロックの過去の(子供時代)事がまだ描かれていないのでわかりませんが、
きっと彼は子供の頃の自分と現代の自分をどこか分けてラベリングしていて、いまの彼自身が必要としているのは現代の彼であり、「ウイリアム」ではなかったと。
ジョンの「H」を隠す行動から気づいたのではないでしょうか。
同じように、ジョンからも「自らHを隠している」(ヘイミッシュとジョンの離別?)ように思えたから。
だから、アイリーンにあっさり「ヘイミッシュ」と名乗った時、本当にシャーロックは驚いたんだと思います。そして同時に、ジョンの自分に対する友情を強く確信したのではないでしょうか。

>「もう会えないジョンには、探偵の部分だけではない、自分の全てを知っていてもらいたいという気持ちが籠もっていた
同感です。もう、涙しかありません!でも、きっとジョンにはそんなこと伝わりきれません。そこは、わかってませんね。

>僕の方がジョンが大好きだもんね!メアリより先に本名先に教えちゃうもんね!
確かにそんな雰囲気もありそうですね(笑)もしそれが本当の理由なら私だってぶん殴ります(笑)でも、本心は「できれば、僕のことを覚えていてくれないか?もう会えないけど」だと思いたいです。

>ご両親にとって初めての「息子の友達が遊びに来た」体験だったのでしょうか
少なくともシャーロックはそうだと、私は思います。
だいぶ長い時間待たされましたよね。でもきっとあのお母さんなら、あまり気にしてないんじゃないかと思います。「この子もやっと、ちゃんとしたお友達ができたのね」ぐらいで。

長々と書いてすみません。またお便りします。

呼びたい名前、呼ばれたい名前 - ナツミ - 2014年08月14日 15:50:04

神崎真さま

コメントの返信が遅くなってしまい、すみません!ちょっと、熱中症にやられておりました…もう元気です!

> そもそもこの現代版がひとつのホームズ作品として認識されるにいたる大きな理由に、キャラクターの名前が「シャーロック・ホームズ」であり「ジョン・ワトソン」だからというのがあると思うのです。

> つまりSHERLOCKをホームズ作品たらしめているその根拠が、ドラマのタイトルであり彼らの名前だと思うのです。

SHERLOCKが放映されたとき、「Holmes」じゃなくて「Sherlock」というタイトルに強い主張を感じました。主役の2人が「ジョン」「シャーロック」と呼び合うのも、今でこそ慣れたけど、最初はえええええええええええええ(以下略)アンタそんな、ファーストネーム呼びって!と校庭10周したくなるほどの衝撃を受けましたし…
私は、ホームズものであることを前提として、「でもオリジナルなんだよ!」という「違い」にばかり考えが行ってしまいますが、神崎さんは何を持ってこのドラマを「ホームズもの」にしているか、というところに着目されたのですね。
アメリカのドラマ"Elementary"は、「名前でホームズものになっている」好例ですよね。
類似点よりも相違点が目立つし、ホームズネタがちりばめられることも(私の理解している限りでは、たぶん、あんまり)ない。
でも、厳然として「ホームズもの」なんですよね。ホームズとワトスン、というタグ付けをすることで、観ている側が自分の中にあるイメージを、物語に投影し始めますから。
たとえば、Elementaryの二人がカップルになるかならないか、時々友人たちと話すんですが、シャーロックとジョンにカップルになってほしいと思っている人も、あちらには「ホームズとワトスンなんだから友情を貫いて欲しい」と言ったりする。2人に恋愛してほしいにしても、しないでほしいにしても、タグ付けがなかったら、見るべき点が全然違ってたと思うんです。


> 普段自分のことをウィリアムではなくシャーロックと名乗るのも、己のすべてを世間にさらけ出すのではなく、探偵として作り上げた一部分に「シャーロック・ホームズ」という、ラベルをペタっと貼って見せているのでは?
> だからこそ、「空の霊柩車」で帰還した時、ラストシーンで「これからはシャーロック・ホームズの時間だ(うろ覚え)」的なことを言っていたのかなあと。

メタ的なセリフでもありますけれど、シャーロック自身にとっては探偵としての芸名みたいなものでもある、ということですね。
すごく今更な疑問ですが、両親や兄も「ウィリアム」じゃなくて「シャーロック」って呼んでいるのは何でだろう。元ネタになっているグールドの伝記では、お父さんが「ウィリアム・シャーロック」、お母さんが「スコット」って呼びたがったことになっています。
現代版ではお母さんが強そうなんですけど、シャーロック自身がそう呼ばれたがったのかしら。
すごく長い名前を持っていると、人生に時期によって使う名前が違ったりするのかな。ジョンは、彼をヘイミッシュって呼んでいた人に、何か苦い思い出があったりするのかもしれません。

> ……ただ「名前にはこだわらないジョン」と「本名にこだわるシャーロック」と考えると、グレッグ・レストレードの存在はどうなるんだということになってくるんですが(悩)

そういえば、アンダースンのことはあっさりフィリップって呼んでましたよね!通り全体のIQを下げるとか、ひどいこと言っておきながら!ドノバンは初めからサリーだし。
レストレードとシャーロックは、シャーロックが今よりもさらに若造で、社会的には無力に等しかったころからの付き合いだと思うんですよ。だから、初めは慇懃に敬称+苗字で呼んでいた、ということはないでしょうか。
でも相棒のジョンがファーストネーム呼びを始めたから、シャーロックも切り替えたいんだけど、小学校の先生がいつまでも○○先生なのと同じノリで、なかなか替えられないとか……

名前の意味 - ナツミ - 2014年08月14日 16:55:27

中務 各務様

遅い返信で申し訳ありません!

> ジョンは「ジョン・H・ワトソン」と名乗り、「H」の名前を教えてくれなかった。
> なんでも知りたいシャーロックさんとしては、どうにかして聞き出したいけど、完全に無視されるし、調べたけど分からない。では、どうして彼は「H」に名前を隠しているのか?
> そう考えた時、シャーロック自身の中で、自分があえてセカンドネームで名乗ってきた事が、逆にクリアになったんじゃないでしょうか?

ジョンの行動から、シャーロックにとっての「名前」というものの意味が変わった、ということですね。
神崎さんへのご返信とちょっとかぶってしまうんですが、名乗る名前を選べる、というのは面白いですよね。
最近スコットランド人の知人ができたのですが、名前、合わせて6つくらいあるんですよ!単純に一番はじめのを名乗ることもあるかもしれませんが、選択にはかならず意味が伴うし、それがアイデンティティに関わるものである以上、軽い意味ではあり得ない。苗字と名前が一つずつしかない私には興味深いです。


> シャーロックの過去の(子供時代)事がまだ描かれていないのでわかりませんが、
> きっと彼は子供の頃の自分と現代の自分をどこか分けてラベリングしていて、いまの彼自身が必要としているのは現代の彼であり、「ウイリアム」ではなかったと。

小さい頃のシャーロックは「ウィリアム」と呼ばれていたのかどうか、おっしゃるようにまだ描かれていなくてわからないんですけれど、今や国際的な名声つきの「公的な名前」である「シャーロック・ホームズ」と、ジョンに対して名乗る名前を分けたというのは、意味のあることに思えますね。
アイリーンとのエピソードと上手につながってるので違和感もないし、脚本が見事ですよね。


> >「もう会えないジョンには、探偵の部分だけではない、自分の全てを知っていてもらいたいという気持ちが籠もっていた
> 同感です。もう、涙しかありません!でも、きっとジョンにはそんなこと伝わりきれません。そこは、わかってませんね。

私はそこまで考えてなかったんですが、深いですね……そう考えると泣けますね。「ジョンに伝わらない」ということも含めて。
シャーロックとジョンが出会ったのはS1、友情を深めていくのがS2ですが、S3では2人の違いを示唆する場面も多く描かれています。
帰ってきたシャーロックがジョンの気持ちを理解できなかったり、ジョンが結婚して出ていったりという「事実」はもちろん大きいですけれど、些細なことから「ああ、こんなにすれ違っていたんだな」と気づかされる場面も多い。癒着していた関係を一度全部壊して、独立した1人と1人として、改めて並び立ったのがこの場面のように思えます。

> でも、本心は「できれば、僕のことを覚えていてくれないか?もう会えないけど」だと思いたいです。

素敵なセリフ……!
中の人が2人とも出演してる「ホビット~竜に奪われた王国」のテーマ曲にそういう歌詞があったことを思い出して、ちょっと泣きそうです。
歌っていたエド・シーラン、ちょうど来日してましたね。歌声しか知らなかった私には、意外なキャラでした……

> >ご両親にとって初めての「息子の友達が遊びに来た」体験だったのでしょうか
> 少なくともシャーロックはそうだと、私は思います。
> だいぶ長い時間待たされましたよね。でもきっとあのお母さんなら、あまり気にしてないんじゃないかと思います。「この子もやっと、ちゃんとしたお友達ができたのね」ぐらいで。

気にしてないですよね!どんな家庭であの兄弟が育ったのか想像つきませんでしたが、
ちょっと素っ頓狂だけど温かい両親で良かったと思います。

こちらこそ長々とすみません。ちょっと臥せっておりましたが、そろそろ更新したいと思いますので、お見捨てなくまた来ていただけたら嬉しいです。

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Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

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