最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
【お願い】 ★記事における間違いは、できる限り修正したいと考えております。お気づきの点がありましたら、ご教示いただけるとありがたいです。
★コメントを歓迎しております。初めてコメントくださる方は、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。
→「コメントをくださる方へ
「あの場面の元ネタは?」という時はこちらへ
記事索引「ブリキの文書箱

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

兄弟のゲーム

懐かしの221Bで会話するマイクロフトとシャーロック。ただ話をするだけでなく、並行してチェスを……と思ったら、よくよく見ればオペレーションゲームをやっているようです。(オペレーションゲーム、懐かしいな!もうあんまり見なくないですか?と思ったらちゃんとamazonで売ってたわ……)
「チェスをやってた→飽きたのでオペレーションゲームを始めた」のかと思ってましたが、椅子、移動してないですよね。ずっと「部屋にチェス盤置いてあるのに、やってるの見たことないよなあ」と思ってたんですが、ここにきてまさかの寸止め。
まあ、出してあるんだから、オペレーションゲームの前にチェスをやってたんでしょうが、やっている姿を見せないのは「ホームズチェス嫌い説」に関係あるのかも。この説に関しては過去記事でも取り上げましたので、よろしければご参照ください。(過去記事『シャーロックとボードゲーム』
ひょっとしたら、チェスはシャーロックの持ち物ではなく、もともと221Bにあったのかもしれません。第3シリーズではハドスンさんの夫の描写も出てきますけど、ちょっとアンバリー老人っぽいといえなくもない、強烈なキャラですしね。生きてたらジョンが話し相手にさせられてたかもな。

ゲームに飽きると、推理遊びが始まったようです。
ホームズ兄弟のこの遊びは、原作にもあります。221Bディオゲネス・クラブの窓から通りを見下ろしながら、通りかかった男について推理合戦を繰り広げます。

「軍人あがりだと思うな」シャーロックがいった。
「ごく最近除隊になったばかりだね」兄がいう。
「インドで勤務していたのだ」
「そして下士官だよ」
「砲兵だと思う」
「細君をなくした」
「でも子供が一人ある」
「一人じゃないなあ。何人かあるよ」(ギリシャ語通訳)



現代版での推理合戦の対象は、毛糸の帽子。
依頼人が忘れていった帽子についてホームズが推理をする場面は、「青いガーネット」にありますね。引用するとすごく長くなっちゃうので要約すると、

・持ち主は知能が優れている(帽子のサイズが大きいので、脳も大きい)
・過去3年以内に裕福な時期があったが、零落した(3年前の流行の型の上等な品だが、新しいものが買えていない)
・以前は思慮深く、今は堕落している(飲酒癖がついたと推定)が、自尊心は残っている(飛ばされないように紐と止め金をつけているが、今は紐がきれている。また、しみにインクを塗ってごまかしている)
・すわりきりの生活、運動はしない、中年、髪は半白、二三日前に散髪したばかり。ライム入りのクリームを使う。
(床屋のはさみで刈った短い髪がたくさんついている、それらはべとついて、ライム入りクリームの匂いがする。帽子に室内特有の埃がついている。汗のしみがついているので、汗かきで運動に向かない)
・妻とうまくいっていない(帽子の手入れをしてくれていないから)
・家にガスをひいていない(ろうそくの垂れた跡があるので、ガス灯がないと思われる)



現代の感覚だと首をひねってしまうものもちらほらあります。原作の時代の科学では、「頭が大きい=脳の容量が大きい=頭がいい」と思われていたんですね。(関連記事『シャーロックと頭蓋骨』)現代版では、採用されているネタもされてないネタもあります。

"He?"
"Obviously."
"Why? Size of the hat?"
"Don't be silly.Some women have large heads too.No, he's recently had his hair cut,you can see the little hairs adhering to the perspiration stains on the inside."
「男?」
「明白だ」
「どうして?サイズか?」
「馬鹿なこと言うな、女性だって大頭はいる。そうじゃなくて、最近髪を切ったようで、内側の汗じみにごく短い髪がくっついているからだ」(拙訳)



特にしなくてもよさそうな「サイズの話」がわざわざ出てくるのは、前述の「脳の容量」の話を思い出させます。

【追記:2014.4.20】蝋のしみは5個、補修痕が5個という「数」も一致しているそうです。フレリンさんからメールで教えていただきました。(更新して1時間くらいで!)ありがとうございました!

決定的な証拠はないまでも、確率論で持ち主が男性だとあたりをつけるマイクロフト。Balance of probabilityというフレーズは、後にもう一度出てきますね。マイクロフトのほうが世慣れているから、こういう台詞が出てくるのかな。
一方、シャーロックはマイクロフトが孤立していることを厳しく指摘します。

"I am not lonely, Sherlock."
"How would you know?"
「私は孤独ではないよ、シャーロック」
「どうしてそんなことが言える?」(拙訳)



これは"A Scandal in Belgravia"での
"I'm not afraid of sex" "How would you know?"というやりとりの「報復」ですよね。

”The Empty Hearse"には"The Reihenbach Fall"の回想シーンが何度も出てくるんですが、その中で、シャーロックがビルから落ちたと思い込んだジョンが「通して下さい!彼は友達なんです」と叫ぶところも何度も繰り返されます。
ひょっとしたら、シャーロックはこれがすごく心に残っていたのかもしれません。「友達」という具体的な言葉で、ジョンの中の自分の場所を確認できたことが。もちろん嬉しいだけじゃなく、そう言ってくれるジョンのもとを去っていく痛みもあったでしょうが、離れていた2年間ずっと、シャーロックはある意味では心強かったんじゃないのかな。「お前より自分のほうが賢い」と長年弟に思い込ませ、自分以外の人間をすべて「金魚たち」と見下している兄に、「金魚の中の一匹である喜びを知ること」を経て、初めて本当の意味で反論できたのかもしれません。

ブログで「天然繊維の伸長強度を比較した(I've written a blog on the varying tensile strengths of different
natural fibre)」というシャーロック。ハドスンさんはともかく私に言われたくないでしょうが、相変わらずアクセス数の少なそうな記事を頑張って書いてるな……。
ホームズの(ワトスンの記録ほど)庶民一般に人気がない論文については、このブログでも以前まとめました。(関連記事『煙草の灰の研究』

ちょっとびっくりしたのは、"Elementary"(初歩だ)という台詞がここで出てきたこと。
ホームズは この表現を「背の曲がった男」で使っています。

“Excellent!” I cried.“Elementary,” said he.
「おみごと!」「なに、初歩さ。」



「初歩だよ、ワトスン君("Elementary,my dear fellow")」という台詞は実は原作には存在しない(※正確には、それぞれの文を言ったことはあるが、組み合わせて使ったことがない)というのは有名な話ですが(P.G.ウッドハウスの小説やウィリアム・ジレットの映画など広まったフレーズらしいです)、ここではマイクロフトが使ってるんですね。小さなことですが、こだわりを感じます。
【追記2】観返したところ、どちらが話していたか聞き違えていた部分がありました。はじめシャーロックがElementaryと言ったように思ってたのですが、聞き違いでマイクロフトの台詞でした。すみません!打消し線で修正するとややこしくなるので、文全体を書き換えました。
【追記3:2014.5.2】221Bとディオゲネスクラブを間違えてました……なんかもう色々すみません。

(原作からの引用はすべて延原謙訳)
関連記事
スポンサーサイト

この記事へのコメント

トラックバック

URL :

プロフィール

Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

ご閲覧やRSS登録ありがとうございます!まだ廃墟じゃありませんよ~!亀の歩みですが、過去の振り返りも含めてのんびり元ネタ探し続けていきたいと思います。

メールはこちらへ

Twitter
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
索引
このブログで考察した「元ネタ」を、ドラマの時系列に沿って探すための索引サイトです。 順次更新致します。 「21世紀探偵・ブリキの文書箱」
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR
blog mura
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。