最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
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兄弟の再会

マイクロフトとの会話によると、シャーロックは「死んでいた」間も忙しく働いていたようです。

【追記:2014.4.27】後から思い出したので追記。
シャーロックが忙しかったことは
"You have been busy, haven't you?" "Quite the busy little bee."
「忙しかったようだな」「ミツバチみたいにね」
(拙訳)というやりとりでわかります。
忙しい人を働きバチに例えることはよくありますが、ホームズもどっかで言ってたような……と探してみたら、「這う男」でした。

「あるかどうか、当って砕けろだね」
「大いによろしい!"忙しい蜂"と"より高きへ"の合成だね。当って砕けろ―― 不動のモットーだ。親切な土地の人間が現われて誘導してくれるに違いないよ」


「忙しい蜂」と「より高きへ」は原文では "Busy Bee and Excelsior."
私の持っている版は脚注がついていて、「エキセルショアはさらに向上を意味するラテン語でアメリカのモットー。ロングフェロウの同名の詩で有名になった」そうです。
日本にも同名のカフェのチェーン店があったと思います。群馬にはないけど。
ロングフェローの詩はこちらで読めます
ホームズは「勤勉と向上心」をちょっと洒落て言ってみた、って感じなのかな。


"Moriarty's network. Took me two years to dismantle it."
「モリアーティの残党。解体するのに2年かかった(拙訳)」



原作ではこんな風に語っています。

「(前略)モリアティが落ちたとたんに、ふと僕は考えついたのだが、これは何という幸運を神は与えてくれたことだろう!僕の生命をねらっているのは、決してモリアティ一人ではない。首領の死を知って、僕への復讐の念頭をいよいよ強くするやつが、少なくとも三人はあるのを僕は知っている。三人ともこのうえなく危険な人物だから、そのなかの誰かが目的を達するに違いない。それに反して、ここで僕が死んだものと世間に信じさせておけば、自然彼らは解放されたつもりで、仕事をはじめるに違いない。仕事をはじめたら、遅かれ早かれ僕はそいつを取って押さえて、そこで初めてまだ生きていたぞと名乗りをあげるのだ。(後略)」



「最後の事件」でホームズが「死んだ」のは、1891年5月。その後、モリアティの残党の「最も危険な人物」二名は裁判で無罪に。モリアティの部下にはライヘンバッハで生き残っているのを見られているため、まだまだロンドンは危険だと悟ったホームズは、二年間チベットの探検にでかけます。その後ペルシャ、エジプト、フランスと移動しますが、少なくともホームズの談話からは、1894年の春にロンドンでワトスンと再会するまで、探偵の「仕事」をしている様子は見られません。

シャーロックの潜入にはモーペルトイ男爵(Baron Maupertuis)なる人物が絡んでいたようですが、モーペルトイの話は、「ライゲートの大地主」冒頭に出てきますね。1887年春、ホームズはフランスで国際的な大事件を解決した後、過労で倒れてしまうのですが、どうもその「国際的大事件」にこの人が関係していたようです。

The whole question of the Netherland-Sumatra Company and of the colossal schemes of Baron Maupertuis are too recent in the minds of the public, and are too intimately concerned with politics and finance to be fitting subjects for this series of sketches.They led, however, in an indirect fashion to a singular and complex problem which gave my friend an opportunity of demonstrating the value of a fresh weapon among the many with which he waged his lifelong battle against crime.

かの有名なオランダ領スマトラ会社事件、モーペルトイ男爵の大陰謀事件などは、あまりにも世間の記憶になまなましくはあり、あまりにも政治経済方面に関係がありすぎて、ここにホームズ探偵譚の一つとして物語るにはいささか不適当ではあるけれど、それがホームズを間接に、奇怪にして複雑な事件に引き入れ、ひいては彼が終生の敵として闘っている犯罪に、新しい武器の威力を示す機会をあたえることになったのである。



シャーロックの二年間には、こちらの「海外遠征」が混入しているようです。現代版シャーロックとマイクロフトの会話にも、

"Quite a scheme."「一大計画だな」
"Colossal."「壮大だ」(拙訳)


と、同じ表現が使われていますね。また、前もって発表されていたこのお話のキーワードは"rat"であり、原作ファンに「スマトラの大鼠」(サセックスの吸血鬼)を連想させたわけですが、物語の後半でキーワードになる「スマトラ」という言葉がここでも現れています。

数時間でセルビア語をマスターしたというマイクロフト。
ほんの少しですが、"The Blind Banker"でもシャーロックがドイツ語を使う場面がありました。中国語は話せないようです。
「話せなかったさ。だがスラブ語系だ(拙訳)」と言ってたマイクロフトは、スラブ語系の他言語の知識を応用してセルビア語を身につけたようですが、印欧語なら何とかなるものが多いのかしら。
原作のホームズは、ドイツ語・フランス語・ラテン語を時々引用していますね。また、フランス人労働者の振りをしていたり(『フランシス・カーファックス姫の失踪』)ドイツ語文法に言及したり(『ボヘミアの醜聞』)していますので、ここらへんはペラペラという印象があります。「赤い輪」ではイタリア語も、ちょっとつっかえながらも思い出していました。


助けてはくれたものの、一筋縄ではいかないマイクロフト。きっちり借りを返してもらうつもりのようで……

"In case you've forgotten,field work is not my natural milieu."
「忘れたかもしれないから言っておくが、現場仕事は私の領分じゃない(拙訳)」


と、弟に釘をさします。

原作では、体を使うのが嫌いで、職場とクラブと自宅以外には出向かないというマイクロフト。
その異常なまでの面倒くさがりようはホームズも口にしていますが、本人もこう言ってます。

「(前略)あちこち走りまわったり、鉄道員を尋問したり、レンズをもって腹ばいになったり、そういうことは苦手なんでね。この解決はお前にかぎるよ。(後略・『ブルース・パティントン設計書』)



「鈍ってきた」と揶揄する弟に「もう中年だから」と返してはいますが、現代版のマイクロフトは原作よりもだいぶ活動的で若々しいですよね。スリムですし!

(原作からの引用はすべて延原謙訳)
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この記事へのコメント

ついに第1話を鑑賞いたしました! - YOKO - 2014年02月26日 13:27:32

DVDを手に入れて、昨夜一話だけ見てみました。
が、ほとんど台詞は分かりませんでした(号泣)

これからコツコツとポーズボタンを押しながら解読することになりそうです。
それとももうどこかにスクリプトが載ってたりするかもしれませんね。

ずっとネタバレを回避していましたが、やっとこ解禁です。
(まだ1だけですけど。)これからもよろしくです。

おお! - ナツミ - 2014年02月26日 21:33:33

YOKO様

お待ちしておりました!ついに解禁ですね!
わかったような顔して記事を書いていますが、ちゃんとわかっているかどうかは怪しい私です。
もし何か変なことを書いていたら指摘してやってください……!
こちらこそ、今後ともよろしくお願い致します。

この先まだまだ、2話、3話が楽しみですね!
第3シリーズを既にごらんになった方には、何話が一番評判いいのでしょうね。元ネタ探し遊びが一段落するまではあまりネットでの評価を見ないようにしているので、そこらへんたいへん疎い私です。
私は第1話ラストのシャーロックとジョンの会話がよかったな~!正直、SHERLOCKを観続けて7話目にして初めて涙ぐみました。

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Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスンがより好きです。

2017年エイプリル・フールお片付けしました。お付き合いありがとうございました!片付けきれてないところがあったらお知らせいただければありがたいです。

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