最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
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Many Happy Returns

※第3シリーズの内容に関わる記述があります。

2013年のクリスマスに発表された、小さなエピソード。

(検索したところ、日本語字幕がついた動画もいくつかあるようです。ファンの方による、ご厚意の投稿だと思います。なにかご迷惑をかけるといけませんので、ここではBBCが投稿したものを載せましたが、ご興味のある方はタイトルを検索してご覧になってください!)

クリスマスイブにはもうアップロードされていたようでしたので、既にご覧になった方がほとんどだと思いますが、ざっと粗筋を書いてみます。

★★★
シャーロックの生存を信じている男がいた。それは、元・科学捜査官のアンダースン。
彼はこの説に固執するあまり、ヤードを退職してしまっていた。
「シャーロックは生きている」という根拠を、レストレードに向かって並べ立てるアンダースン。
さまざまな国で、シャーロックが関わっているとしか思えない難事件の解決が行われていた。
アンダースンによると、それはだんだんロンドンに近づいてきている。

アンダースンと別れたレストレードは、ジョンに会いに行く。
彼は、ジョンに一枚のDVDを渡す。以前、ジョンの誕生祝いのディナーに来られなかったシャーロックに、レストレードがお祝いのメッセージを言わせて撮影したことがあった。その動画の、未編集バージョンが入っているという。

★★★

全体的に、シャーロックの「帰還」を仄めかす内容になっています。
まず、(シャーロックからジョンへのメッセージでもある)タイトルがそうですね。お誕生日を迎えた人に贈る言葉"Many happy returns"(今日のこの幸せが、何度もあなたに訪れますように)"には、「空家の冒険」が収録されている短編集"The Return of Sherlock Holmes"の"Return"が含まれています。
そして、レストレードが街角で見かけるスポーツ紙の見出し"THE GAME IS BACK ON(試合再開)"。
これは"A Study in Pink"での、シャーロックの"The game is on"という台詞につながっていて、元ネタは原作のホームズによる"The game is afoot"(獲物が現れた)です。さらにその元ネタはシェイクスピアの…面倒なので過去記事にリンク貼ります!(関連記事:『タイトルについて(3)』

シャーロックからジョンへのメッセージには、「心配するな。もうすぐ、また君といっしょになる(←延原先生風に試訳)」という言葉も出てきます。もともと二人が一時的に離れていた時に撮られた動画なので、ほんの偶然なのですが、シャーロックと出会う前を思わせる、がらんとした部屋でこれを見ているジョンは、きっと胸が熱くなったと思います(視聴者も!)
ジョンが思わずつぶやいた"stop being dead"という「指示」に、画面上のシャーロックがたまたま"Okay"と「返事する」ところにも泣かされますね。

さて、元ネタ探しですが、「失踪中にホームズがいろいろな国をさまよっていた」ということは「空家の冒険」で明かされます。ちょっと信じられないような話なのですが……

「(前略)だから僕は二年間チベットへ行ってきた。そのあいだラサへも行って、面白かったし、ラマの長と数日を過したこともある。ジーゲルソンというノルウェー人の非凡な探検記を、君は読んだかもしれないが、あれが君の親友のニュースだとはまさか気がつかなかったろう。
それから僕はペルシャを通過して、メッカをちょっとのぞき、エジプトのハルツームで回教王をも訪問したものだが、それらのことは外務省のほうへ報告を出しておいた。
 フランスへ帰ってきてからは、南フランスのモンペリエのある研究所で、コールタール誘導体の研究をやったが、数カ月で満足すべき成果を得たし、ロンドンには敵が一人しかいなくなっていると知ったので、帰国しようと思っている矢先へ、こんどのパーク・レーン事件だ。(後略・延原謙訳)」



冒頭に出てくる「仏教徒の僧兵」たちは、ラサに行ったくだりへのオマージュでしょうね。
アンダースンが「だんだんロンドンに近づいてくる」と言うのは、ホームズが最終的にお隣の国であるフランスにいたことに由来しているのではないでしょうか。アンダースンの地図では、シャーロックの「最新目撃地点」は フランスの北端あたりに見えます。ホームズの辿ったルートと、アンダースンの地図、比較してみたら面白そうです。

そして、シャーロックが解決した事件の中には「語られざる事件」が!

「ニューデリー事件(命名:アンダースン)での、犯人が「チョコレートフレークがアイスクリームにどれだけ沈んだかで判明した」エピソードは、「六つのナポレオン」に出てくる「アバネティ一家の事件」からですね!

「(前略)ワトスン君は覚えているだろうが、あのアバネティ一家の恐るべき事件は、夏の暑い日にパセリがバターのなかへ沈んだその深さに僕が気づいたのが始まりだったんだからね(後略・延原謙訳)」



余談ですが私、この「パセリがバターに沈む」というのがどういう状態か、想像できなかったのです。小学生の頃からずーっと。
バターは塊だとして、パセリは刻まれているのか、ひと房(?)ぽんと載っているのか。
この疑問は一生「とけない」かと思っていたのですが、ドイツに旅行した時、宮廷での晩餐会を模したイベントに参加してこれを見つけたときはすごく嬉しかったです!ホームズがアバネティ家で見つけたものと同じ状態かはわかりませんが。

パセリとバター

「トレポフ氏の妻の殺人事件」(これも個人的な感慨ですが、トレポフがドイツ系の名前だということに、アンダースンが地図を指差すまで気付きませんでしたよ……!カタカナはぜんぶ英語だと思ってた、小学校の図書室での読書時代から基本的に進歩してない……!)は、「ボヘミアの醜聞」に出てくる「語られざる事件」から。

たとえばトレポフ殺人事件でオデッサへ招かれていったこと、トリンコマリーのアトキンスン兄弟の奇怪きわまる惨劇を解決したこと、さてはオランダ王室から頼まれたむずかしい使命を、いともみごとに果したことなどである。(延原謙訳)



レストレードが「シャーロックなしでも解決した」という事件を挙げ、アンダースンが「でも、タワーハウスの件は読み違えてた」と突っ込むくだりは、「空家の冒険」でのレストレードとホームズの再会シーンを思い出させます。

「非公式な助力も少しは必要かと思ってね。迷宮入りの殺人事件が一年に三つでは、困りますよね。しかしあのモールセイ事件だけは日ごろの君にも……いや実にお手際でしたよ(延原謙訳)」



「クライン兄弟の事件」「ケンジントン・リッパー」「タワーハウスの事件」と、レストレードが単独で解決した(?)事件も、すごく面白そうですね。「ケンジントン・リッパー」はやはり切り裂きジャック事件、「クライン兄弟」は先述した「トリンコマリーのアトキンスン兄弟の奇怪きわまる惨劇」、「タワーハウス」は「ギリシャ語通訳」でマイクロフトが弟に「お前には荷が勝ちすぎてる」と言った「マナーハウスの事件」を思いだすのですが……犯罪史やホームズ学に詳しい方には、もっと別の意見がありそうです。

レストレードが持って来た箱の、DVD以外の中身も気になります。
携帯はあの事件の証拠品として、マスクはなんだろう……原作の「黄いろい顔」を思い出すのですが。現実にあれが窓から覗いてたらすごく怖いな!!

ジョンの友人たちと顔を合わせたくなくて、「忙しい」と嘘をつくシャーロック。
「言い訳をもっとよく考えなくていいのか」と聞くレストレードに
"Only lies have details.(つべこべ言うと、余計に嘘っぽくなる)"と返すのですが、この「嘘だけが細部を持つ(≒真実は常に単純?)」という表現、原作になかったかしら。「赤髪組合」の 「一般に事件というものは、不可解であればあるだけ、解釈は容易なもの(延原謙訳)」かな?全体的な意味合いが違いますが……
ちょっとこれは思いつかないのですが、#SHERLOCKLIVES期間中は「歴史の生き証人として」勢いで記事をアップしてしまった方がいいような気がするので、後ほど時間をかけて探してみます。


さて、この動画はジョンの心を大きく動かしたようです。
ブログにこのことを書き、それを最後の記事としています。記事の最終行では、シャーロックがテレビの中からジョンに語りかけたように、ジョンもシャーロックに語りかけています。

もしシャーロックがこの記事を読んだら、帰りたいという気持ちを強めるのではないかしら。
過去記事「シャーロックとハドスンさん」のコメント欄でRMさんが引用してくださっていますが、「最後の事件」の終わりにはワトスンの個人的な、友を想う熱い言葉が書かれています。
以前も、「最後の事件」の記録の発表と「空家の冒険」での二人の再会の近さに触れましたが(関連記事:『再開と再会』)、ジョンが語りかける言葉が、シャーロックの帰還の呼び水になるような気がします。

以下は感想というか叫びです。


レストレードかっこいい!(こんなに洒落たことができるのに、なんで奥さん浮気したんだろう……)
疲れきったジョン、なんだか色っぽい!
そして、何よりもアンダースン!シャーロックとは犬猿の仲と思いきや、なんと人生狂わせてしまうほどのファンだったとは!
(ジョンのブログやシャーロックのサイトに初期から書き込んでいる"theimprobableone"は彼だったのかしら。私、ずっとマイクロフトだと思ってました!)
【追記:2013.12.28】ジョンのブログの、別にアップされた記事"Death by Twitter"を読んだところ、どうやらどちらとも別人ですね。当て推量を書いてすみませんでした!しかも与えられていたデータすら見ずに……!ホームズが激怒しそう!)

これは、「アンダースンが意外なキーパーソン説」に信憑性が出てきました……!
(関連記事:『アンダースン』
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この記事へのコメント

さぁ、ゲームのはじまりだ!! - トビィ - 2013年12月27日 15:30:33

ナツミさん、こんにちは。

S3を観るまでは我慢しようと思っていたのに、いざPCの前に座ると「SHERLOCK」を検索してしまいます。

「Many Happy Returns」予告編とは思えない仕上がりですね。
7分13秒間、見入ってしまいました。
この短い時間に「語られなかった事件」が盛りだくさんで頭がいっぱいになります。

>そして、何よりもアンダースン!
すっかり廃人・・・じゃなくてやさぐれてますね。
2人とも仲が良いとは言えなかったのに。
シャーロックと再会した時どうなるんだろう・・・?

>レストレードが持って来た箱の、DVD以外の中身も気になります。
正典の小ネタがいっぱいでしたね。憎い演出です。

そして、やる事が格好良いですね!レストレード!!
高架下で飲んでいる時とは別人のよう(笑)

ジョンの家、221-Bの部屋と違ってとても綺麗。
あまりにもDVDとタイミングが良いので、マイクロフトがどこかに監視カメラセットしているんじゃない!?と別の心配がでてきました・・・。

あと少しでシャーロックと再会できるからね。ジョン、頑張れ!

始まりまで秒読み! - ナツミ - 2013年12月28日 12:56:42

始まりまで秒読み!
トビィさん、こんばんは!

> S3を観るまでは我慢しようと思っていたのに、いざPCの前に座ると「SHERLOCK」を検索してしまいます。

やっぱり、気になりますよね。
まっさらな状態でS3を待ちたい気もするのですが、製作者は「帰還」を待つ時間も演出してくれている、というのがよくわかるので、踊らにゃ損損!という気持ちもあります。
私は原作ホームズの時代に乗り遅れたのがとても残念だったので、望外の幸福を日々噛みしめてます!

> 「Many Happy Returns」予告編とは思えない仕上がりですね。
> 7分13秒間、見入ってしまいました。
> この短い時間に「語られなかった事件」が盛りだくさんで頭がいっぱいになります。

本当に!元ネタ邪推記事も、こんなに長くなるとは思いも寄らなかったです。
なんとなく、ジェイコブ君あたりのスピンオフ話かなあ、と予想してたのですが、主要キャラががっつり出てるし!

> すっかり廃人・・・じゃなくてやさぐれてますね。
> 2人とも仲が良いとは言えなかったのに。
> シャーロックと再会した時どうなるんだろう・・・?

やさぐれている……というよりは、シャーロック生還の検証に打ち込むあまり、他のことに気が回らなくなっているようにも思えます。(サリーとは別れちゃったのかな?)
私も、二人は犬猿の仲だと思ってました!(『相棒』の薫ちゃんとイタミンみたいな!)
tもし、私がマイクロフトだと思い込んでたheimprobableoneが彼だったとしたら、実はシャーロックの大ファンだったということになりますね。シャーロックは好かれて迷惑だったのかな?

↑すみません、ジョンのブログを読み進めたら、これ、どちらも違うみたいですね!

> >レストレードが持って来た箱の、DVD以外の中身も気になります。
> 正典の小ネタがいっぱいでしたね。憎い演出です。

"NIKON"と書かれた箱(『SHERLOCKの中の日本』だ!)と、望遠レンズのようなものも入ってましたね。私はマスクしかわからなかったのですが、他にも「正典ネタ」ありましたか?もしあったらぜひ教えてください!

> そして、やる事が格好良いですね!レストレード!!
> 高架下で飲んでいる時とは別人のよう(笑)

いや、飲んでませんから!(笑)
本当に、こんなに気が効く上に部下の面倒見もいいのに、なぜそのスキルを妻に発揮できないのか……
シャーロックとジョンの仲を取り持ってる場合じゃないだろ!(それとも、もう奥さんとは仲直りしたんでしょうか)

> ジョンの家、221-Bの部屋と違ってとても綺麗。
> あまりにもDVDとタイミングが良いので、マイクロフトがどこかに監視カメラセットしているんじゃない!?と別の心配がでてきました・・・。

本来、荷物が少ない人なんでしょうね。221Bに散らかってたものは、ほとんどシャーロックのものなんじゃないでしょうか。
マイクロフト、まだ監視してるの!?DVDと連動してるとしたら、レストレードと同じくらい何やってんの?と言いたい……!

> あと少しでシャーロックと再会できるからね。ジョン、頑張れ!

わ~ん、トビィさんの温かいお言葉に私までもらい泣きです!!!

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Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

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