最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
【お願い】 ★記事における間違いは、できる限り修正したいと考えております。お気づきの点がありましたら、ご教示いただけるとありがたいです。
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ジョンの肘掛け椅子

ジョンが221bを初めて訪れた時、迷わずにひとつの肘掛け椅子を選んで腰を下ろします。
彼はこの時脚の調子がよくなかったので、何げない動作に見えるのですが、原作ファンにとっては感動の一瞬なんです。

この「ワトスンの肘掛け椅子」は原作にもありました。



…と、偉そうに言っておいて、wikiのワトスンのページにも使われている、一番よく見る挿絵を引用してみて愕然。
肘掛け、ついてない!

画像検索をかけてみると、ホームズが肘掛け椅子に座っている絵はいっぱい出てくるのですが、ワトスンは立っているか、簡易な椅子に掛けてる絵が多いですね。ひとつの画面に肘掛け椅子ふたつはさすがにうるさいから?

"SHERLOCK"の221Bでは、ジョンがどっかり腰掛けて、シャーロックが立ってうろうろしてる構図の方が多い印象があるのですが、これはシャーロックに落ち着きがないから、いや、若々しいからでしょうか…

のっけから怪しくなってきましたが、「ワトスンの椅子」はあるんですよ!本当に!
証人はほかならぬホームズです!

ライヘンバッハの滝で失踪して3年目、不意にワトスンの医院に現れたホームズが、それまでの経緯を語る長い長い台詞の最後のパラグラフ。

「(前略)ロンドンに着くと、まずベーカー街の旧居に自身乗りこんで、おかみさんのハドスン夫人を気絶せんばかりに驚かしてしまった。旧居は兄のマイクロフトの骨折りで、書類などもそっくりそのまま、以前の通りに保存されていた。というわけで、きょうの午後二時には、昔なつかしいあの部屋の坐りなれた肘掛いすに僕は納まったわけだが、親友ワトスン君が昔どおり、おなじみのいすに掛けていないのだけが物足りなかった」(『空家の冒険』)



「というわけで、」以下の文は、延原先生の素朴でしみじみとした語り口もいいんですが、原文もいいんです。
adornは「彩を添える」とか「飾る」、「魅力的にする」という感じで、もうひとつの椅子にワトスンがいないとあの部屋の景色が完成しないんだ、というホームズの気持ちが、和訳とはまた違ったかたちで伝わってきますよね。だからこそ、ジョンがあの椅子に「納まった」瞬間にはちょっとした感動があります。

So it was, my dear Watson, that at two o’clock to-day I found myself in my old armchair in my own old room, and only wishing that I could have seen my old friend Watson in the other chair which he has so often adorned.”



感動したのはいいんですが、まだ「肘掛け」問題は解決しておりません。
原作のワトスンとホームズはずっと一緒に暮らしていたわけではなくて、何度か疎遠になっている時期があり、その都度「再会」があります。まず、ワトスンがメアリ・モースタン嬢と結婚して221Bを出たあと、ホームズとの交流が復活するまでしばらく間があります。(その間にワトスンは医院を開業して経営を軌道に乗せているので、結構長いブランクだと思われます。)二人の「再会」は「ボヘミアの醜聞」で描かれます。次に、「最後の事件」から二年余りのホームズの失踪。いわゆる「大空白時代」ですね。再会は上記の「空家の冒険」です。
その後また221Bで同居を始めますが、ホームズが探偵をやめてサセックスに引っ越すよりも前に、ワトスンは221Bを出ています。理由は、再婚という説が有力なようですが、メアリの時のように妻が描かれることはありません。何があったかわかりませんが、またここで二人の間にすこし距離が置かれ、ワトスンが久しぶりに訪ねてくる場面が「マザリンの宝石」にあります。「よく道を忘れずに来てくれた」とワトスンを迎えるホームズ。(ちなみに原文は"it is good to see you in your old quarters once again." ワトスンが出て行ったことにもなかなか訪ねてこないことにも不満なホームズの皮肉を汲み取った、名訳だと思います…)

「(前略)アルコールやってもいいのかい?ガソジンも葉巻も昔と同じところにある。まあ昔よく掛けたひじ掛け椅子に納まってみせてくれたまえ。僕はあいかわらずパイプで哀れなタバコをやっているが、いやになってやしないだろうね?(後略)」



やはり、「おなじみの椅子」は肘掛け椅子(the customary armchair)だったようです。
隠退直前の事件の話、「這う男」には、「ひじ掛け椅子におさまってひざを立て」たホームズが、「片手をあげてなつかしい私のひじかけ椅子のほうに振った」という描写があるので、ホームズ、ワトスンそれぞれに肘掛け椅子があるようですね。
こちらの挿絵には両方の椅子に肘掛けがついています。


ホームズは自分の椅子を懐かしい、慕わしい場所と感じていて、もうひとつの椅子にはワトスンが座っていて欲しいのですね。一方、「這う男」でワトスンは「ホームズは自分に話しかけながら思索を進めるのが好きだけれど、大部分はベッドに向かって話しかけているようなもの」というようなことを言っています。

「そこにいて欲しい」という思いは、友情とか感傷とか、美しい言葉だけで語れるものではないのかもしれません。ホームズの支配者的な資質に起因しているかもしれないし、「同じ場所にあるべきものがないと落ち着かない」という、神経症的な理由があるのかもしれないですよね。それに対するワトスンの苛立ちとか、二人の間の倦怠感とか、離れたい衝動とか、二人の友人の歴史にはそういう負の要素も含まれていたのだと思います。
でも、たとえ相手を疎ましく思っている時や、忘れている時でも、それぞれの居場所はお互いの心にいつもあって、ホームズにとってのワトスンの居場所の象徴が、この椅子だったのでしょうね。
今はどこでどうしているのかわからないシャーロックも、あの肘掛け椅子にジョンが座っている光景を思い浮かべることがあるのでしょうか。

(原作の引用はすべて延原謙訳)
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この記事へのコメント

- トビィ - 2013年02月27日 14:34:15

ナツミさん、みなさんこんにちは。

Wikipediaの挿絵を見た感想はなんて左右アンバランスな椅子( ̄◇ ̄;)
リサイクルショップで購入⁈
話がまた逸れてしまいました(笑)
ホームズが椅子の上でとぐろを巻いているイメージはありますが、ワトスンが腰掛けているイメージはないですね。
依頼人が来るとホームズの正面にある(自分の)椅子を譲るからでしょうか?
ホームズの正面に腰掛けるのも度胸がいるけどσ(^_^;)

ジムが部屋に訪ねて来た時に自分の椅子に座られてムッとしたシャーロックですが、『ホームズの支配者的な資質に起因しているかもしれないし、「同じ場所にあるべきもせのがないと落ち着かない」という、神経症的な理由がある』その通りですね。
話の途中からワトスンも肘掛付き椅子になっていますが、ホームズに椅子の交換頼んだけど、断られてワトスン自腹で買ったのかもしれない(^◇^;)

暖炉を挟んでホームズとワトスンが椅子に腰掛けているシーンはいつ見ても良いですね。

フルーツバスケット - YOKO - 2013年02月27日 16:57:26

こんにちは。
ホームズにとって、221Bのあの暖炉の前にいろいろな懐かしいものと同様に、ワトスンが座っていることこそ、画竜点睛なんでしょうね。なんかジーンとする台詞ですよね。

トビィさん、ワトスンが仕方なく自分のイスを買ってきた・・・とかうけますよ~。
現代版は肘掛け椅子が初めから二つあってよかったです。

ところで、ナツミさん、ガソジン?!
私、延原謙訳でしか読んでないのですが、ガソジンなんて言葉を見た覚えがないです。
ここ、なんか別の日本語になってたような気がするのですが・・・。
思い出せません。
ソーダ製造機?ウィスキーソーダ器??
家に帰って、本棚ごそごそしてみます。
「ソブリン」を「ゾウリン」と読んでた私なので、またやらかしてるだけかもしれませんが。

ワトスン、どこで買ったの? - ナツミ - 2013年02月28日 06:31:32

トビィ様

リサイクルショップで購入!
椅子を自腹で買うワトスンにウケたYOKOさん同様、私も吹き出してしまいました。
この挿絵でホームズが座っている籐椅子も、文中に出ていたように思いますので、インテリアとしてか、用途が違うからかわかりませんが、実際にいろいろな椅子があったんでしょうね。現代版の221Bでも、タイプの違う椅子がいくつか並んでいますよね。
ちなみにうちの椅子も不揃いですが、これはお洒落ではなくて本当にリサイクルショップで買いました…

> ジムが部屋に訪ねて来た時に自分の椅子に座られてムッとしたシャーロックですが、『ホームズの支配者的な資質に起因しているかもしれないし、「同じ場所にあるべきもせのがないと落ち着かない」という、神経症的な理由がある』その通りですね。

なるほど、そうすることで、ジムはわざとシャーロックを苛立たせようとしたのかもしれませんね。
以前にRMさんがおっしゃっていたと思うのですが、「第二の汚点」ではレディ・ヒルダが故意に窓を背にした席を選んだことをホームズが指摘しています。光を背にすることで威圧感を与えたり、表情を読み取りにくくさせる効果もあるようですね。
ホームズもこの位置を好んだようですが、S1E3でマイクロフトが来訪した時、シャーロックも同じ位置にいますね。日本だとお客様は上座、という意識があるのでちょっと違和感があるんですが。アイリーンの家を訪問する場面とか、ヘンリーが来た場面などもあとで確認してみたいです。


> 暖炉を挟んでホームズとワトスンが椅子に腰掛けているシーンはいつ見ても良いですね。

本当ですね!シャーロックとジョンはテレビを観たり(そして文句を言ったり)PCに向かったりもしていますが、原作ではワトスンが小説を夢中になって読んでいたり、ホームズが索引帳を作っていたり、という場面を思い出しますよね。
そして、暖炉があかあかと燃えているイメージがあります。ロンドンが霧に包まれていても、起こる事件が陰惨でも、221Bはいつも居心地がよさそうで、物語全体の印象を優しいものにしていますよね。

ガソジンの謎 - ナツミ - 2013年02月28日 07:10:15

YOKO様

> ホームズにとって、221Bのあの暖炉の前にいろいろな懐かしいものと同様に、ワトスンが座っていることこそ、画竜点睛なんでしょうね。なんかジーンとする台詞ですよね。

そうですね。トビィさんがおっしゃっているように、いつもは来客が座っていただと思うんです。誰もいない221Bに帰ってきて自分の椅子に座ったとき、ぽっかり空いていたんだろうなあ、と思うと、ホームズの気持ちにジーンときてしまいます。

> ところで、ナツミさん、ガソジン?!
> 私、延原謙訳でしか読んでないのですが、ガソジンなんて言葉を見た覚えがないです。
> ここ、なんか別の日本語になってたような気がするのですが・・・。
> 思い出せません。
> ソーダ製造機?ウィスキーソーダ器?

あ、実はいま私の手元にある「事件簿」はかなり新しい版なんです!
ホームズシリーズの翻訳は、何度か手放して買い直しているのですが、そういえば以前読んだものは、「炭酸水製造装置」のような長めの「漢字の羅列」に「ガソジン」または「ガソジーン」とルビが振ってあったような。
版を重ねるごとに、表現の改訂がなされているのでしょうね。

いずれにしてもこの「ガソジン」、一般的なものというよりは、好事家のアイテム、という感じがしますよね。
リンク先のwikiでわざわざホームズに触れているということは、逆にいうと欧米でももうホームズ物語の中くらいでしか見かけないものなのかしら。
最も歴史あるシャーロキアン団体「ベイカー・ストリート・イレギュラーズ」では、会長さんのことを「ガソジン」と呼ぶらしいです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%BA

ソーダ水 - YOKO - 2013年03月01日 08:44:37

ナたツミさん、本棚の事件簿を確認しましたら、「ソーダ水も葉巻も」となっていました。製造機なんて言葉はありませんでした。ルビも振られていませんでした。
因みに、昭和53年の、第44刷でした。私の買ったのは1978年とメモしてました。何とも年代物になってしまいました。改訂版もかいましょうかねー。

グラナダ版の椅子の話ならできそうなので - RM - 2013年03月02日 00:45:59

ナツミさん、コメント欄ではお久しぶりです。このところの皆様の楽しい会話に、私も何か、無駄に口をはさみたくてうずうずしていました。椅子のお話、それもグラナダ版のことなら、おしゃべりできます。

>以前にRMさんがおっしゃっていたと思うのですが、「第二の汚点」ではレディ・ヒルダが故意に窓を背にした席を選んだことをホームズが指摘しています。

そうそう、そうでした!この時も、グラナダ版「第二の汚点」ではレディ・ヒルダは座らないけれども、ということから、話はグラナダ版に(強引に)うつっていったのでした。
(ジムの来訪;http://sherlock221b.blog.fc2.com/blog-entry-134.html

>この挿絵でホームズが座っている籐椅子も、文中に出ていたように思いますので、インテリアとしてか、用途が違うからかわかりませんが、実際にいろいろな椅子があったんでしょうね。現代版の221Bでも、タイプの違う椅子がいくつか並んでいますよね。

ここでグラナダ版での椅子のお話を。

「籐椅子」に興味をおぼえてまず原典を調べたら、おっしゃるとおりみつかって、たとえば「青いガーネット」でホームズがライダーに、「その籐椅子にかけてください。話をするまえに、ちょっとスリッパにはきかえます」と言っていますね。そしてグラナダ版では、ライダーはホームズの椅子をすすめられていて、その時のホームズのせりふは、”Take my chair"で"basket-chair"とは言っていません。

ホームズの椅子と、ワトスンが暖炉をはさんですわる椅子はグラナダ版ではお揃いで(リサイクルショップで買い足す必要はなかったようです、うふふ)、上の挿絵の籐椅子よりもずっと目の詰まった、植物の細い茎か何かを規則正しく織り上げたような感じの背もたれと両側面を持った椅子です。ソファもお揃いです。

で、何を言いたいかというと、原典ではホームズの肘掛け椅子と籐椅子は別の椅子だったのかもしれませんが、グラナダ版ではどうも一つになったような印象があります。籐椅子っぽい肘掛け椅子に。(参考までに、Jeremy Brett Informationのスクリーンキャプチャのアドレスです。http://jeremybrett.info/Sh_Stills/Return/Six/images/The%20Six%20Napoleons%20%2897%29.jpg
ただ私はbasket-chairの定義がわからないので、もしかしたら見当違いのことを書いているかもしれませんが。

それから、ナツミさんの記事の一番上の挿絵でワトスンがすわっている椅子、グラナダ版で食事をする時に座る椅子にちょっと似ているなあ、なんて思っています。(http://jeremybrett.info/Sh_Stills/Casebook/Bridge/images/The%20Problem%20of%20Thor%20Bridge%20%2834%29.jpg ホームズの右側の食卓の椅子)

ちなみに、2番目にアドレスを書いた写真でホームズが座っているのは、ホームズの書き物机の椅子で皮椅子、最初にアドレスを書いた写真でホームズの向こう側にみえているのが、ワトスンの書き物机の椅子で、背中部分が植物の茎か何かでできているような感じです。両方とも肘掛けがついています。まとめるとグラナダ版では、二人の専用の椅子がそれぞれ2脚、それ以外に長椅子、食卓の椅子、化学実験台の椅子がありました。専用と書きましたが、時々相手の椅子に座っているのもほほえましい感じです。

というわけで、グラナダ版の椅子のお話でした。

謎は深まるばかり・・・ - ナツミ - 2013年03月02日 10:04:07

YOKO様
では、「製造機」は私の記憶違いだったみたいですね。すみません。おそらく他の方の訳か、関連図書でそうなっていたのでしょうね。
私は延原訳「事件簿」を2冊持っています。、平成22年4月15日発行の114刷と、同年7月15日発行の115刷です。115刷は改版されて、文字がすこし大きくなったりしています。
114刷の奥付によると、発行は昭和28年。平成3年に74刷発行。この時、ご子息の延原展氏が改訂をなさっています。
この時「ソーダ水」が「ガソジン」に直されたのではないでしょうか。(改訂がこの時だけだったのか、もっと細かくされているものなのかはわからないのですが)記事中では省略しましたが、「ウィスキーの中に炭酸水を注入するサイフォンの一種」と訳注がついていました。

ソーダ水が置いてあるのと、サイフォンが置いてあるのとでは、意味が違いますね。
延原謙氏は1977年(昭和52年)にお亡くなりになっているので、YOKOさんがお持ちの昭和53年版で直されていなかったということは、ガソジンをソーダ水そのものだと勘違いされていたか、勘違いだとわかっていたけれどドイルに倣ってあえて間違いを正さなかったのか。
しかし、BSIに採用されるような重要語句に勘違いをなさっていたとは考えにくいような気がしませんか?ひょっとしたら、ガソジンで作られたソーダもガソジンと呼ばれていたとか、またはガソジンにソーダ水が既に入っていて、それをホームズが指し示した、という解釈をして、日本人に馴染みのないガソジンという言葉を使うことを避けた、とか?

翻訳と言う作業はまるでブラックボックスのようで、その思考過程を辿るのは事件を解決するよりも難しいことかもしれませんね。私にはろくな仮説が出せませんでしたが、昭和53年版と改訂版、読み比べてみたら楽しいのでしょうね。私は古い版のホームズの言葉づかいが好きで、(『緋色の研究』の太陽系の知識のくだりでは、でワトスンに『ふふふ、驚いてら』なんて言ったりするんですよね。いたずらっ子みたいで可愛いです!)手放してしまったのをちょっと後悔しています。うらやましいです~!

グラナダ版のインテリア、素敵! - ナツミ - 2013年03月02日 10:06:13

RM様

グラナダ版の椅子のお話と写真をありがとうございます!
いつも感じるのですが、グラナダ版のインテリアは全体的に明るく軽やかな感じがしますね。

> 原典ではホームズの肘掛け椅子と籐椅子は別の椅子だったのかもしれませんが、グラナダ版ではどうも一つになったような印象があります。籐椅子っぽい肘掛け椅子に。

私も「青いガーネット」を再読してみました。冒頭でホームズが寝そべっているソファ(sofa)とカウチ(couch)のそばにある木の椅子(wooden chair)。このソファとカウチは同じものかも。
ワトスンが座るホームズの肘掛け椅子(his armchair)。ピータースンがへたりこむ椅子、ヘンリー・ベーカーが座る椅子(a chair)、そしてライダーが座るbasket-chair。
私にもbasket-chairの定義がわからなかったので、画像検索してみたところ籐(rattan)製以外のものもあるようで、共通しているのは肘を掛ける部分と背もたれのある、体を包み込むような形でした。すると、肘掛け椅子と訳してもいいのかもしれません。とはいえ、丸みのある形状のせいか籐製のものが多いようなので、籐椅子という訳でもいいのではないでしょうか。グラナダ版では、肘掛け椅子と同一のものであると解釈されているのですね。

> それから、ナツミさんの記事の一番上の挿絵でワトスンがすわっている椅子、グラナダ版で食事をする時に座る椅子にちょっと似ているなあ、なんて思っています。

ほんとうだ!似ていますね!挿絵を再現しようとしたのでしょうか?

> まとめるとグラナダ版では、二人の専用の椅子がそれぞれ2脚、それ以外に長椅子、食卓の椅子、化学実験台の椅子がありました。専用と書きましたが、時々相手の椅子に座っているのもほほえましい感じです。

たくさん椅子があるんですね。でも、お互いの定位置というか、「専用の椅子」がやはり存在するのですね。

現代版では、ジョンがはじめに座った椅子(ユニオンジャックのクッションが置いてあるもの)、窓を背にした椅子、書き物机用の椅子、長椅子、食卓の椅子(3~4脚ありそう)くらいでしょうか?こちらの場合はキッチンがついているので、そこにもいくつかあるようです。

ゆる~く定位置が決まってくる感じが、家族のようでいいですね。

新しい発見があってうれしいです - RM - 2013年03月02日 10:49:15

あらためて椅子に注目すると、今まで見落としていたいろいろなことに気がついて、うれしいです。

>いつも感じるのですが、グラナダ版のインテリアは全体的に明るく軽やかな感じがしますね。

ナツミさんが以前そうおっしゃるまで気がつかなかったのですが、今回あらためてそう思いました。

>頭でホームズが寝そべっているソファ(sofa)とカウチ(couch)のそばにある木の椅子(wooden chair)。このソファとカウチは同じものかも。

グラナダ版では同じもので、確かにそのそばに木の椅子がありました。でもこの椅子は、実験台の椅子でも食卓の椅子でもないことに今回気がつきました。この二脚の椅子の背では、帽子がかけられなかったのですね。(こういうことに気づくのもうれしかったりします。)

>ワトスンが座るホームズの肘掛け椅子(his armchair)。

おお、原作でもワトスンがホームズの肘掛け椅子にすわったりするんですか!あ、今調べたら最初に部屋にはいってきた時なんですね。グラナダ版ではこの時はホームズの椅子にはすわりません。

>とはいえ、丸みのある形状のせいか籐製のものが多いようなので、籐椅子という訳でもいいのではないでしょうか。グラナダ版では、肘掛け椅子と同一のものであると解釈されているのですね。

私も画像検索してみました。本当ですね。グラナダ版はそれほど丸みがない椅子です。グラナダ版の椅子はホームズがbasket-chairと言ってライダーにすすめるには適さないので、my chairとだけ言ったのかもしれませんね。でも、原作のbasket-chairを思い起こさせるような椅子もほしくて、デザイナーがこういう材質の椅子を選んで、言わば一脚で二脚分を表現したのかもしれません。

現代版ではやはり、ユニオンジャックのクッションが置いてある椅子が印象に残っています。

それから延原訳のお話、興味深く拝見しました。私は1998年(平成10年)発売の、父が持っている「新潮文庫 シャーロック・ホームズ全集(CD-ROM)」を参考にしていて、これではナツミさんのお持ちの版と同じく、訳注つきです。

>日本人に馴染みのないガソジンという言葉を使うことを避けた、とか?

私はこちらのような気がします。

>『緋色の研究』の太陽系の知識のくだりでは、でワトスンに『ふふふ、驚いてら』なんて言ったりするんですよね。いたずらっ子みたいで可愛いです!

わあ、いいですね!私の版では「ふふふ、驚いたようだね」です。古い版をお持ちのYOKOさんがうらやましくなりました。

楽しい発見・ショックな発見 - ナツミ - 2013年03月02日 12:33:19

RM様

わあ、製作秘話を発見してしまったかもしれませんね!
原作では当然「そこに元々あった椅子」に帽子をかけたはずですが、グラナダ版ではいざ撮影、という時にはたと困った、なんてこともあったかも!

私も今回「椅子」を気にしながら読んでみて、「勧め」たり「掛け」たり「へたりこんだ」り、という描写が多いことに驚きました。ドラマでは、掛けているはずのレディ・ヒルダやワトスンが立っていることがあるのですね。立っている人と座っている人がいた方が、画面の感じが良いのかもしれませんね。

>原作のbasket-chairを思い起こさせるような椅子もほしくて、デザイナーがこういう材質の椅子を選んで、言わば一脚で二脚分を表現したのかもしれません。

そうですね。「籐椅子」も「暖炉」や「ガソジン」のように、ホームズを思わせる必携アイテムなのかも。

>現代版ではやはり、ユニオンジャックのクッションが置いてある椅子が印象に残っています。

やはり、この椅子は特別なんですね!同じように感じてくださっていて嬉しいです!

そして、え~っ、RMさんは原作をCD-ROMの全集で読まれているんですか!?
なぜか私、その発想が全くなかったです!このブログを始めてもうすぐ2年になりますが、文庫本ケースに入れた新潮文庫を寝室からよっこらしょと持ってきて、ページをそこら辺にあるもので押さえながら、ちまちま手打ちで延原訳を引用することに何の疑問も抱いておりませんでした!コ、コピペで引用できるじゃないですか!私の馬鹿~!!

ものすごくショックですが、微妙に違う版を楽しめたということで納得…できない…
古い版を古本屋さんでこまめに探して、改訂版はCD-ROMに買い換えようかな…

YOKOさん、改訂版と比較なさって、ホームズやワトスンの「古い版ならではの台詞」が見つかったらぜひ教えてくださいませ!

CD-ROMは - RM - 2013年03月03日 00:46:45

おすすめです!と言いたいところなのですが、実はすでに絶版です。
http://www.amazon.co.jp/dp/B00005OK8E

そして、私はずっとMacintoshのコンピュータを使ってきたのですが、現在のMac OSXでは動きません。Windowsでも、少なくともWin7では動かない、というTweetを、検索していてみつけました。

私は活字が好きで、本というかたち、感触も好きなのですが、Kindleも大好き、だから電子書籍の良さも知っています。検索できる、というのが何より面白いですね。ただし、手持ちのコンピュータで無理矢理使っているので、いろいろと不具合がありまして、私の環境では全作品を一気に検索することはできないのですが。

電子書籍の魅力 - ナツミ - 2013年03月03日 06:23:32

RM様

情報をありがとうございます。
なるほど、新潮文庫版CD-ROMは、既に貴重品なんですね!

私はまだKindleは未体験ですが、一人の作家をしつこく追うタイプなので、検索できるのはいいなあ、と思いました。全集がずらりと並ぶ本棚にも憧れますが、私の住宅事情では無理ですし。Amazonから何度もお勧めのメールをもらってはスルーしていましたが、ちょっと興味が湧いてきました!たとえば、「椅子」というキーワードをホームズ全作品から探したりできたら便利ですね。

- トビィ - 2013年03月03日 13:15:33

ナツミさん、みなさまこんにちは。

みなさんのホームズに関する博識には恐れいります。

私が持っているのは改正版の延原謙さんの本なので、
以前の本と改正版と比較して読んでみたくなりました!

パロディ本で古いホームズになるとホームズ自身が自分の事を
「小生」とか言うのはあれ?とか思いますけど(^^;
江戸っ子ふうのホームズも笑えます。

iPhone4を使ってますが、Kindle無料ダウンロードできましたよ。
iPhoneだとまだまだダウンロードできる本の数は少ないですが、
お試しで使うのもいいかもしれませんね。

「小生」! - ナツミ - 2013年03月04日 23:59:00

トビィ様

私のも新しい訳なのですが、以前のものもいいですよね!
実は「四つの署名」だけ、比較的古い昭和60年の版(58刷)が残っています。(本棚の裏に落ちていて、古本屋さん行きを免れたようです。もっともこれも古本屋さんで買い求めたものなのですが…)

新しいもの(平成22年、109刷)と比べると、いろいろ面白いですね。
たとえば捜査で疲れたワトスンにホームズがバイオリンを弾いてあげる場面、新しい訳だと「僕が眠らせてあげるよ」なのに、古いのは「僕がねんねのお守を聞かせてやるよ」。新しい方が優しげですが、古い方のからかうような感じが妙に好きだったりします。

> パロディ本で古いホームズになるとホームズ自身が自分の事を
> 「小生」とか言うのはあれ?とか思いますけど(^^;
> 江戸っ子ふうのホームズも笑えます。

「小生」!そんなパロディもあるんですね。トビィさんこそお詳しい…!
江戸っ子ふうホームズ、読んでみたいです!
図書館や古本屋さんで片っ端から読んでいたこともあるのですが、もううろ覚えで…!そもそも「ワタシ特選・ワトスンがあんまり愚かじゃないパスティーシュ」だけ手元に置こうとしたころ、数冊しか残らなかったんですよ(しょぼん)一番待遇がいいのは原作だった…ここ数年、ワトスンが重要視される流れがやってきて、心から生きててよかったと思ってます。グラナダ版やロシア版のおかげかもしれませんね。

> iPhone4を使ってますが、Kindle無料ダウンロードできましたよ。
> iPhoneだとまだまだダウンロードできる本の数は少ないですが、
> お試しで使うのもいいかもしれませんね。

わあ、情報ありがとうございます!私もiPhoneです。ぜひ「お試し」してみたいと思います!

- 神崎真 - 2013年03月18日 09:51:56

こんにちは、初めまして。
シャーロキアンと言うほどではありませんが、ホームズと名のつくものを見かけると、ついついチェックしたくなる程度にはホームズ好きの神崎と申します。
今回はドラマSHERLOCKに激ハマリし、感想を探している内にこちらにたどり着いて、ここしばらくひっそり楽しくROMらせていただいておりました。

>江戸っ子ふうホームズ、読んでみたいです!

ちょっと変わった翻案ものとしては「ホシナ大探偵」などというものもあります。
舞台が日本になっていて、ホームズさんが保科鯱男(ほしなしゃちお)、ワトソンさんが渡邊(わたなべ)君と日本名になっています。
国会図書館のHP、近代デジタルライブラリーで無料で公開されているので、ご興味がおありでしたら、是非どうぞ。

面白かったです! - ナツミ - 2013年03月20日 02:54:15

神崎真さま

初めまして。コメントをありがとうございます!

「ホシナ大探偵」読ませていただきました!

まさか「江戸っ子ホームズ」が本当に読めるとは!しかも無料で!
な、何でも言ってみるものですね…!びっくりです。教えていただいて嬉しいです。

ホームズ・ワトスンの日本語名といえば「三つ目がとおる」の「写楽保介」「和登千代子」が思い浮かびますが、「保科」「渡邊」そしてカーファックス=河野楠子、ドブニー=土船とは!
上手いというか、本当に発想が豊かですよね!レストレードは何気にスルーされてましたが…

人名のアレンジもですが、ローザンヌが京都になっていたり、「イギリスふうの風呂」が「粋な江戸名物の銭湯」になっていたり、地名が日本に置き換えられているのも面白いですね~!渡邊君が名古屋に野心を抱いていたというのは何でしょう…?
そして、神崎様もブログに書かれていましたが、被害者よりも保科君のお父さんの安否が気になりますよね…!

翻案って面白いですね。私ももっと読んでみたいです!


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プロフィール

Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

『高名の依頼人』のこと書きましたが、6月24日までグラナダ版がGYAOで無料で観られるそうです。
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