最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
【お願い】 ★記事における間違いは、できる限り修正したいと考えております。お気づきの点がありましたら、ご教示いただけるとありがたいです。
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【事件の重要なネタバレ】不名誉と友情

なかなか更新できない言い訳でもありますが、"The Reichenbach Fall"も、原作「最後の事件」も、向き合うのにエネルギーがいる作品ですね。「最後の事件」の冒頭でワトスンが「このペンをとるのは、私にとって心おもき業」と言う気持ちを、今更ながらほんの少し分かったような気すらします。

ジョンのブログでも、事件のことは詳しく書いていません。ただ、賑わっていたコメント欄を書き込みできないようにし、事件に触れたニュースの動画を貼った上で、たった一行

"He was my best friend and I'll always believe in him."
「彼は親友だった。僕は彼を信じる。ずっと、これからも。(拙訳)」


と書いています。

短編集「シャーロック・ホームズの冒険」、「シャーロック・ホームズの思い出」は、共にホームズがライヘンバッハの滝で消息を絶った後に発表されています。
「冒険」のはじめに収められた「ボヘミアの醜聞」は1891年7月にストランド誌に発表されていますが、ホームズが「死んだ」のは同年の5月4日。記録は残されていたにしろ、とても速い展開です。
「最後の事件」が発表される1893年12月まで、精力的な短編の発表は続きますが、作業したワトスンの心境を思うと、ホームズがすでに故人ということを全く匂わせない生き生きとした描写が逆に切なく感じられます(ドイル先生の事情についても皆さんいろいろご存知と思いますが、一旦おいといてください)。

作品の中でだけでも、ホームズとロンドンを走り回った日々を蘇らせたかったであろうワトスン。
しかし「最後の事件」だけは、親友の死に触れないわけにはいきません。
もともとワトスンには、彼にとっての深い傷であるこの事件を作品にするつもりはなかったようです。

私はこの種の物語のペンを以上でとめておき、その後私の生活に空虚を生じたまま、二年後の今日にいたってもなお満たされないでいるところの、あの事件には口を閉じているつもりだった。(『最後の事件』)



ワトスンが、己の傷口をこじ開けることになろうとも事件を発表しようと思い立った理由、それはモリアティの兄によってもたらされた、死んだ親友の「不名誉」でした。
先ほど引用した文章は、このように続いています。

けれども最近ジェームズ・モリアティ大佐の書いた死んだ弟の名誉を支持しようとする二、三の文書は、私の出馬を強いた。かくなるうえは私もペンをとって、あるがままの事実を公表せざるを得ないのである。事件の絶対的真相を知るものは私だけである。私としてはこの真相を秘しておいても、もはや何の役にもたたない時節の到来したことを満足に思う。


もうこれは、ただの記録の一篇ではありません。発表と言う名の復讐なのだというワトスンの気迫、そして血を流すような思いが伝わってきて、読むたびに胸を打たれます。最後の一文など、挑戦的ですらあります。
ジョンの記事も、表現は違っても骨子は同じです。亡友が背負わされた不名誉にたったひとりでも抵抗し続けるという、これは宣言です。見えない敵(それはジムやその関係者という具体的な加害者だけではなくて、マスコミや彼を貶める人々、マイクロフトを含め、シャーロックを追い詰める状況を作り出したすべての人間ではないでしょうか。仮にジョンが一瞬でもシャーロックを疑ったとしたら、自分自身さえ含まれているのかもしれません)への、静かな宣戦布告です。

友達、という概念にはいろいろな関係が含まれていて、ここからが親友でここからがただの知り合い、というような定義はできないものと思いますが、私にとってはホームズとワトスンの関係がひとつの基準になっています。
楽しいことだけを共有するのは知人や友人。自分の命やそれに準ずるもの(私は名誉もそれに当たると思います)が侵されそうになったとき、本気になってくれる人は親友。
ホームズとワトスンはそれぞれ違う世界を持っていて、全てをさらけ出しあっているわけではありません。
愛する人も(少なくともワトスンには確実に)別にいるし、人生を賭ける仕事も、一部重なっているだけで全体的に見れば全然違う。口に出さなくても、お互いに批判的な目で見ている部分だっていっぱいあります。
でも、大事なところでは自分の身を顧みずに相手を思うことができる。わざと遠ざけることで友を守ったホームズ(シャーロック)と、精神的な戦いを続けていくことを選んだワトスン(ジョン)は、共に深い孤独を背負うことになりましたが、やはり素晴らしい親友同士です。私も、誰かにほんとうの意味で親友と思ってもらえる人間になれたらと思います。

ところで、この「最後の事件」に書かれた「モリアティ(の兄弟)によってホームズの名誉が傷つけられた」というエピソードは、"The Reichenbach Fall"のお話を作る上で大きなヒントになっていると思います。
同時に、あまりにも突然現れたモリアティという「強敵」に違和感を抱いた読者に「モリアティはホームズの妄想の産物」という説も何度となく唱えられているので、「現実世界の反応のパロディ」でもあるようです。
以前にもご紹介しましたが、このパスティーシュではモリアティの謎について非常によくできた説明がなされていますね。それは物語の種明かしではなく発端なのですが、最後にもうひとつどんでん返しがあるのも、心憎いと思います。

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(原作の引用部分はすべて延原謙訳)


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この記事へのコメント

亡き人の記憶 - R is for ROCKET - 2012年09月30日 17:55:41

「最後の事件」以外でも、短編のいくつかは、ホームズの死後に書かれてる!

私は今まで、そのことに思いいたりませんでした。
そう思うと、ナツミさんの記事のとおり、いくつかの短編は特別な感慨を感じますね。

ちなみに、この記事を読んでから、ジョンのブログのニュース動画(これ、よく出来てますね)のように、ワトソンの時代でも号外が出ていたりしたのかな、と、妄想しています。

記憶と記録、そしてメディア - ナツミ - 2012年09月30日 19:44:17

>いくつかの短編は特別な感慨を感じますね。

そうですね。それぞれの事件にワトスンがどの程度の覚書を残して、いつ物語に起こしていたかはわからないのですが、「ふるいノートを調べてこれまでの結果を分類していたところなんだよ」(『株式仲買店員』・延原謙訳)という台詞があるので、一旦ノートに記録していたことは間違いないようです。二人が出会ってから「最後の事件」が起こるまでには10年経っていますから、それに比べると、ジョンの記録→発表はすごく短いですね。
もし、ワトスンがホームズの「死後」にノートをひろげて、当時を思い出しながら物語を綴っていたのだとしたら、物語の中の些細なエピソードすらも、感慨深いですよね。

>ワトソンの時代でも号外が出ていたりしたのかな、と、妄想しています。

実は、「最後の事件」には次のような記述もあるんです。
「私の知るかぎりでは、このことについて公刊されたものはただ三つあるにすぎない。一八九一年五月六日のジュールナル・ド・ジュネーヴ、おなじく五月七日のイギリスの新聞に現われたロイター通信、最後には前述の公開状である。このうちはじめの二つはきわめて簡単だけれど、最後のものは、いま説明してお目にかけるが、まったく事実を曲解しているのである。」

「最後のもの」というのが記事でとりあげたモリアティ兄(※延原先生は兄としていますが、原文にはbrotherとあるだけなので、弟かもしれません)の公開文書ですね。前のふたつはスイスの地元紙と、母国イギリスの新聞に載った小さな記事、という印象です。どうも、この頃のホームズは、その死が号外になるほどのスターではなかったみたいですね。訃報がニュースになるのだから全く無名でもないですけれど。読み物としては「緋色の研究」「四つの署名」しか出ていない頃なので仕方ないかな?(現実世界の話ですが、『緋色の研究』はあまり売れなかったようです。『四つの署名』は前年に出版されたばかりですね)

それに比べて、シャーロックがジョンのブログで旋風を巻き起こし(レストレードはan internet phenomenonって言ってましたね) 、あっという間に叩かれるまでの期間の短さといったら!これが現代さ、という製作者の皮肉な目線を感じずにはいられません。


- YOKO - 2012年10月01日 10:53:13

私も、じつはモリアーティ妄想説派です。

>"The Reichenbach Fall"も、原作「最後の事件」も、向き合うのにエネルギーがいる作品ですね。

とはいえ、原作もナツミさんがおっしゃっているのと、同じように辛いからというのもあり、それほど何度も読み込んでいないためにモリアーティの印象が薄くなってしまっただけかもしれませんが・・・。

モリアーティーの存在する物語世界は私の好きなホームズ物語世界とは一種パラレルワールドを形作ってるような、ふわふわとした存在感です。そこのところは先日、グラナダの「赤毛組合」の感想をブログに書いたときに、散々書いてしまいました。

ホームズ年表と作品の発表された年表作ってみたいです。
滝以後の3年間にたくさん発表しているんですね。
出版代理人のドイル先生にもいろいろご事情はおありだったのでしょうけど、滝の話を全く感じさせないワトスンの筆致。それこそ、私をして、教授は結局存在しなかったんだ。と思わせた、そのワトスン先生の心情を思うと、じんとしますね。
書いている間は、一緒に冒険しているそのころに戻ってたんでしょうね。

21世紀版で、最高に感動したことの一つが、モリアーティの描き方でした。
私のような「けっ!モリアーティなんて、いなかったのに!またこんな主役級の扱いして」(かなりのカン違い...^^;)というバカなファンも、キティウィンタ、じゃなかった、キティ・ライリーの部屋での出来事で、ものすごく納得させられてしまいました。

あのシーンが、モリアーティ観を覆してしまったかもしれません。
グラナダ「赤毛組合」に教授が出てきたことには、散々、ぶーたれていますが、いまここでナツミさんの記事を拝見し、また反省しているところです。
もしかして、「モリアーティ」をいないかのように描きたかったのは、ワトスンで、そのため、ミスリードされていたのかもしれない。

30年間のアイリーン&教授アレルギーが、もしかして治癒するかもしれない、21世紀探偵さんです。
ほんと、ここに来られてよかった!いろいろお世話になります。

悲しいミスリード - ナツミ - 2012年10月01日 18:27:46

YOKO様

実は私も、アイリーンのヒロイン化とモリアーティの必要以上の「巨悪」化が納得いかないクチです。(映画やドラマ、パスティーシュなどの二次作品は、それはそれで別個の作品として楽しみますけれど、『自分の』ホームズ像を持つのは自由ですよね!)
だからYOKOさんの記事はすごく共感を持って読ませていただきました。

でも、モリアーティの「存在感のなさ」(または、ホームズにとっての強大さとワトスン≒読者にとっての現実感のなさのギャップ、でしょうか)が、ワトスンの悲しみがひき起こしたミスリードによるもの、という発想は私にはできませんでした。

さすが、YOKOさんです・・・!

お世話できているかどうかわからないですが(むしろこちらがお世話になってます・・・)、読んで下さった方々のコメントも含めて、このブログに書かれていることがひらめきのお手伝いになれれば、この上ない喜びです。

>出版代理人のドイル先生
>キティウィンタ、じゃなかった、キティ・ライリー

この記述、嬉しいですね~!にやにや笑いが漏れてしまいました。

キティ・ライリーにあたるキャラクターは原作にいるかしら?と考えていて、職業から思い当たるのは「六つのナポレオン」のホレス・ハーカーや「唇の捩れた男」のネヴィル・セントクレアなんですが、ピンときませんでした。同名の「キティ」が、そういえばいましたね・・・!
一見ライリー嬢のほうが知的なんですけれど、実は直情的だし、似ているかもしれませんね。または、キャラクター設定した人にとってはこの種の記者こそが「最下層の職業」なんでしょうか(なんかされたのか・・・?)

ところで、アイリーンに関する「アレルギー」は、ひょっとしたら私の方が根深いのかもしれません。なぜか、どうにもホームズとアイリーンの間の恋愛感情が読み取れないんです。恋愛感情は「あった」というのが定説だし、現代版もラブストーリーとして描かれているのですが、私の精神が皆にとって自明のことを感じられるところまで成長していないのか、という不安もあります。
いつか現代版アイリーンと原作アイリーンの比較をしたいというか、しなきゃというか、自分への課題というか、この時点で既にわけわからないんですけど、読んでおられる方はもっとわけわからないですね。
YOKOさんのブログでもこちらでも、いつかご一緒にアイリーンの話ができたら嬉しいです。

- YOKO - 2012年10月03日 11:05:10

一人の探偵の物語が、こうもドラマを秘めているとは!
なぜシャーロッキアンという人たちがいて、シャーロッコロジーなんてものがあるのか、だんだんわかってきましたよ~。

アイリーンや教授について。
ナツミさんもアレルギーがおありだったのですね。
なか~ま^^
今度じっくり語り合いましょう♪(同病相哀れむ???)


で、前のコメントで書いていた、作品の発表時期と事件の発生時期が同列に並んでる年表を見つけました。
目からうろこが、落ちまくりでした。
「緋色」と「署名」はともかく、短編のほうは、滝のその年に発表され、ホームズ失踪の3年間、びっしり発表しまくってるんですね。

で、「最後の事件」を仕方なく発表した後、数ヶ月でホームズ生還!!!!!!

興奮しました。

なのに、それから10年くらい、だんまりを決め込むんですね。
ワトスン先生。(バスカヴィルは発表してくれるけど・・・)
不思議なのは、その10年間世間的には死んだことになってるホームズのもとに、どんどん依頼人が来ることですが・・・・むむむ。
どんな伝を頼って?
もしくは滝の話を知らずに、アポ無し訪問をしたら、なんtpホームズ先生いた!みたいな?

また楽しくなってきましたよ。

布団は干せましたか?
お忙しそうなので、あったか布団で疲れが取れるといいですね。
そうそう、私どうやらナツミさんと同じ星座っぽいです。
お誕生日おめでとうございます。いつかわからないけどいっことう^^

年表はおもしろい! - ナツミ - 2012年10月04日 04:52:29

> 一人の探偵の物語が、こうもドラマを秘めているとは!
> なぜシャーロッキアンという人たちがいて、シャーロッコロジーなんてものがあるのか、だんだんわかってきましたよ~。

原作は発表順の時系列が見事にぐちゃぐちゃなので、並べ直すと思わぬ発見がありますよね。
ワトスンの結婚の年代など、矛盾がある部分の処理のしかたが作成者によって違って、それによって他の事件も並べ直すことになるので、本当に100人いれば100通りの年表があるのではと思います。
そこに個人の性格(数字にこだわるか、筋道にこだわるか、など)が投影されて、見比べるとほんとに面白いですね。
私はここに書くときはなるべく原作の記述だけをもとにしようとしているんですが、個人的にはジューン・トムスンの「友情の研究」が好きです!

> で、「最後の事件」を仕方なく発表した後、数ヶ月でホームズ生還!!!!!!
>興奮しました。

もし現実世界の反応が小説にも取り入れられているなら、「最後の事件」はホームズの死に抗議が殺到したり、喪章をつける人が現れるなどの社会現象を起こしたようですから、フランスにいたホームズの耳にも確実に届いているんですよね。本人はどんな気持ちで「最後の事件」を読んだんでしょうね。(もっと言ってしまうと、『最後の事件』に込められたワトスンの覚悟を見てどう思ったのか…)

あ、シャーロックはジョンの独白を聞いているわけだから、これって「元ネタ」だ!
こんど別記事にさせてください!(このブログにおいて『元ネタ』は『屁理屈』と既に同義語です…)

> なのに、それから10年くらい、だんまりを決め込むんですね。
> ワトスン先生。(バスカヴィルは発表してくれるけど・・・)
> 不思議なのは、その10年間世間的には死んだことになってるホームズのもとに、どんどん依頼人が来ることですが・・・・むむむ。
> どんな伝を頼って?

死亡がニュースになる→ワトスン、「冒険」「思い出」発表→大ヒット→生還、大ニュースになる(モランが死んだので隠す必要もなくなる)→依頼人殺到という感じかなあ、と私は思っているんですが、どうでしょう。"SHERLOCK"が現代に再現してみせてくれたように、マスコミの報道とワトスンの著作が連動しているのではないかなあ、と思います。

アイリーンの件については、本当に一度じっくりお話したいです!!本当に積年の思いがあるので…

>布団は干せましたか?
>お忙しそうなので、あったか布団で疲れが取れるといいですね。

あたたかいお言葉ありがとうございます!
日曜と月曜で合計2時間くらいは干せたんですが、これって干せたうちに入るんでしょうか。
先週末は台風に翻弄されましたね。東京の方が大変そうでしたが、YOKOさんはご無事だったようでよかったです!
>そうそう、私どうやらナツミさんと同じ星座っぽいです。
>お誕生日おめでとうございます。いつかわからないけどいっことう^^

あれ!?そうですか?
プロフィールのリンク先を見て推理してくださったのでしょうか。
さすが、長年のシャーロッキアン!YOKOさんも、お誕生日おめでとうございます♪

年表楽しすぎます。 - YOKO - 2012年10月05日 12:45:05

>死亡がニュースになる→ワトスン、「冒険」「思い出」発表→大ヒット→生還、大ニュースになる(モランが死んだので隠す必要もなくなる)→依頼人殺到という感じかなあ、と私は思っているんですが、

そうですよね!
世間の人はワトスンの雑誌発表だけが情報源かと錯覚していました。
ワトスンが発表する以前だって、ホームズの下には依頼人がいろいろやってきてたんだし。
警察だってそうですよね。
ホームズの生還もビッグニュースとして、新聞に書きたてられて、インタビューなんかも受けたりして、別にワトスンが発表しなくてもいいかな、という感じになってたんでしょうね。
それにホームズからもあまり書くなといわれてそうだし。
自由に毎月冒険譚を発表できたのは、ホームズ不在だったからこそですよね。
ホームズ不在なら冒険そのもので忙しいということもないし・・・。

アイリーンは...正典以外で、大きく取り上げられるのは仕方ないかなとは思ってます。
やっぱり、映画とかにするなら、ヒロイン必要ですからね。
最初に正典を読んだ中学生のころ全くピンと来ませんでした「あの女(ひと)」
ボヘミア以外を読むと、ホームズに全然女性の影が無いし、女性とのどうのこうのが想像できなくて。
子供だったからかな・・。で大人になってからも、ホームズの恋愛とかそういう話が苦手で(若干嫌悪感もあったり)思春期のヒーローだったからかな~と自己分析してみたり。

じゃあ、アガサなら許せるのか?
これは許せるんですよね。
捜査の一環だからwww。

2時間でも大丈夫ですよ。
良かったですね。
この週末はまた干せそうですね。
私の誕生美は来週です^^ありがとうございました。

アイリーンへのもやもや(長いです) - ナツミ - 2012年10月06日 12:03:14

>自由に毎月冒険譚を発表できたのは、ホームズ不在だったからこそですよね。
ホームズ不在なら冒険そのもので忙しいということもないし・・・。

おお、先述のトムスン「友情の研究」に、まさにそのような一文がありました!

「ホームズがいるときには、彼が時間を割くよう要求ばかりしていたために、ワトスンの執筆活動がかなり制限されたという事実も、ふたりの交友関係をめぐる悲しいが重要な所見であろう。作家としてのワトスンは、典型的なジレンマに陥っていたのである。ホームズがいなければ、作品の基になる材料がない。だがホームズがそばにいると、それを記録に残す時間が足りなくなってしまうのだ。(押田由起訳)」

アイリーンに関しての自己分析、私もうんうんと考えてみました。その結果、私はアイリーンの存在がイヤなんじゃなくて、ホームズの好敵手が女性であるというだけで安易にラブストーリーにしてしまおうとする風潮がイヤなのかなあ、と思いました。数少ない、ホームズの上を行く知能の持ち主がたまたま女性であったからといって、ホームズの畏敬の念を男性から女性への思慕にすり替えることに納得がいかないんです。男性が女性を認めるには、いちいち恋愛感情がなくてはいけないの?って思っちゃいます。
我ながら青臭くて余裕のない意見で、ちょっと恥ずかしいのですが。

ジェンダー論めいた話はともかくとして、一人の男性として、ホームズが彼女の知能への尊敬と、女性としての彼女への思慕をごっちゃにするのは、有り得る話だと思います。彼女の思い出の品をずっと大切にしているところを見ると、こういう気持ちを恋と呼ぶのかもしれないなあ、と思います。
対して、アイリーンがホームズに思いを寄せていたという証拠は原作にないし、彼女の夫への愛情を否定する証拠もないんですよね。私にとって原作のアイリーンは、ホームズの高い知能にも、王の権威にも財産にも、洟もひっかけずに自分の愛情だけを理由に行動を起こした、潔いひとなんです。

YOKOさんが映画などにするにはヒロインが必要だから仕方ないかも、とおっしゃっていますが、私も二次製作者が都合のいいヒロイン像に彼女を押し込めているような感じがいやなのかもしれません。凡庸なアイリーンの夫を指して「あれがそのようなものを愛するとはとても思えない」と言ったボヘミア王と同じような視点を製作者に感じます。でも、人間は、知能が釣り合うことを理由にパートナーを選ぶのではないんじゃないかなあ、と思います。

恋愛は理屈で割り切れるものではないのに、ものすごく見当違いなことを延々書いてしまったかもしれません。いつか私にも、アイリーンのちょっとした仕草や言葉遣いに、ホームズへの愛情を読み取れる時が来るのかもしれませんね。
ホームズシリーズのキャラクターたちはもはやドイル先生だけのものではなくて、長い時間をかけて、二次創作者も含めた読者の反応に作り上げられているものだと思います。だから、アイリーンがホームズの「恋人」とされ続けてきたことには意味があるのかもしれません。

って、ついついスイッチが入ってしまって、もはや『コメント欄でのやりとり』を逸脱したようなことを書いてしまってすみませんでした!空気が読めなくてジョンに怒られてしまいそうです。

お布団についてのアドバイスもありがとうございました!干せるといいなあ。
もうすぐお誕生日ですね!素敵な日になりますように。




- YOKO - 2012年10月06日 18:40:32

ナツミさん
お気持ち良くわかりました!
ナツミさんのお話と、さらに今日、カナダのテレビドラマのボヘミアの醜聞(ボヘミアではなくドイツでしたが)をみて、自分なりにちょこっと整理ができました。何時もながら、自分の考えがなかなか文章にならない、頭の悪い私です。

正典では、ホームズの側は何らかの思いがアイリーンに対してあるんですよね。それは、彼女の知性や豪胆さに対する尊敬かもしれないし、さらに踏み込んで憧れかもしれませんが。でも一方のアイリーンの側には、ホームズに対する個人的な愛情はひとかけらもないんですよね。
だから、二人の間に一種恋愛めいた感情が流れているという解釈に、ムッとしてしまうんです。違うでしょって。

bbc版でも途中まではすごくいい感じだったんです。
パスワードにシャーロックの名前を使ってようが、シャレだってことなら、何ら問題ないんですが(私的に)本気でアイリーンがシャーロックになんらかの感情を抱いてたとか、危機に際し手を取り合って脱出とかありえんでしょうって。うぶなシャーロックがきれいでセクシーで頭のいいおねーさんに幻惑されて推理がちと鈍って失敗したとかそれなら全然いいんですけどね。

ナツミさんも書いてらっしゃるように、正典のそこの部分ってかなり大事なポイントなんですよ。
一方通行か、双方向か。
双方向じゃないから、こその「あの女」じゃないのかなーーー。


今日見たカナダ版は、ホームズの一方通行だったと解釈しました。なので気分がいいです。途中から字幕が出なくなってしまい、ちょっと自信がないんですけど…………ごらんになりましたか?

ホームズの片思い - ナツミ - 2012年10月07日 06:36:33

軽い会話だったのに、いきなり重い話に脱線してしまった私がどう見てもおかしいです!
YOKOさんの文章は、誰が見ても「頭のいい人の書く文章」だと思います。明瞭で誤解を招かず、揺るがない。あこがれます。

で、BBC版に関して、まさにYOKOさんが書いてくださった通りのことを考えたんです……(でも、YOKOさんが5行で書いてくださったことを、私が書いたらうだうだ長くなるんだろうな……)

なんか、たった一時間半でシャーロックに恋させることで、アイリーンのキャラが変にブレてしまっていて、その結果ひどくわかりにくい話になっていたような気がするんです。このブログはドラマのストーリーを評価するのが目的ではないですし、評価できるほどドラマというものをわかっている自信がないので、記事にするつもりはなかったのですが、コメント欄でこっそり吐き出せてよかった……(反論は受け付けます!ていうか納得させてほしい!)

>双方向じゃないから、こその「あの女」じゃないのかなーーー。

ホームズがなぜ名前で彼女を呼ばないのか、それは触れたくないからかもしれないし、生涯でただ一人の女性だから、という受け取り方もできますね。いずれにしろ、心理的な距離を感じますよね。かなり歳をとった後の「最後の挨拶」でアイリーン・アドラーの名前を出すところをみると、彼女を忘れなかったことだけは確かでしょうね。

YOKOさんのブログ(カナダ版のご感想)も拝見しました。私はまだ見ていないのですが、ホームズの片思いなんですね。そこは私が原作から受けた印象の通りなんですが、あんまりメロメロなのもかわいそうな気がしてきました・・・

メロメロじゃないのでご安心ください - YOKO - 2012年10月09日 16:48:17

メロメロじゃないです。
大丈夫、そこは腐っても鯛、じゃなかった、恋してもシャーロックホームズです。
ホームズが涙を流してるのはアイリーンの歌を聞いてるときですね。
そのあたりは「芸術に瞬間的に身をささげてるホームズ」って感じで素敵です。
決して恋でないたわけではないと思うので、ご安心を~^^

ってご覧になってないドラマの話を延々としてもなんでしたね。
失礼しました。

重い話への脱線も私は楽しいのでお気になさらず。
私の文章大丈夫ですか?自分では、かなりコンプレックスあって・・・。
ナツミさんみたいな論理的な文章展開される方がうらやましいんです。
でもほめてもらったみたいなので(ですよね)ありがたく受け取って、また書き散らかさせていただきま~す。よろしくお願いいたします。

恋してもシャーロック・ホームズ! - ナツミ - 2012年10月10日 07:14:50

このフレーズに吹き出しました!

> ホームズが涙を流してるのはアイリーンの歌を聞いてるときですね。
> そのあたりは「芸術に瞬間的に身をささげてるホームズ」って感じで素敵です。

そういえば、ホームズとアイリーンには「音楽」という共通項があるんだった!
ホームズは、女性の論理には否定的でしたけれど、女性のコンサートを聴きに言ったり、芸術性は認めていますよね。
ホームズ、アイリーンと音楽の話をしてみたかったかもしれないですね。(一番近くにいるワトスンはほとんど音楽に興味なさそうなので、余計に…)

でも現代版のアイリーンは、お仕事も違うなぁ……
シャーロックとの共通点ってあるかなあ。性的嗜好か!?何かこう、素質を見抜いたのか!?
(私もバスカヴィルでちょっとSの素質を見抜いちゃった気がするんですが、アイリーン的にはMの素質を感じたんでしょうか…いやいや脱線し過ぎ)

私こそ延々とすみません!
カナダ版、音楽の場面も美しいのですね。探して観てみたいと思います!

文章についてですが、私は普段人の顔を見て話すことは多いのですが、文章を書く機会が少なくて、言葉だけで伝えるということが苦手です。知らないうちに、表情や声に含ませたニュアンスなど、曖昧なものに頼ってしまっているのでしょうね。後になってから「伝わっていなかったなあ」と気づくことがしばしばです。
YOKOさんの明晰な文章で、こちらこそ勉強させていただいております。これからもよろしくお願いします!

- 神崎真 - 2014年03月09日 12:06:30

こんにちは~、ホビット第一部に引き続き、ようやく「ライヘンバッハ・ヒーロー」を視聴したので、関連記事をずっと読んできている神崎です。
そうしたらアイリーンについての熱い議論が交わされていて、ついまたも昔の記事に横入りさせていただきます。

私は最初にアイリーンとホームズの間に恋愛関係があったという説を見た時には、心の底からびっくりした方でした。ええ!? 違うだろう。アイリーンにはちゃんと夫がいるし、ホームズはあくまで人間として、彼女を性別を超えた一人の偉大なるライバルとして認めているんじゃないのか? と。

そういう意味では、現代版シャーロックも、アイリーンに対して『恋』をしていたかというと、疑問を生じている私です。現代版では独身のアイリーンからシャーロックに向かうベクトルはあったかもしれませんが、肝心のシャーロックの方は……恋愛という感情が理解できているのかもあやしい所ではないかと思うのです。
ただ彼にとって、アイリーンが『特別』であったのは確かではないかなと。同じ高みで知的ゲームを楽しめる頭脳を持つ存在として、シャーロックはアイリーンを認めていたのではないのでしょうか。
私にとってのアイリーンとホームズ、アイリーンとシャーロックはそういう印象なのでした。
なので原作でも現代版でも、アイリーンのことは嫌いではありません。特に原作やグラナダ版のアイリーンはすごく格好いいと思っています。……これって少数派なんでしょうかね?

アイリーンは格好いい! - ナツミ - 2014年03月13日 05:43:25

神崎真さま

お返事遅くなってすみません!
実は10年使っているパソコンが、いよいよやばい感じです……起動に30分くらいかかるので、立ち上げてる間にうとうとして気付いたらフリーズしてる……をアホのように毎晩繰り返しております。
いいかげん新しいのを買いに行きたいのですが、増税前の駆け込み需要ですごい混んでるんだろうな……私のはそんなクレバーな買い物じゃないのに!この人急患です!と先に通してもらえないものか……(無理)。

第2シリーズを最後までごらんになったのですね。過去記事への書き込み大歓迎です!

> 私は最初にアイリーンとホームズの間に恋愛関係があったという説を見た時には、心の底からびっくりした方でした。ええ!? 違うだろう。アイリーンにはちゃんと夫がいるし、ホームズはあくまで人間として、彼女を性別を超えた一人の偉大なるライバルとして認めているんじゃないのか? と。

ここ、まったく同感です!
アイリーンの夫、ノートンに関してはあまり描写がないせいか、スルーされがちなんですよね。

> そういう意味では、現代版シャーロックも、アイリーンに対して『恋』をしていたかというと、疑問を生じている私です。現代版では独身のアイリーンからシャーロックに向かうベクトルはあったかもしれませんが、肝心のシャーロックの方は……恋愛という感情が理解できているのかもあやしい所ではないかと思うのです。
> ただ彼にとって、アイリーンが『特別』であったのは確かではないかなと。同じ高みで知的ゲームを楽しめる頭脳を持つ存在として、シャーロックはアイリーンを認めていたのではないのでしょうか。

製作者側から「Sherlock in love ではなく with love」 というアナウンスがありますから、公式見解はまさにその通り!ではないでしょうか。
でも、原作・現代版共に彼女の写真や携帯を欲しがるというエピソードがありますし(知的な意味での好敵手は他にもいましたが、その人の記念品にこだわるという描写はなかったと思います)、現代版にはシャーロックが(ジョンもマイクロフトも知らないところで)アイリーンを救い出すというエピソードが付け足されていますから、ラブストーリーを想像する余地は十分に提供されている、という感じもありますね。

> なので原作でも現代版でも、アイリーンのことは嫌いではありません。特に原作やグラナダ版のアイリーンはすごく格好いいと思っています。……これって少数派なんでしょうかね?

もし上記のやりとりから私が「アイリーンがきらい」と受け取られてしまっていたら、それは私の表現力不足のせいで、決して彼女が嫌いなわけではないんですよ!
アイリーンって、彼女自身の人間性とは関係なく「シャーロック・ホームズの絡んだラブストーリー」の一要素というか、コマとして安易に使われがちだと私は勝手に感じてしまっていて、今回の「シャーロックへの恋」にも同様の安易さを感じてしまったというだけで……
ただ、それを突き詰めるならば、ワトスンに対してもいちいち『ホームズの友情物語の装置』だと感じるべきなのかもしれません。やっぱりアイリーンに対しては過剰反応というか、客観的に見られない何かがあるんでしょうね。
でもアイリーンは好きですし、強く惹かれます。どちらかというとメアリが好みのタイプなので、説得力がないかもしれませんが!(頭の良さを前面に押し出してる格好いいキャラも好きですが、一見目立たないけど地味~に聡明なキャラを応援したくなってしまうんですよ。同様の理由で、ホームズよりもワトスンが『タイプ』です!かといってホームズが嫌いというわけでないのは、信じていただけるかと思います。)

神崎さんが「少数派」かどうかはわからないのですが、私の狭い交友範囲を振り返った限りでは、アイリーンが嫌いという女性にはまだ出会ったことがないです。
ホームズに勝ったという歴史的快挙をおいといても、男装したり王様を夢中にさせたり、並大抵の女性にはできないことをやってのけるアイリーンにはやっぱり憧れますよ!

パスティーシュですが、キャロル・ネルソン・ダグラスの「おやすみなさい、ホームズさん」のシリーズが大好きです。日暮雅通先生の日本語訳が出ているところしか読んでないのですが、先もいっぱいあるのが嬉しい!
ホームズ・ワトスンとは脳の違う部分で好きというか、心の中の宝物みたいなお話です。でも、やっぱりネルを応援したくなっちゃうな~。

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Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

『高名の依頼人』のこと書きましたが、6月24日までグラナダ版がGYAOで無料で観られるそうです。
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