最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
【お願い】 ★記事における間違いは、できる限り修正したいと考えております。お気づきの点がありましたら、ご教示いただけるとありがたいです。
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逆転と対立

盗難未遂というか、ものすごい不法侵入というか、とにかくジムの引き起こした事件によって裁判に引き出されるシャーロックですが、原作では裁判を望んでいたのはホームズの方でした。

「(前略)そこから手をのばして、僕は彼の身辺にすっかり網をはった。そしていまはそれを締めるばかりになっているのだ。三日で――つまりこの月曜日には機が熟する。教授はその仲間のおもだった連中といっしょに、官憲の手につかまるだろう。それから今世紀未曾有の大刑事裁判が開始されて、今まで迷宮入りとされている事件が四十件以上も解決され、全被告が絞首台にのぼらされるだろう。(後略・『最後の事件』)」



原作と現代版では、干渉する側とされる側が逆なんですね。
原作では、ホームズからモリアティ教授に。
現代版では、ジムからシャーロックに。

そして、追う側と追われる側の逆転も起こります。
ホームズは、「網を締める」側から命を狙われて逃げる側に。
シャーロックは、追い詰められた状況で自らジムを呼び出します。

逆といえば、「最後の事件」の最終的な舞台は、スイスにあるライヘンバッハの滝。それまでに起こった(少なくとも、発表されている)事件の中ではホームズとワトスンが一番遠くに足を延ばしているのに対し、現代版では「始まりの場」であるセント・バーソロミュー病院に回帰しているのも面白いなと思います。

さて、この「逆転現象」から思い出される台詞があります。

You hope to place me in the dock.
I tell you that I will never stand in the dock.
You hope to beat me.
I tell you that you will never beat me.
If you are clever enough to bring destruction upon me,
rest assured that I shall do as much to you.’

「君は私を法廷に立たせるつもりでいるが、
私はけっして法廷には立たない。
君は私を打ちのめすつもりでいるが、
私はけっして打ちのめされない。
君にもし私を破滅させるだけの聡明さがあれば、
私にも君に同じものを報いるだけの聡明さはあるのですぞ」



「最後の事件」で、モリアティ教授がホームズに言い放つ台詞です。改行は私が勝手に施したのですが、まるで一編の詩のように思えませんか?

モリアティ教授は21歳で二項定理に関する論文を書き、ヨーロッパ中で有名になった天才数学者だといいます。
数学を人生のかなり早い時期に諦めた私としては、「二項対立」という多分数学とはあんまり関係ない言葉が頭をよぎりました。

相対する二人の人物。
相対する二つの思惑。
それを数学者らしい、美しい対称を形づくる言葉であらわした、モリアーティの台詞。

現代版がいちいち原作の「逆」をやろうとするのは、やはり美しい対称を作りたかったからでしょうか。


…ということをつらつら考えていたのですが、何せ数学に弱いもので、言い出す勇気がずっとありませんでした。「全然違うよ!」と教えてくださる方の数学講義、お待ちしております。理解はできないと思いますが、反省はいくらでも致します……!

シャーロックのジムに関する証言で、思いついたことをメモとして添えます。(数学の試験で、初めのほうの計算問題でわずかな点数を稼ごうとする生徒みたいに……)

マイクロフトの「ソッファ~」発言同様「元ネタ」かどうかはわからないのですが、シャーロックの"First mistake."という台詞からは、「美しき自転車乗り」でホームズの推理のあら探しをしようと頑張るウィリアムソン老人が言う「うそ第一号だ(Lie number one.)」という台詞が思い出されました。これは、延原先生の訳が印象的だからかもしれませんねえ。

また、"He's a spider.A spider at the centre of a web, a criminal web with a thousand threads and he knows precisely how each and every single one of them dances."
「彼はクモだ。巣のまん中に陣取って、千もの糸で犯罪の網を織る。そしてどの犯罪のどんな動きも把握している。(拙訳)」
という台詞は、「最後の事件」に出てきます。

「(前略)彼は犯罪者中のナポレオンだ。大ロンドンの未解決事件のほとんど全部と、悪業の半分の支配者だ。その上天才で学者で理論的思索家なのだ。第一級のすぐれた頭脳をもち、巣の中央にいるクモのようにじっとしているが、その網には放射状の線が無数にあって、その一本一本の振動が手に取るようにわかる。(後略)」


「ノーウッドの建築士」にも言及がありました。

(前略)「あの男が生きていたころは、毎朝の新聞が面白い暗示を無限に提供してくれた。ごくわずかな痕跡とか、ほんの微かな暗示にすぎなくても、僕にはその背後にひそむ凶悪な智能が、容易に見すかせたこともしばしばだった。ちょうど蜘蛛の巣の一端におこった静かなトレモロから、中央に頑張る醜悪な蜘蛛の存在に気づくようにね。(後略)」



(原作からの引用は全て延原謙訳)
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この記事へのコメント

- あなみ - 2015年08月07日 20:25:23

こんにちは。お初に書き込みさせていただきます。
遅ればせながら”ユリイカ”拝読致しましてこちらのサイトに辿り着きました(あの本は私の愛読書になりそうです)。現在ちょっと暇ができたので、念願のSHERLOCK一気視聴をしているのですが(こちらも遅ればせながらという感じです)、細かいネタなど、自分が気付けなかったものまで、愛情たっぷりに記事を書いて下さって、こちらのブログに一目惚れです!

本当は”じょんおにいさんの〜”(http://sherlock221b.blog.fc2.com/blog-entry-63.html)の方にコメントしようかと思ったのですけれど、流れを壊しそうで怖かったのでこちらに(笑)(でもあの1本指でタイプしているMartinへの言及は、同じ所に気付いておりましたので、画面のこちら側で思わず爆笑してしまいました)。

モリアーティが蜘蛛の巣の真ん中にいて、犯罪の情報を全て把握しているという描写は、やはりおぞましいものがありますね。この辺りは、確かガイ・リッチー版のホームズでも、同様の映像表現があったように思います(犯罪の発生地点を地図上にプロットしていった所、全ての糸がモリアーティに向かうというものだった筈です)。

モリアーティは、S2E3で、ホームズは天使の側にいるに過ぎず、自分と同様の人間だということを述べました。勿論彼は悪魔の側にいるわけですね。ということは、ホームズも善人の立場から、この"犯罪の蜘蛛の巣"の中心にいるのではないでしょうか?これは何となく感じたことではあるのですが、ジムの台詞との符号を書かずにはいられませんでした・・・・・・

小学生の頃からのホームズファンとして、これほどまでに"SHERLOCK"や原典への愛情を感じるブログは、読んでいて楽しいの一言です。これからも"SHERLOCK"を観つつ、このサイトを楽しませていただきます!
SPストーリーやS4も楽しみですね!(SP編劇場公開の複数の国に、日本が含まれていることは信じて疑いません)視聴致しましたら、またこちらのブログに遊びに参ります。素敵なホームズ考察が読めることを楽しみにしております。

蜘蛛と漁師 - ナツミ - 2015年08月08日 17:31:23

あなみ様

はじめまして。コメントありがとうございます。
昨年のホームズ特集号で見つけてくださったのですね。私もあの本は素晴らしいと思います。買ってくださった方のおうちに一軒一軒忍び込んで、自分のページだけ切り取れれば完璧なんですが……


そして、「じょんおにいさんの~」に反応いただきうれしいです!
RMさんの絶妙なコメントも含めて好きな記事なのですが、それから4年、誰ひとり「おにいさん」にツッコまず延々ボケっぱなしという、過疎サイトの悲哀に満ちた記事でもあります……

ジョンの「機械に弱い」という設定はどうなったんでしょうね。第1シリーズではセルフレジさえ使えなかったのに(まあ2010年当時は、日本でも今ほど一般的じゃなかったと思いますが)、第2シリーズでは人気ブロガーになり、スカイプも使いこなしてる!
除隊直後は浦島太郎状態だった、ってことなのかな。戦地にも、セルフレジはともかくPCはありそうですけど……

> モリアーティが蜘蛛の巣の真ん中にいて、犯罪の情報を全て把握しているという描写は、やはりおぞましいものがありますね。この辺りは、確かガイ・リッチー版のホームズでも、同様の映像表現があったように思います(犯罪の発生地点を地図上にプロットしていった所、全ての糸がモリアーティに向かうというものだった筈です)。

RDJホームズは、部屋に模型を作成していましたよね。あれも印象に残る場面でした。

> モリアーティは、S2E3で、ホームズは天使の側にいるに過ぎず、自分と同様の人間だということを述べました。勿論彼は悪魔の側にいるわけですね。ということは、ホームズも善人の立場から、この"犯罪の蜘蛛の巣"の中心にいるのではないでしょうか?これは何となく感じたことではあるのですが、ジムの台詞との符号を書かずにはいられませんでした・・・・・・

ホームズも独自のネットワークを持っていますし、シャーロックもそうですよね。
ですからあなみ様の「善人の立場から、"犯罪の蜘蛛の巣"の中心にいる」という見方に私も賛成です。
なるほど、そういった意味でも、ホームズとモリアーティはきれいな対称を描いているんですね。

この記事の冒頭で引用したホームズの台詞は、原文ではこうでした。
"I have woven my net round him until now it is all ready to close."
最後の「締める」という動作から、こちらは漁師の網だとわかりますね。リッチー版の続編『A Game of Shadows』でも、ホームズとモリアーティは漁師と鱒になぞらえられ、「どちらが漁師でどちらが魚か」というゲームが繰り広げられたのですよね。
リッチー版も続編の噂が流れているので、楽しみです。

私も小学生の頃からのホームズファンです。お話できたらうれしいです!
90分×9話(パイロット版とMany Happy Returnsも入れると、10話ちょっとくらい?)の視聴マラソンはハードそうですが、ちびちび観てしまった私はそんな大盤振る舞いは体験してないので、たいへんうらやましい……!ちょっと妬ましいくらいです!
ごゆっくり楽しまれてから、ぜひまた遊びにいらしてくださいね。

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Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

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