最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
【お願い】 ★記事における間違いは、できる限り修正したいと考えております。お気づきの点がありましたら、ご教示いただけるとありがたいです。
★コメントを歓迎しております。初めてコメントくださる方は、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。
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【事件の重要なネタバレ】二つの薬

「いい瓶と悪い瓶だ。いい瓶の薬を飲めば生き残る。悪い瓶の薬を飲めば死ぬ」(拙訳)

「緋色の研究」の犯人との共通点は、

・職業(辻馬車の御者→タクシードライバー)
・殺害方法(二つの薬のうち、一つを選ばせて同時に飲む)
・動脈瘤を抱えていて、死期が近づいている

ということくらいでしょうか。




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この記事へのコメント

いまさらピンク色の研究クライマックスについて - 篠田真由美 - 2015年02月06日 15:35:38

 すいません、『緋色の研究』は読んでいるはずなのになんにも覚えてなくて、これから読みますが、ドラマの方についてです。
 果たして運転手が4回続けて被害者に「悪い瓶」を選ばせられたのは、単なる偶然でしょうか、それともなにかトリックがあったのでしょうか。死期を宣告され、モリアーティにそそのかされて金銭的な報酬という動機も得られた彼は、「死んでもいい」と思いながら五分五分の賭けを4度繰り返して、偶然生き延びられた為に「自分は天才」と思いこむに至っただけなのでしょうか。
 だとするとシャーロックがいくら瓶を睨んでも、「いい瓶」を特定することは出来なかったはずです。シャロはなぜ瓶を選び、薬を飲もうとしたのか。犯人に対する時間稼ぎの芝居か。でも後のジョンとの会話を見ると、「飲む気だった」のが正解らしい。しかしすると彼はジムと同じくらい危ない自殺願望の持ち主だということになってしまう。名探偵としては少し情けなくないだろうか。
 実はつらつら考えていて、犯人が確実に被害者に毒を飲ませられるトリックを思いつきました。シャロも同じ結論に達していたなら、犯人を欺く芝居にも必然性が出るのですが、だったらシャロによるトリックの暴露シーンがあってもいいな、などと、つらつら考えてしまいました。

 クリスマス特別編はヴィクトリア朝のようですね。いまから首を長くして待ちます。こんな前の記事にいきなりコメント失礼しました。

ゲームの意味 - ナツミ - 2015年02月08日 20:23:21

篠田真由美様

「いまさら」のコメントも大歓迎です!ありがとうございます。
特に初期の記事は「とりあえず元ネタ列挙」と言わんばかりのあっさり加減なので……
日本で放映され、多くの方がさまざまな考察をなさっている今、振り返って語り直すべきこともたくさんあると思います。

>  果たして運転手が4回続けて被害者に「悪い瓶」を選ばせられたのは、単なる偶然でしょうか、それともなにかトリックがあったのでしょうか。死期を宣告され、モリアーティにそそのかされて金銭的な報酬という動機も得られた彼は、「死んでもいい」と思いながら五分五分の賭けを4度繰り返して、偶然生き延びられた為に「自分は天才」と思いこむに至っただけなのでしょうか。

コメントをいただいてからご返信するまでに時間がかかってしまったのですが、ミステリ作家の篠田先生ならではのご指摘に唸らされました。仕事してる間もビール飲んでる間も、頭のどこかでこの件についてずっと考えていました。

第3シリーズまで観た今、ドラマと原作は別物という意識が強くなりましたが、やはり第1シリーズ1話の時点では、「緋色の研究」ありきで「ピンク色の研究」を観ていたので、ホープの変更点にばかり目が行ってしまい、それ以外は原作と同じ、という先入観があったんです……。
でも先入観を捨てて考えれば、篠田様のおっしゃるとおり、4連勝は偶然にしてはちょっと多い。原作ホープが何回「勝った」か、未読とおっしゃっているのでここで明言するのは控えますが、比べたらますます「トリックがあった」可能性を強く感じてしまいます。
私には「なるべくマイペースで元ネタ探しを楽しみたい」ゆえに、あまりネットなどでのファンの議論に触れていないという弱点があります。ファンの間の「定説」はあるのでしょうか。ご存知の方がいらっしゃったら教えていただきたいです。

それだけでは何なので、「原作ありき」ではありますが私なりの解釈を書かせていただくと、現代版ホープが自らを特別視するのは、「ゲームに勝てるから」ではなく、「ゲームの楽しみを知っている」からではないかと言う印象を持っています(実をいうと、ずいぶん長いこと「ピンク色の研究」を観ていません。篠田様のご意見を頭においてこのお話を観返すと、また違う印象を持つかもしれません)。

原作のホープは、相手を襲う、というよりも「決闘を挑む」んです。殺すと決めた相手には、愛する人を奪われ痛めつけられ、人間としての尊厳をこれ以上ないほど踏みつけにされている。それでも彼は、自分が人を裁くことを潔しとせず、その生死を「神に委ねる」んですね。
もう、自分には生きる理由はない。しかし、罪もない者たちが踏みつけにされたまま、嘲笑されたまま死んでいくのは本当に正しいことなのか。正義とはいったい何なのか。そういう葛藤があっての「二つの薬」なんだと思います。

あまり長くなるのも何なので、現代版ホープの「葛藤」に言及するのはここではやめておきますが、私としては「知略で勝つ」ことよりも「何か絶対的なものに、存在することを赦され選ばれる」ことにこのゲームの意味があると思っていました。
だから、五分五分でないといけない。リスクを生き延びるからこそ、原作ホープは「正義は自分にあった」と思えるし、現代版ホープは「自分は特別な存在だ」と思える。
どちらも歪んだ理屈ですけど、二人の気持ちになってみれば、「歪んでるのは世界の方じゃないか」と叫びたいのだと思います。自分を傷つけた者に復讐したい。自分は間違っていないと信じたい。何か、絶対的なものに赦されたい。これこそが、この歪んだ世界で追いやられてしまった自分が、愛する人にしてやれる唯一のことだ、と二人共思っている。

そして、原作を読んでいただいてからお話するべきだと思うので詳細は省きますが、私はホームズとホープって似ていると思うんです。(人形劇『シャーロックホームズ』の主題歌・"Scarlet Story"はおそらく『緋色の研究』にインスパイアされた歌だと思うのですが、私には若きホームズの歌であると同時にホープの歌に聞こえます。番組で流れている部分しか知らないので、フルコーラスで聞いてみるとまた違うかもしれませんが。よろしければ、『緋色の研究』をお読みになった後にでもお聴きになってみてください。)
現代版シャーロックと現代版ホープもまた、互いに似た闇を抱えていると思います。少なくともこの時点でのシャーロックは、「ジムと同じくらい危ない自殺願望」をどこかに抱えていたと思います。まだ、「名探偵紀元前」だったんじゃないでしょうか。言うなれば、B.J.(Before John)……?
この時点でのシャーロックが、ジョンには理解できない「ゲーム」に溺れるのは、私には不自然に見えませんでした。ジョンはジョンでとんでもない行動に出て、結果的にシャーロックの人生観を変えちゃうわけですけど、抱えている「闇」はそれぞれ違うんですよね。だから、ジョンとシャーロックはお互いを救うことができる。

光に包まれていた人が闇に引きずり込まれていくこともあれば、闇を抱えた二人が出会い、光に向かって歩き出すこともある。「緋色の研究」も、「ピンク色の研究」も、そういうことを示唆しているお話ではないか、と私は思います。

でも、繰り返しになってしまいますが、それは当時「そういうドラマ」と思って観ていたからであって、このドラマがシリーズを重ねて非常に「ボンド的」な展開になった今このお話を振り返ると、ホープにもシャーロックにも勝算やセーフティネットがあった、という篠田様のご意見のほうが説得力があると思えます。
「犯人が確実に被害者に毒を飲ませられるトリック」ものすご~~~く気になります!!
いつか、先生のご著作でそのトリックに出会えるのでしょうか。新刊を待つ楽しみがひとつ増えました!

>  クリスマス特別編はヴィクトリア朝のようですね。いまから首を長くして待ちます。

どんなお話になるんでしょうね。楽しみですね~!

大したトリックではないのです - 篠田真由美 - 2015年02月09日 08:43:55

お返事有り難うございます。早いところ『緋色の研究』を読まなくては、と思わされました。原作のキャビーはなるほど、そういう心理的背景があっての殺人だったのですね。原作を知ってドラマを見ると、ドラマでは描写されていない犯人の心理的な部分も自然と脳内補完がされることになるのかも。

ドラマでは犠牲者の選び方が明らかに「誰でもいい」としか見えないので、復讐と同時に決闘、神の審判を仰ぐという風には見えない。無差別殺人の奇怪さを優先させて、被害者同士の関連を無くし、スポンサー=モリアーティで動機の薄さをおぎなった、と。しかしその分被害者たちが、あの奇妙な二者択一に追い込まれる必然性が薄くなったな、というのは、ミステリ読みの無粋なつっこみです。ドラマを見ているとそんなことまでは考えられません。

私の考えたトリックは、手品のネタバラシと一緒で、明かしてしまえば「なあんだ、そんなのか、がっかり」てなものですので、敢えて書きません。作中ではドラマファンの女の子たちが、あれつにいてああだこうだいって盛り上がる、それを聞かされて京介が「こういうトリックなら考えられるよ。でもつまらないよね」みたいなことをいう場面が出てきます。しかし後でそのトリックと似た状況が出現して、解決の伏線となるという。

人気のドラマを作中の話題にするのも、さもしいような気もしつつ、自分のそのときの関心事が反映されるのも一興かと思って書いてます。担当もシャーロック・ファンなので、止められることはないと思います。ww

じゅ、重大なリークが…… - ナツミ - 2015年02月10日 05:11:32

篠田真由美様

> 原作を知ってドラマを見ると、ドラマでは描写されていない犯人の心理的な部分も自然と脳内補完がされることになるのかも。

う~ん、あくまで視聴者側の脳内補完なので(特に私の場合、妙な妄想が入り込みやすいので)、それに頼りすぎるのもどうなんだ、と「作る側」の立場にある方はお思いになるかもしれませんね。
もちろん、原作を読んでいなくても面白いドラマだから成功したのだと思いますが、原作の存在が話に含みを持たせることにはなっていますよね。

> ドラマでは犠牲者の選び方が明らかに「誰でもいい」としか見えないので、復讐と同時に決闘、神の審判を仰ぐという風には見えない。無差別殺人の奇怪さを優先させて、被害者同士の関連を無くし、スポンサー=モリアーティで動機の薄さをおぎなった、と。しかしその分被害者たちが、あの奇妙な二者択一に追い込まれる必然性が薄くなったな、というのは、ミステリ読みの無粋なつっこみです。ドラマを見ているとそんなことまでは考えられません。

「犠牲者の選び方」には基準があったんじゃないか、という議論がこのブログのコメント欄でもありました(http://sherlock221b.blog.fc2.com/blog-entry-195.html)が、それも視聴者側の解釈に過ぎませんものね。視聴者に委ねる、というのはこのドラマの面白いところでもありますが、そういうエンタメ要素をすべて取っ払った上での、ミステリとしての評価はどうなんだろう、というのは気になっていました。

> 私の考えたトリックは、手品のネタバラシと一緒で、明かしてしまえば「なあんだ、そんなのか、がっかり」てなものですので、敢えて書きません。作中ではドラマファンの女の子たちが、あれつにいてああだこうだいって盛り上がる、それを聞かされて京介が「こういうトリックなら考えられるよ。でもつまらないよね」みたいなことをいう場面が出てきます。しかし後でそのトリックと似た状況が出現して、解決の伏線となるという。

劇中で「SHERLOCK」の話題が!しかも伏線に!?
こ、こんなマイナーブログですごい情報がリークしてるんですが!(冷や汗)

> 人気のドラマを作中の話題にするのも、さもしいような気もしつつ、自分のそのときの関心事が反映されるのも一興かと思って書いてます。担当もシャーロック・ファンなので、止められることはないと思います。ww

作中に時事ネタがある小説、私は好きなんです。
書き手の方々にとっては「情報が少し古くなった時、小説自体が古臭く見えてしまう」というリスクがあるのでしょうが、作品自体に力があれば、そんなのは些細なことだと思いますし、小説はもっとずっと長く残るものですので、後世の読者にとっては、作品の書かれた時代を理解するための貴重な資料になりますよね。
漱石の「空也もち」が今でも食べられたりとか、作家の愛した現実を共有できることは、ファンにとってはすご~く嬉しいことなんです!「シャーロックネタ」楽しみにしております。

お世話になります - 篠田真由美 - 2015年02月10日 09:05:42

おおっ。すばらしく盛り上がったコメント欄を拝読してきました。そして運転手の犠牲者選びに基準有り・説に感動。ゆいさんの「キーワード説」もナツミさんの「輝いていた人説」も、どちらも捨てがたいです。ミステリとして小説にするなら、ぜひそのへんは書き込みたいところですが、犯人側からの描写をするとなると「誰が犯人か」の興味では読者を引けなくなるので、そこが難しいですね。

 それとへしこさんの『PALM』。これも私には「おおっ」です。永年偏愛しているマンガのひとつなもので。三原順といい、不思議とナツミさんちでそういうものが目に入るというのは、なんなんでしょう。ちょっと不思議。嬉しいからいいけど。

 昨日「ピンク色の研究」を吹き替え版で見直してみました。そして、自分の賢さを証明するために要らぬ挑戦に応じてしまうシャーロックは、before Jhonというナツミさんのご意見に「ああほんとに」と深くうなずきました。シャーロックは初対面のジョンに、自分はすでにひとかどのものだと認めさせようと懸命ですが、あのときはまだ彼の「名探偵シャーロック・ホームズ」としての活動は本当の意味では始まっていなかったのだと考えれば、彼のあまりに幼い「死の誘惑への魅せられ方」にも納得が行きます。あれは「所を得ない天才のあがき」ゆえで、ジョンの銃弾はそこから彼を引きずり出し、名探偵への道に連れて行ってしまった。無論彼自身、そんなこととは知らないままに。そう考えれば本当に、いろいろ得心がいきます。

ほんとにSherlockはいろいろ思考する楽しみを与えてくれるドラマですね。私の「トリックがあった説」は、一種の、ほんとは違うだろうけどこんなのも考えられるよ、という思考の遊びです。でもこちらでいろいろ刺激を与えていただけたからこそ、思いついたことでもある気がします。雑誌掲載の中編にくっつける書き下ろしのつもりで書いてますが、なんだか長引いてます。無事形にできましたら、あとがきに簡単なお礼のことばを、ナツミさんとコメントをつけている常連の皆様へ捧げたいと思ってます(まだ終わってないので予定ですww)

楽しみにしております! - ナツミ - 2015年02月11日 01:44:43

篠田真由美様

> おおっ。すばらしく盛り上がったコメント欄を拝読してきました。そして運転手の犠牲者選びに基準有り・説に感動。ゆいさんの「キーワード説」もナツミさんの「輝いていた人説」も、どちらも捨てがたいです。ミステリとして小説にするなら、ぜひそのへんは書き込みたいところですが、犯人側からの描写をするとなると「誰が犯人か」の興味では読者を引けなくなるので、そこが難しいですね。

お読みいただけてうれしいです!
犯人の心理……難しいですね。ドラマだと視聴者の想像に委ねられるようなことも、小説だとしっかり書きこまなくてはならない、ということもありますよね。もちろんその逆もあるでしょうが……

>  それとへしこさんの『PALM』。これも私には「おおっ」です。永年偏愛しているマンガのひとつなもので。三原順といい、不思議とナツミさんちでそういうものが目に入るというのは、なんなんでしょう。ちょっと不思議。嬉しいからいいけど。

そして、一応管理人のはずの私は常にその作品を知らない、というのも不思議です……
私がものを知らないだけで、『SHERLOCK』を好きな方々の読書傾向が、ある程度共通しているのかもしれませんね。

シャーロックは初対面のジョンに、自分はすでにひとかどのものだと認めさせようと懸命ですが、あのときはまだ彼の「名探偵シャーロック・ホームズ」としての活動は本当の意味では始まっていなかったのだと考えれば、彼のあまりに幼い「死の誘惑への魅せられ方」にも納得が行きます。あれは「所を得ない天才のあがき」ゆえで、ジョンの銃弾はそこから彼を引きずり出し、名探偵への道に連れて行ってしまった。無論彼自身、そんなこととは知らないままに。そう考えれば本当に、いろいろ得心がいきます。

「自分はすでにひとかどのものだと認めさせようと懸命」!確かに、そうですね!「クリスマス!」の印象が強すぎて、ナチュラルに変な人にも見えましたが、心のままにふるまっていただけではありませんよね。シャーロック、賢くみせるために頑張ってたんだなあ……それがラストシーンの「君は馬鹿だから」と言われて微笑む場面につながってくるんですね。そのお言葉を踏まえて、もう一度観てみようと思います。

「所を得ない天才」……ホープもそうなんですよね。
以前調べてみたのですが、ロンドンでタクシー運転手になるのって本当に大変なことらしいのです。でも、彼にとって、そこは彼が納得して生きられる場所ではなかった。同じように、年上のマイクロフトがさっさと居場所をみつけてしまった後、シャーロックも、彼を生かしてくれるものを求めていたのでしょうね。

> 雑誌掲載の中編にくっつける書き下ろしのつもりで書いてますが、なんだか長引いてます。無事形にできましたら、あとがきに簡単なお礼のことばを、ナツミさんとコメントをつけている常連の皆様へ捧げたいと思ってます(まだ終わってないので予定ですww)

わああ!もしそうなったら、光栄過ぎて本屋さんで鼻血を出してしまいそうです……そうならなくても、『SHERLOCK』の話をする京助さんたちと、「第二の事件」を楽しみにしております!

原作、パイロット版との比較話です - 篠田真由美 - 2015年02月15日 15:42:00

『緋色の研究』を読了。そしてただいま「ピンク」のパイロット版を再視聴しました。

『緋色』はホームズとワトソンの出会いが、「ああ、ここをこういうふうに現代版では読み替えたのか」という答え合わせを楽しみました。ただせっかくのホープの犯罪がちょいと弱いといいますか、被害者に錠剤を選ばせて殺害するという、非常にユニークな発想がきちんと生かされていないな、という感じがしました。ドイルのアイディアはむしろ現代的なのに、それをモルモン教徒のカルト的犯罪に対する復讐話という、いわば古めかしい因縁ものに落とし込んだところは19世紀的。
私がこれを現代化するなら、最初からいかにも現代のゲーム的無差別殺人という側面を強調しておいて、公平に見せかけて汚いトリックもあったと思わせて、実はゲームではない、犯人の神の審判を問うための方法だった、犠牲者選びも無差別ではなかった、もちろんだからこそトリックもなかった、というふうにひっくり返したいところです。

パイロット版は、シャーロックが妙に若い。髪型とか。シナリオも細部が変わっていて、むしろ説明的セリフが多く、わかりやすい感じがします。レストレードは彼を現場に入れるけど、彼の推理をメモしたジョンに「いらない」と答えるなど、シャーロックの評価されてない感は強い。
クライマックスはシャーロックが薬でフラフラになっているから、逃げるに逃げられないというサスペンスが強くてそこは説得的。好きこのんで挑戦に応じてしまう放映版よりは納得しやすい。犠牲者の選び方も「泥酔していたり道がわからない無防備な人間」と説明され、運転手の確信犯的狡猾さが強調されていて、こっちの犯人ならトリックくらい仕掛けていそうです。モリアーティの賞金提供もないし。
ただパイロット版の方が、シャーロックは運転手の表情を凝視していて、相手の表情から錠剤の正否を見抜こうとしている様子がある。しかし最終的にはわからなくて、わからないまま偶然に賭ける決心をしてしまったような。しかも直前には視線を伏せてしまう。それでは、篠田の考えたトリックが存在した場合、シャーロックは死んでしまいます・・・

総じてパイロット版の方が、わかりやすい普通のドラマですね。放映版は説明要素を可能な限り減らして、視聴者に想像やつっこみの余地を残すということを、敢えてしているのだと思いました。

ゆいさん、billylabさんと4月のどこか土曜か日曜にお会いできそうです。それで、我らがナツミさんは来ていただけないかしら、という話が持ち上がっているのですが、どうでしょう。

 

ぜひ「篠田版」を…… - ナツミ - 2015年02月15日 18:37:12

篠田真由美様

現代版から原作に移行するのも、面白いですね!
ミステリ作家の篠田先生ならではの分析をお聞かせいただいて、光栄です。

> 私がこれを現代化するなら、最初からいかにも現代のゲーム的無差別殺人という側面を強調しておいて、公平に見せかけて汚いトリックもあったと思わせて、実はゲームではない、犯人の神の審判を問うための方法だった、犠牲者選びも無差別ではなかった、もちろんだからこそトリックもなかった、というふうにひっくり返したいところです。

う~ん、「篠田版」読んでみたい!
>
> パイロット版は、シャーロックが妙に若い。髪型とか。

ジーンズとか、「さりげないけど上質ファッション」の今からは考えられないですよね……
現代の若者らしさを前面に出すか、「猫のようにお洒落」な原作のホームズ像を生かすか、葛藤の末にああなったのだと思います。過去記事からリンクしている、るあるあさんのファッション分析も面白いですよ!(最近お忙しそうなので、この記事からの直リンは控えますが……)

過去記事「シャーロックのガウン」http://sherlock221b.blog.fc2.com/blog-entry-181.html

> ただパイロット版の方が、シャーロックは運転手の表情を凝視していて、相手の表情から錠剤の正否を見抜こうとしている様子がある。しかし最終的にはわからなくて、わからないまま偶然に賭ける決心をしてしまったような。しかも直前には視線を伏せてしまう。それでは、篠田の考えたトリックが存在した場合、シャーロックは死んでしまいます・・・

う~ん、「闇を抱えている」というより「単に未熟」の要素が強いわけですね。
ベネディクト・カンバーバッチが醸し出した雰囲気もあって、放送版シャーロックはものすごく変……いや、ミステリアスでした。(BBC Breakfastで、前髪を上げたベネディクトが快活にインタビューに答えているのを見たときは、相当なショックで内容が耳に入らないくらいでした。け、健全そうな好青年じゃん!って……)
そんな変……、いや、陰のあるシャーロックが可愛げをのぞかせていくところが魅力的だったので、やはり放映版の演出が好きかな。

> 総じてパイロット版の方が、わかりやすい普通のドラマですね。放映版は説明要素を可能な限り減らして、視聴者に想像やつっこみの余地を残すということを、敢えてしているのだと思いました。

やはり、意図的に「想像やつっこみの余地を残し」ているんですね。大成功だと思います。
原作の魅力も、想像やつっこみの余地があるところにあるのですよね。

> ゆいさん、billylabさんと4月のどこか土曜か日曜にお会いできそうです。それで、我らがナツミさんは来ていただけないかしら、という話が持ち上がっているのですが、どうでしょう。

ありがとうございます。ゆいさんにメールをいただいたので、ご返信致しました。
後ほど私からもメールでご挨拶させていただければと思います。

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Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

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