最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
【お願い】 ★記事における間違いは、できる限り修正したいと考えております。お気づきの点がありましたら、ご教示いただけるとありがたいです。
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ヘンリー・ナイト

ヘンリー・ナイトのモデルはもちろんヘンリー・バスカヴィル卿に違いないと思いますが、相違点もいくつかあります。

まず、名前が違います。現代版ではタイトルがThe Hound of Baskervilles”(バスカヴィル『家』の犬)からThe hounds of Baskerville(バスカヴィルの(複数の)犬)に変わり、舞台は古い貴族の屋敷ではなく軍の研究所になっていますが、原作のヘンリー卿はバスカヴィル一族の末裔ですので、名前も「サー・ヘンリー・バスカヴィル」。延原先生註によると、爵位はバロネット(准男爵)。この爵位は世襲制だそうです。

一方、現代版の主人公はヘンリー・ナイト。
ナイト(Knight)は苗字ですが、Knightという爵位もありますね。原作者のコナン・ドイルは、ちょうど「バスカヴィル家の犬」を書き上げた後、ナイトの称号を与えられています。
このナイトの称号は個人の功績に対して与えられるもので、世襲制ではありません。
Wikiによると、ドイルの「功績」とは、表向きはボーア戦争の従軍記を書いて軍に貢献したということになっていましたが、当時のロンドンでは、前作「最後の事件」で滝に落ちて死んだホームズを「復活」させた功績に対する恩賞だ、とまことしやかにささやかれたとのことです。
シャーロック・ホームズ人気がどれだけ大きな社会現象だったかわかります。

ちなみに、ホームズ本人にもナイトの称号を辞退したというエピソードが。

私はこの事件の起こった年月をよく覚えている。いつかは詳しい事のしだいを発表してもよいけれど、ホームズが功により士爵に列せられるのを辞退したのと同じ月に起こった事だからである。(三人ガリデブ)



自分はもらったのにホームズにはこういう行動をとらせたドイルの心理は大変興味深いですが、本題からはずれるので割愛して、ヘンリー卿の風貌性格について見てみましょう。原作のヘンリー卿はカナダで農業に携わっていましたが、伯父であるチャールズ卿が急死し、相続のためダートムアに呼び戻されます。

ヘンリー卿は小柄で身がるで瞳のくろい三十くらいの紳士で、しゃんとしたからだつきの、眉毛は黒く太く、気の強そうな風貌であった。赤っぽいツイードの服を着ているが、日にやけたその顔は野外の生活をしてきたことを物語っていた。にもかかわらずその落ちついた眼つきと静かな態度は、紳士であることを示していた。


 
あれ?あんまり似てないな・・・
私は人の風貌を適切に把握するのが上手でないのですが
(「○○さんって××に似てない?」と誰かに聞くと必ず微妙な顔をされます)、現代版のヘンリーはどちらかというと線の細いインドア派に見えませんか・・・?
開拓地に乗り出すより部屋で冒険の旅に出るほうが似合いそうに見えます(ドラクエ10プレイ中の皆さん、他意はありません)。
ジョンのブログを見ると、 normal looking (平凡な外見)としか書いてませんね。たった今失言した私が言うのもなんですが、ジョンはもうちょっと後々のお付き合いとか考えてブログ書いたほうがいいよ!

堂々たる青年紳士、という感じのヘンリー卿ですが、一皮むくと荒っぽい一面も。ホームズシリーズを読んでいると、どうも、開拓地の男性に対して「そういうイメージ」が当時あったんだろうな、と思わざるを得ません。

階段を登りつめてみると、そこにヘンリー・バスカヴィル卿がぬっと突ったっていたのである。泥だらけの古靴の片っぽうだけを手にして、まっ赤になってぷりぷりしている。激怒に煮えくりかえって、口も満足にはきけないらしい。やっと物をいったかと思うと、今朝の様子とは似てもつかぬ乱暴な、西部なまりまるだしであった。
「馬鹿にするなってんだ。ここのホテルじゃおれをなんだと思ってるんだい?すこし気をつけろ!あの野郎、靴をさがしてきやがらねえと、こっちにも覚悟があるから、そのつもりでいるがいい。(後略)」



現代版ヘンリーも、真相に近づいた時や真犯人がわかったとき「豹変」しますね。

7歳の時からずっと魔犬に脅えてきた彼の心情は、私には図りしれません。人に話しても信じてもらえず、ずっと孤独と恐怖を抱えてきた彼が、原作と同じ性格に設定されなかったのは無理もないことかも。
それにしても、ヘンリー役の俳優さんが、「普通の青年なのに、何かが7歳で止まっている」感じを表現するのがとても上手だなあと思いました。原作とは全く違うのに、とても存在感のあるヘンリーですよね。
ずっと前に、「SHERLOCK」は寂しい感じがすると書きましたが、ヘンリーのように、日々の糧は足りていても何かしらの欠落を抱えた人々が描かれることと、同じ時代を生きる視聴者がその傷に共感しやすいことが、その一因かもしれません。

そうそう、ヘンリーの容姿についてもうひとつ。モーティマー医師(頭蓋骨大好き)によると、ヘンリー卿は「ケルト型のまるい頭」をしているそうなんです。ヘンリー役のRussell Toveyさんの頭が平均的な英国人の中で丸いほうなのかはよくわからないんですが、「丸さ」がよくわかる髪型だったのがうれしかった!
なかなか素敵な頭蓋骨でした!

(原作の引用部分は全て延原謙訳)
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この記事へのコメント

ドイツのホテルで、携帯と格闘してがんばっているナツミさんへ - RM - 2012年08月22日 21:24:39

確かに、このところ記事の更新が几帳面(失礼!)ですね。それで、前回のプロフィール欄を読んで笑ってしまいました。それでだったのですね。でもまさかドイツとは思ってもいませんでした!

さて本題について少しだけ。グラナダ版のヘンリー卿も、「日にやけたその顔は野外の生活をしてきたことを物語ってい」るとは、私にはあまり思えませんでしたが、純朴なところを感じました。現代版はなるほど、原作とは設定が少し違って、性格も違って、でもちゃんと原作同様、素敵な頭蓋骨を持っているのですね。

コメントの承認もお返事も、お急ぎにならないでくださいね。「ホテルで携帯と格闘」よりも「歴史博物館でドアと格闘」の方が絵になりますよ!いえ、どちらもドイツでの良き思い出になるかもしれませんが。

日々これ戦いです - ナツミ - 2012年08月23日 09:45:29

ドア…本当に重いんですよ……
私が戦った博物館の建物は、元はプロイセン王国の武器庫だったそうです。ドアさえも兵器とはさすがだと思いました。

ご指摘を受けて思い出しましたが、そういえばグラナダ版ヘンリー卿も、ちょっと繊細な感じでしたね!ホームズやワトスンに守られる役柄でもあるし、数奇な運命に翻弄される青年というと、あまり屈強な感じではないほうがいいのかもしれませんね。

そして不自然に均等な更新に気づかれていたとは、さすがRMさん!あと一回自動更新がありますが、その頃には帰ります。

- YOKO - 2012年08月23日 11:34:00

こんにちは。
毎日お邪魔してます^^。
プロフィール欄がさりげなく日記風に更新されているんですね。
楽しい趣向です。

自動更新を仕込んで旅行なんて、素敵です。
旅行楽しんでください。

ありがとうございます - ナツミ - 2012年08月23日 12:36:45

実は、お名前のリンクのところからYOKOさんのブログをホテルで覗かせていただいています!
あ、あの人を生でご覧になったことがおありとは!ベッドの上で文字通りのたうちまわりました!
ご旅行のお話などもたくさんあって、帰ってからゆっくりPCで読ませていただくのが楽しみです。

- YOKO - 2012年08月23日 18:03:25

あ、ばれましたか・・・って、自分でリンクはったのでした。
私のブログはただいま「Sherlock祭り」中ですけど、節操が無いブログでお恥ずかしいです。
ジェレミー・ブレットの舞台は全くの偶然でラッキーでした。
でもでも・・あ~でも、居眠りを・・・あのときの私の馬鹿っ!!
このざんげの気持ちを近々記事にしますね・・・。

生の声を! - ナツミ - 2012年08月24日 09:36:31

舞台のお話、楽しみに待たせていただきますね!ご覧になるまでのいきさつも何だか面白そうで、わくわくしています。
旅をしていると特に深く思ってしまうのですが、何気なく起こるできごとや出会いが、まるで劇の伏線のようにあとで大きな意味を持つことがありますよね。

それにしても、ジェレミーの肉声‼
たとえ夢うつつでも羨ましゅうございます…っ‼

大丈夫です! - RM - 2012年08月24日 22:53:44

YOKOさん、こんにちは!ブログを拝見していて、日をさかのぼって読むうちに、1989年という年号に心臓がどきどき。うわあ、舞台をご覧になったのですね!

大丈夫、居眠りをしていらしても、YOKOさんの意識下でジェレミーの声はずーっと生き続けていますよ。って、私が請け負うことでもないのですが。

とある、クラシックの歌手のボイストレーナーのブログで、(本来マイクを使わない)オペラ歌手の声は、生できかないと、そのすごさはわからない、と書かれているのを最近読みました。舞台でのジェレミーの声を生でききたかった、とあらためて強く思ったところでした。

- YOKO - 2012年08月25日 12:08:21

RMさん、ナツミさん

温かいお言葉ありがとうございます。
「居眠りなんて何事?!」って罵倒されても仕方ないのに。
でも便利な世の中ですよね。あの20数年前の舞台の音声がネットで公開されているんですから・・・(アレは、客席でこっそり録音してたものですね。)
よしあしは別として、ありがたいものです。
そして、それを聞きながら、潜在意識に埋もれた記憶を呼び覚まそうとしているところです。

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Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

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