最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
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手に手をとって

手錠で繋がれた状態で逃げなくてはならなくなったため、お互いの手をとって走るシャーロックとジョン。
以前にも書いたことがありますが、当時の一般的な習慣として、ホームズとワトスンはよく腕を組んで往来を歩いていたようなんです。
「ボヘミアの醜聞」にも、こんな描写があります。

わめき騒ぐ群衆のあいだをぬけて、私はそっと街角までたちのいた。そして十分間ののち、ホームズが来て私の腕に手を通すのにあい、いっしょに騒ぎの現場から立ちさったのだった。(延原謙訳)


これをアイリーンが尾行していて、有名な「おやすみなさい、シャーロック・ホームズさん」という台詞につながるわけですが、まさか原作のアイリーンは「あなたたちカップルよ」とは言い出さないだろうな・・・

でもこれは「腕を組む」ですよね。二人が「手を繋ぐ」場面は別にあります。

ベーカー街の彼の下宿で、暖炉を両方からはさんでいるときだった。シャーロック・ホームズはこんなことをいいだした。
「ねえ君、人生というものは、人の考え出したどんなものにもまして、不可思議千万なものだねえ。われわれの思いもよらないようなことが、実生活では平凡きわまる実在として、ごろごろしているんだからなア。
たとえば、いま二人が手に手をとってあの窓からぬけだし、この大都会の上空を飛行しえたとしてね、家々の屋根を静かにめくって、なかでいろんなことが行われているのをのぞいてみると仮定しよう。(後略)」(『花婿失踪事件』延原謙訳)



それどこのピーターパンとつっこみたくてたまらない私ですが、調べてみると戯曲「ピーター・パン」の初演は1904年。「花婿失踪事件」の発表は1891年ですから、こっちが先ですね。むしろピーターとウェンディのモデルがホームズとワトスンなのか・・・いや、ないないない!
空を自由に飛びたいというのは、人間の普遍的な願望なんでしょうね。「いかにも現実主義者」のホームズの口から出てくるとびっくりしますけど……

次に、「犯罪の嫌疑をかけられて逃走」という方向から考えてみましょう。
この二人、ホームズの「正義のためなら法律を少々曲げても構わない」という主義のおかげで、不法侵入はわりと嗜んでおります。その中でもきわどかったのが「犯人は二人」。

六フィートの塀がゆく手をさえぎっていた。ホームズはとびついて、ひらりと躍りこえた。私もつづいてそれに見習ったが、下から片手で足首を捕えられたので、蹴とばしておいて、頂上にガラスの破片を植えたその塀を躍りこえた。四つンばいに落ちたところは、草むらだったが、ホームズがすぐに助けおこしてくれた。そしてつれだって、ハムステッド・ヒースのひろい原っぱを賭けだしていった。二マイルくらいは夢中で走ったろうか。ホームズはようやく歩をとめて、じっと耳をすました。誰も追ってくる様子はない。うまく振りきったらしい。もう大丈夫だ。(延原謙訳)



柵を乗り越える場面が現代版にも出てきましたね。逃げる場面では手はつないでいませんが、ミルヴァートン宅に侵入する段階ではホームズがワトスンの手をひいていますね。
「空家の冒険」でも、ホームズがワトスンの手をひいて空き家に入っていたと思います。どちらの場合も、既に下見を済ませているホームズの方が現場に詳しいからでしょう。文字通りの「手引き」ですね。

あ、考えてみたら現代版でも手をつないでキティの家に侵入してるな…
いろいろ挙げてみましたが、この二人が手をつなぐとろくなことをしでかさない、という結論でよろしいでしょうか……

それにしても、こういう場面を読むといつも思うのですが、二人は本当に息が合ってる!先に異状に気がついたワトスンがホームズの腕をさわって注意をひいたり、ホームズがワトスンの手を強く握って力づけたり、言葉を交わせない状況でも、コミュニケーションに不自由を感じている様子が全くないんです。性格は正反対なのに、不思議です。

この「不思議と呼吸が合っている感じ」は、現代版のシャーロックとジョンにもよく表れていると思います。未読の方であの雰囲気が好きな方は、ぜひ原作も読んでいただきたいなあ、と思います。
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この記事へのコメント

またも胸キュン - RM - 2012年08月18日 20:14:33

いや、なんかもうこのところの記事、いろいろ面白くて、「へー」とか「ほー」とか言っています。でもここで一人で「へー」とか「ほー」とか言ってもナツミさんにはきこえないと思うので、ちょっとだけ。

>先に異状に気がついたワトスンがホームズの腕をさわって注意をひいたり、ホームズがワトスンの手を強く握って力づけたり、

え、そんな胸キュンなことを。(ってこればっかり。)いそいで「犯人は二人」の中をざっとさがしましたよ。特に、ホームズがワトスンを力づけるところがいいですねー。「ホームズは私の手をさぐって、何とかなるから心配するなというように、ぐっと強くにぎった。(延原謙訳)」これって、グラナダ版にはなかったと思うのですが、確かめなきゃ。

そして、

>それどこのピーターパンとつっこみたくてたまらない私ですが、

私も一緒につっこみます!

わーい - ナツミ - 2012年08月19日 09:45:52

RMさんコメントありがとうございます!いつもにも増して喜んでいるのは、現在旅行中でなかなかネットに接続できないからです。対応やお返事が遅れがちで申し訳ありませんが(wi-fiの環境と私の携帯タイピング技術にかかっています) 、お話できて嬉しいです。

「犯人は二人」で2人がミルヴァートン邸に侵入する場面に胸キュンしていただけてよかったです。いま携帯でちまちま打っているので引用はできないんですが、他の潜入や張り込みに比べて、二人のいでたちといい、ワトスンの温室の描写といい、意外な結末といい、背徳感があるというか、ちょっとドキドキする感じなんです。官能的と言っては言い過ぎでしょうが、ほんの少し理性を失って、制裁という行為に酔ってしまっているあやうさみたいなものを感じます。

法律よりも自分の思いを優先して行動をしたら、どんな理由があれ「犯人」になり得るのですが、そこには高揚感もきっとあるのでしょう。共犯という意識はホームズとワトスンの絆を深めたかもしれません。

今調べられないのですが、グラナダ版ではこの潜入場面、なかったような気がしますねえ。
その分、ミルヴァートンに脅迫される人々が丁寧に描かれていて、そこがまた官能的だったと思います。女装の歌手との過去を暴かれる青年とか、見ている私までハラハラした記憶があります。

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