最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
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(事件の重要なネタバレ)悪魔の霧

シーズン2では、3話ともメインの「元ネタ」となった事件がはっきりしていますが、それ以外の事件も複合的に取り入れられているようです。

第2話「バスカヴィルの犬」(The Hounds of Baskervill)は、もちろん「バスカヴィル家の犬」(The Hound of Baskervilles)を基にしています。

原作は、叙景を効果的に用いたミステリとしても知られています。
次の引用は、新潮文庫版「バスカヴィル~」の訳者解説から。

いったい探偵小説には叙景がきわめて少ないのを普通とする。なかには叙景は不必要なばかりか、謎を追求する気分を壊すから有害だと極論する評家もある。是非はしばらくおくとして、必要最小限度にとどめるのが普通のようである。
しかるにこの作は、西部イングランドの特殊地帯の叙景がかなり詳しく出ている。というよりも叙景がプロットと渾然一体をなしているともいえるのである。最後の場面などは濃霧という小道具までもちだして効果満点、肌に粟を生ぜしむるものがある。(延原謙)



1954年に書かれた「解説」なので近頃の探偵小説にはあてはまらないところもあるかもしれませんが、私も「バスカヴィル~」は風景の描写がとても印象深い作品と思います。この題を見ると、登場人物や事件のトリックよりも先に、点在する沼や大きな岩、やわらかく湿った植物など、沼沢地のイメージが浮かんできます。

濃霧はそれを盛り上げる「小道具」と延原先生は表現されていますが、「SHERLOCK」ではメイントリックに持ってきたのですね。
この「毒ガストリック」は、原作では「悪魔の足」という短編で使われています。

この事件は、やはりロンドンから離れた田舎であるコーンウォールで起こります。
過労と不摂生で衰弱したホームズは、転地療養のために訪れたこの地で大事件に遭遇します。
事件のあらましは割愛しますが、被害者の死因は「悪魔の足(Radix pedis diaboli/Devil's-foot root)」と呼ばれる植物を燃やした煙による中毒死でした。
ホームズとワトスンは、「悪魔の足」の毒性を検証するため、これを燃やす実験をします。(シャーロックがジョンに行った『実験』と違って、ちゃんと双方合意の上です)
以下はワトスンの記録です。

効果はすぐに現われた。椅子に腰をおちつけたと思うと、早くも私はむかむかするようなにおいをかすかに感じたのである。ぷんと感じたと思ったら、もう私の頭は自由を失ってしまった。眼のまえにまっ黒な厚い雲が現われて渦まき、眼にはみえないけれどこの雲のなかから、ぼんやりした恐ろしいもの、この世のものとも思えぬ異形のものが現われそうな気がした。
(中略)
私は氷のような恐怖におののいた。髪は逆だち眼はとびだし、口はあいたままで舌が皮になったように感じられた。どこかがポキリと折れでもしたように、頭がすっかり混乱してしまった。
(後略)



幻覚を見せ、恐怖を増幅させるという効果は、HOUND計画で開発されたガスに似ていますね。
フランクランドがガス発生装置をしかけたのが"Dewer's Hollow"と呼ばれる窪地ですが、この地名について、ヘンリーがan ancient name for the devilと説明する台詞があります。どうもうまく訳せないのですが、「古くから呼ばれている、あの化け物の名前」という感じでしょうか?ちなみに原作でヘンリー卿のおじが「魔犬」に殺された場所は、"the Yew Alley"「水松並木」です。

さて、原作「悪魔の足」に戻りましょう。実験ではホームズの方により深刻な症状が出てしまい、その顔を見て我に返ったワトスンに危ないところで救出されます。


「おどろいたねえ!」まだ落ちつかぬ声でホームズがやっといった。「なんともすまなかったし僕として感謝するよ。自分ひとりでもやってはいけない実験に、君まで引っぱりこんだのだからねえ。まったくすまないことをしたよ」
「なあに、君に協力できるのは、僕の最大の喜びでもあり、特権だと思っているよ」ホームズがこんなに温かさを見せるのは初めてなので、私は感激した。



……「元ネタ」として引用したものの、なんだか現代版と全然違う展開なような気もします。
ここは私が口を出すよりも、ジョンのブログから本人の感想を抜粋させていただきます。

He'd used me as an experiment. One day, I will kill him.
「僕を実験台にしたのだ。あいつ、いつか殺してやる」(拙訳)



※原作からの引用はすべて延原謙訳
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この記事へのコメント

- リン - 2012年08月09日 12:42:19

ジョンいいですね。それっぽいのを書いた所だったので、思わずコメントしてしまいました。それにしても原作の二人に比べて現代の二人は、子供っぽくて可愛らしいとさえ思えます。先週の集まりでガスの件について話題になったのですが、人それぞれの解釈があって興味深かったです。

なんてこと・・。 - だい - 2012年08月09日 16:45:04

「悪魔の足」そうですね、全然頭に浮かばなかった・・・。それどころか、研究所の動物が並んでいるのを見て「這う人」思い浮かべてました。動物園と悪人が盗んだ動物を隠していた倉庫です。
ジョンが檻に入ったところは、動物園の檻にホームズが入ったところを思い出してました。またもや、とんちんかんで哀しい・・・。

もう一度グラナダ見直して出直します(反省)

やっぱり怒ってたジョン - ナツミ - 2012年08月09日 21:42:51

リンさま

現代版の二人、小学生くらいの男の子二人のように見えることがありますよね。シーズン1ではまだ距離をさぐり合っていたけれど、シーズン2では取っ組み合いのケンカをしたり、「絶交」状態になったりするので、尚更そう見えるのかも。
その点原作の二人は、さすが英国紳士、という感じですが、いつもこんなに「できた」やりとりをしてたかどうかはわからないですよね。ワトスンが書かなかっただけで、現代版みたいに二人してマイクロフトに叱られていたりして・・・

あのガスには色々な解釈があるのですか!
もしよかったら今度教えてくださいね!

「這う人」ですか! - ナツミ - 2012年08月09日 22:07:40

だいさま

そういえば、サルが吼えているのが大写しになるところがありましたね!
(あのサルを、シャーロックが真顔でじっと見つめるのがなんだか好きです。あのままサルとタイマン勝負を始めたらどうしようかと思いました……)
確かに、動物実験といえば「這う人」(こちらの場合、薬を服用したのは人間ですけど……)。ステイプルトン博士周りの「元ネタ」は、「這う人」かもしれませんね。
後ほど「キャラクター」カテゴリの記事を書くとき、参考にさせてください!

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Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

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