最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
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六つのサッチャー像

「アルミの松葉杖事件」はシャーロック1人で解決しましたが、この事件ではジョンが大活躍!
元ネタは、言わずとしれた「六つのナポレオン」。

クリスマスのすこし前の事件です。そういえば、この記事が公開された時期は、映画"The Iron Lady"(邦題は『マーガレット・サッチャー~鉄の女の涙』)の封切と重なっていたような。わざとぶつけたんでしょうか。

冒頭に、クリスマスの買い物にシャーロックを連れて行って、彼が街頭のサンタクロースに「面白い殺人事件をよこせ!」と怒鳴ると言うエピソードがついてます。ジョン、大変だな……

事件の話が始まるのは、「警官にエスコートされて」彼らが帰宅した後。
221Bではサリー・バーニコットという大学生が待っていました。

彼女の親友である、美術科の学生・ピエトロ・ヴェヌチが、陶芸室で刺殺体で発見されます。第一発見者は彼のボーイフレンド、ベッポ・ロビート。

この二つのイタリア系の名前は、「六つのナポレオン」からの引用ですね(原作ではベッポの姓は不明ですが)。
原作では、二人とも「社員が命令に違反するとすぐ殺してしまうという例の政治的秘密結社マフィアの一員(延原謙訳)」。共謀して、イタリアの貴族・コロナ公爵の持っている「ボルジア家の黒真珠」を盗み出します。
また、サリーの苗字は、買ったナポレオン像を壊されてしまった開業医・バーニカット博士からとられています。

さて、同じ頃、ピエトロの友人や周りの学生、講師の家に強盗が侵入するという事件が頻発。
シャーロックは調査に乗り出します。ジョンに頼んで(ジョン曰く『命令して』)、シーズン1の3話に登場したモダンアートのギャラリー「ヒックマンズ」の学芸員と偽り、大学に潜入させます(ここ実写で見たかった!)

ジョンの対応をするのは講師のホレス・ハーカー。
原作での役どころは、ナポレオン像を買ったばかりに殺人事件に巻き込まれてしまう新聞記者なんですが、ちょっと面白いキャラクターなんです。


「なんとかこいつを物にしておかなければ。むろん夕刊の第一版はもう詳報をのせて発行されているに違いないけれど…ああ、私ゃいつだってこれなんだ!ドンカスターで観覧台がおちたのを覚えていますか?あのとき私はスタンドにいた唯一の新聞記者だったんです。しかも私ンとこの新聞が、その記事を出さなかった唯一の新聞なんです。私があんまり驚いたんで、記事を書いてなんかいられなかったんですよ。こんどだって自分の家の玄関さきで行われた殺人事件に、おくれを取りそうなんですからなあ」(延原謙訳)



と、調査にきたレストレードやホームズたちがまだいるのに記事を書き始めてしまうという、いわばホームズといい勝負の「仕事バカ」。
この熱心な記者をうまく利用して、ホームズは犯人をおびきだす仕掛けをします。それがシーズン2第3話の大きな「元ネタ」となっていますので、ハーカー氏にはそちらでまた触れることになると思います。
それにしても、取材したい大事件の「当事者」に二度もなってしまうなんて、記者として運がいいのか悪いのか…

さて、ジョンのブログに戻ります。
ハーカーから、ピエトロが6つのサッチャー像を作ったと聞き出すジョン。
かねてシャーロックは予想していましたが、強盗が入ったのは、いずれもこのサッチャー像を買った人の家。
この時点で、残った像は二つ。シャーロックとジョンは、それぞれの住所で犯人を待ち伏せることに。
ジョンのほうに犯人が現れます。携帯で連絡をとったシャーロックと合流して、見事犯人をとり押さえます。

犯人はベッポで、サッチャー像の中には凶器のナイフを隠していました。
原作の彼がナポレオン像に隠したのは、「ボルジア家の黒真珠」。
証拠品と盗品。追い詰められた状況で犯人が「隠したいもの」の違いは、時代を反映しているのかもしれません。
というのも、「六つのナポレオン」でもベッポはピエトロを刺しますが、現場にナイフが落ちているんですね。結局これはピエトロ本人のものだったようですが、警察は犯人が遺棄したものである可能性も一応考えています。現場に凶器を遺棄なんて、DNA鑑定などがなかった時代ならではの無防備さ、ではないでしょうか。
(もっとも現代版ではベッポはナイフにイニシャルを書いていますし、刃傷沙汰に慣れたマフィアではなく学生、という違いもありますけど)

探偵側も、今は携帯があるから2箇所で同時に待ち伏せ、有事の場合すぐに合流、ということができますが、原作では同じ場所にホームズ、ワトスン、レストレードの3人が張り込んでいました。
こうして見ると、捜査の効率もずいぶんよくなったものですよね(まあ犯罪もですけど)。
人数が少なくてよくなった分、原作ではずいぶん活躍していたはずのレストレードが登場しなくて寂しいです。
グラナダ版では3人での張り込み、妙に楽しげだったんですよね。ワトスンがレストレードに飴を勧めて、ホームズに「ピクニックじゃないんだよ!」と怒られたりして。

もうひとつ残念なのは、現代版ではベッポが自ら像を壊してしまったので、ホームズが鞭をふるって像を破壊し、
紳士諸君!ボルジア家の有名なる黒真珠をご紹介申しあげます!」(延原謙訳)と高らかに宣言する名場面がなくなってしまったこと!せっかく初登場の時にあれだけ楽しそうに打ちまくってた鞭、ぜひ活用して欲しかった!シーズン2にはもう1人鞭の達人が出てくるので、キャラがかぶるからでしょうか…

もっとも、シャーロックは「乗馬鞭」と言ってましたね。ホームズが像を壊すのに使ったのは「鉛の入った、お気に入りの狩猟鞭」でした。原作では「赤髪連盟」「白銀号事件」などの危険な状況で「狩猟鞭」が武器として使われているのですが、乗馬鞭より大きくて重そう。石膏像を壊すのに向いているかもしれません。

狩猟鞭の画像検索結果(Google)

乗馬鞭の画像検索結果(Google)


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