最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
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シャーロックと「赤ひげ」

"The Sign of Three"で、ジョンの結婚披露宴に現れないマイクロフトに、電話をかけるシャーロック。

"Have a lovely day and do give the happy couple my best."
"I will."
"Oh, by the way, Sherlock, do you remember Redbeard?"
"I'm not a child anymore, Mycroft."

「よい一日を。新郎新婦によろしく伝えてくれ」
「そうする」
「ところでシャーロック、赤ひげを覚えてるか?」
「僕はもう子どもじゃない、マイクロフト」 (拙訳)



ここまでのマイクロフトは、スピーチやカラオケなど、これからシャーロックが関わるであろう「退屈な」行事に触れ、「巻き込まれるなと警告してやったのに」と嘆いてみせています。

"This is what people do, Sherlock. They get married.
.I warned you, don't get involved."



このwhat people doという言い方は、シャーロックもジムも使っていた、自らと「凡人たち」を切り離した表現です。
会話の終わりに突然出てきた「Redbeard(赤ひげ)」という名前に引っかかった人は多かったと思います。
おそらく、シャーロックの少年時代の思い出に関わる誰かの名前。
"The Scandal in Belgravia"で、マイクロフトはジョンに「シャーロックは海賊になりたがっていた」と語っているので、海賊のキャラクターかなあ、とも思いましたが(↓これのせいか)



次の回"His Last Vow"で、赤茶色の大きな犬の名前だと判明。
【追記 2015.5.26】れすとらさんに教えていただきました。「赤髭」は実在の海賊だそうです!詳しくはこちらのwikiで。
Oruç Reis
撃たれてショック状態に入ろうとしているシャーロックが、ショックを和らげてくれる記憶を見つけようと、マインドパレス内を探し回った時に出てきます。マイクロフトは、ジョンの結婚でシャーロックがショックを受けていて、ライナスの安心毛布のように赤ひげが必要なんじゃないか、とからかったのでしょうか。
マインドパレスの中のシャーロックは、満面の笑みで赤ひげに語り掛け、優しい言葉をかけながら抱きしめます。そこにいるのは気難しいソシオパスではなく、ごく平凡に見える快活な少年です。

"Hello, Redbeard. They're putting me down too now. It's no fun, is it?"
「やあ 赤ひげ。みんなはぼくも殺そうとしてるんだ。楽しくない。 そうだろ?」



put downは乗物から人を降ろすとか、こきおろすとか、色々な意味にとれますが、シャーロックの状況から言って、おそらく赤ひげは安楽死などの形で周りの人間に殺されたのではないでしょうか。それがシャーロックの心の傷になって残っていたのかな。
"The Hounds of Baskerville"でのシャーロックは、犬を処分することができなかったゲイリーとビリーの感傷を理解できないと言っていたので、読み違いがあるかもしれません。または、理解できないという発言自体が嘘だったのか。

"So they didn't have it put down then, the dog?"
"Obviously. I suppose they just couldn't bring themselves to do it."
"I see."
"No, you don't."
"No, I don't. Sentiment? "
"Sentiment."

シャーロック「彼らは犬を安楽死させなかったのか」
ジョン「そりゃそうだよ、そんな気になれなかったんだろ」
S「なるほど」
J「君にはわからないよ」
S「わからない。 感傷か?」
J「そう、感傷」 (拙訳)



あ、改めて読むとビミョーな会話だったかも……うっかり、飼い犬を殺せなかった飼い主の気持ちが「わかる(I see)」と言ってしまってから、慌てて「人の感傷がわからない自分」を装った、という解釈もできるでしょうか。そうなると、この後ゲイリーとシャーロックがどんな話をしていたのか気になりますね。

さて、少年時代のシャーロックに「赤ひげ」という愛犬がいたということはわかったのですが、元ネタはあるのでしょうか。
字面でぱっと思い浮かぶのは「赤髪連盟(The Red-Headed League)」ですが、ホームズと犬の関わりは深く、捜査にも探索犬のトビイ(『四つの署名』)やポンピー(『スリークォーターの失踪』)を駆使しますし、これらの犬たちをただ利用するのではなく、親し気に話しかけて可愛がっている様子。「緋色の研究」では、ハドスンさんの飼っていた老テリアを気に掛ける(……ということにしときましょう)場面もありました。
また、ワトスンはよくホームズを猟犬に例えますし(関連記事:『猟犬シャーロック』)、ホームズが自らを犬に例えたこともあります。

「私は犬ではあるかもしれないが、決して狼じゃないです」(『緋色の研究』)



そんなホームズの、飼い犬に対する所見は、彼自身の家庭環境を想像する材料としても興味深いです。

「犬は家庭生活を反映する。陰気な家庭には陽気にじゃれつく犬はいないし、幸福な家庭にはみじめな犬はいない。口汚なく乱暴な人の犬はうなるし、危険な人の犬は危険なものだ。そのときどきの一方の気持は、刻々に一方へ反映する」(『這う男』)



「犬」という言葉は、誰かの「手のもの」「まわしもの」というような意味で使われることもあります。
ガイ・リッチー版の映画の冒頭ではワトスンがホームズのroyal dog(忠犬)と呼ばれていましたし(観ていくとどっちが忠犬だかわからなくなるのがあの映画の面白いとこなんですが……)、ジョンもジムにシャーロックのペット呼ばわりされていましたっけ。
忠犬やペットという言われ様は屈辱的かもしれませんが、言い換えれば、非常に強固な関係があるということ。
マイクロフトが、ジョンの結婚式に「赤ひげ」の名前を出したのは、そういう意味合いもあるのかもしれません。ジョンのとの別離を、赤ひげとの別離になぞらえた。つまりジョン≒赤ひげ、ということ?

かなり乱暴な推論ではありますが、ジョンの「外見に出ている(またはホームズ兄弟が観察と推理で導くことのできる)何か」が赤ひげに似ているとすると、なぜ初対面でシャーロック(ホームズ)がジョン(ワトスン)を同居人候補にするほど気に入ったのか、という、ホームズシリーズ永遠の謎の説明になるんですよね。マイクロフトがその展開を即座に飲み込んだことも。
赤ひげが兄弟にとってどんな存在であったかわからないので、煉瓦を焼くにはまだまだ粘土がたりないのですが、もし赤ひげが悲劇的な死に方をしたのだとしたら、マイクロフトはメアリの正体に気づいていたのかしら。
犬扱いされたジョンに怒られそうですが、第4シリーズも赤ひげに注目していきたいと思います。

(原作からの引用はすべて延原謙訳)
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ぼくたちのかんがえたさいきょうの『CLUEDO SHERLOCK』

時々、友人たちとボードゲーム大会をします。
私はヨーロッパの子どもがやるようなゲームが好きで、複雑なゲームはあまり知らないのですが、
ボードゲーム好きな友人に色々教えてもらってます。

今回友人宅で発見したのは、"The Hounds of Baskerville"でシャーロックがやりたがってた(そしてジョンは全力で拒否した)『クルード』!しかもSHERLOCKバージョン!
(関連記事;『シャーロックとボードゲーム』)


日本で買うと本国に比べてすごく高価だし、一緒にやってくれる友人もいなそうなので、いつかイギリスに行ったら入手したいと思っていました。しかし(経済的な事情で)いつになるやら……
これはチャンス!とばかりに、その場にいた友人3人に頼み込んで一緒にやってもらいました。

★ちなみにルールは友人が教えてくれたのを私が聞き取って理解したものなので、どこかで誤解が生じているかもしれません。間違っていたらご指摘いただけたらありがたいです。

ゲームボードはこんな感じ。(画像はAmazon.ukからお借りしています。画像下のリンクをクリックすると商品ページに飛べます。商品ページでは画像を拡大して見ることもできますよ!)


・ベーカー街221B
・バスカービルの施設
・ロンドン塔
・プール
・バターシー発電所
・ダートムア
・研究所
・ハドスンさんのキッチン
・アイリーンのフラット



ドラマを見てる人には「ああ、あそこ」って感じなんですが、原作もSHERLOCKもよく知らない人にはここで「研究所とバスカービルの違いがよくわからん」問題が生じます。

友人A「ラボはわかるけど、バスカービルって何」
友人B「バスカービルは……大きい家だったよね?」
私「そう。でも、ドラマのバスカービルはなんか軍の……研究所。ラボは多分バーツの……病院の実験室ね」
友人C「結局実験室か」

言われみれば……221Bのキッチンも含めると、やたらと実験室の多いドラマです。
そして、コマ。登場人物がコマになってます。

・シャーロック・ホームズ
・ジョン・ワトスン
・マイクロフト・ホームズ
・レストレード刑事(ここで恒例の『レストレードかレストラードか』問題が軽く勃発)
・アイリーン・アドラー
・ハドスン夫人



私「……ジム・モリアーティーは?」
友人A「(箱の裏を見せながら)あ、その人が被害者」

……そんな大事件が起こってたの⁉

色々腑に落ちませんが、コマになった六人が容疑者で、その中の誰かが犯人ということらしい。

「ジョン・ワトスンが怪しいと思います」
友人A「そういうゲームじゃないです」

さらに、「凶器」が6種類。


・レンチ(イギリスでは『スパナ』って言うのかな?)
・蝋燭立て
・ナイフ
・鉛のパイプ
・ロープ



「蝋燭立て」は、「身の回りにあって、人が殺せる強度があるもの」として、欧米ではポピュラーな凶器だそうです。日本のサスペンスドラマでいうところの、「金持ちの家にあるガラスの灰皿」だな。

しかし、凶器がよくできているのに人物がコレって。


思うに、凶器もコマもオリジナル「クルード」の流用で、ボードとか箱を作り直したんじゃないでしょうか。
日本の造形技術をもって、キャラクターフィギュア付きのを作ってくれたら私は買う。
まあ、写真を貼ってもいいし、絵を描くのが上手な方は自作しても楽しいかもしれません。
とにかくコマがわかりづらいので、その場で"SHERLOCK HOLMES"などと名前を描いたポストイットを貼りました。

以上の「場所」「人物」「凶器」はカードにもなっています。


このカードの中から、誰にも見えないように「場所」から1枚、「人物」から1枚、「凶器」から1枚を抜き出して、"CASE CLOSED"の封筒に入れて中央に置きます。残りのカードは、全部混ぜてから各プレイヤーに分けます。



ゲームボードは升目状になっています。サイコロを二つ転がして、合計数だけ縦・横にコマを動かせます。
「ドア」のマスから上記の「場所」に入ることができます。(いくつかの『場所』には隠し階段があり、場所から場所へ移動することもできます)
「場所」に入ったら、その場所で「誰が、何を使ってやった」という推論を立てます。
その推論に基づいて、コマと凶器をその場所に動かします。
たとえば「シャーロック・ホームズが、ナイフを使って、221Bでやった」という推論が出たら、「シャーロック・ホームズ」のコマとナイフを221Bに移動させます。

この推論に対して、誰かが「シャーロック・ホームズ」のカードを持っていたら、封筒には当然そのカードはないわけですね。誰かが「ナイフ」や「221B」のカードを持っている場合も、推論は正解ではないわけです。

推論を立てたプレイヤーは、ひとつだけ「ヒント」をもらえます。
左側にいるプレイヤーが、推論に出てきたカードを持っていたら、こっそり見せます。
ただし、該当するカードを複数枚持っていたとしても、見せるカードは1枚だけです。
左のプレイヤーが該当するカードを持っていなかったら"No"を言ってその左隣のプレイヤーにパス。
推論を立てたプレイヤーが、ヒントになるカードを1枚見せてもらえるまで、全員にパスします。

以降はその繰り返しになります。
つまり、自分以外のプレイヤーが何を持っているかを考えながら、封筒に入っている3枚のカードを当てるわけです。
ホームズの得意な「消去法」を用いたゲームというわけですね。

"Once you've ruled out the impossible, whatever remains, however improbable, must be true."
「不可能なことを取り除いたら、どんなにありえなそうでも残ったものが真実だ」


(関連記事:『シャーロックの見たもの』)
結論が出たら、その「場所」まで移動し、「解決した」と宣言した後で「誰が、どこで、何を使ってやった」という推理を披露します。封筒の中身を確認して、その推理が当たっていたら、ゲーム終了。

「推論」を出す過程で、あるカードを持っている(あるいは持っていない)ように振る舞ったり、人のコマの動きを見て相手が掴んでいる情報を予測したりと、駆け引きが楽しいゲームです。
私も一度勝ったのですが(勝たせてもらったのかもしれない)、その事件というのが

ハドスン夫人が、プールで、蝋燭立てを使ってジム・モリアーティを殺した

というもの。

ドラマのキャラクターが絡まない『クルード』だったら、「良かった良かった」で終わるんでしょうが、元を知っている以上「ハドスンさん、なぜそんなことを……」と思わざるを得ません。元の話を知らない友人たちも、「なぜプールに蝋燭立てが」と腑に落ちない。

そこで、
「ハドスンさんが蝋燭立てで凶行に及んだ理由」を各自紙に書いてみることにしました。
(※ここからクルード全く関係ないので、ゲームについて知りたくて検索なさった方は読まなくても大丈夫です)

ただし、みんな小説家でも脚本家でもないので、似たり寄ったりの話になりがちです。
そこで役に立つのが別のゲーム『Story Cubes』。


サイコロの各面にさまざまな絵が描いてあるのですが、デフォルメされた絵なので、ひとつの絵が「ライト」に見えたり「ロケット」に見えたりします。このサイコロを振って、出てきた絵を使ってお話をつくるゲームなのですが、この結果をかならずストーリーに織り込むことにしました、解釈次第で一気にSFテイストになったり、ファンタジーになったりします。

書いたストーリーは封筒に入れ、推理をした人が一枚ずつ取り、裏に番号をつけながら読み上げ、読み終わったら裏を上にしてテーブルに置きます。(筆跡で誰の作品かばれるのを防ぐため)
各自が「一番好きな話」にゲーム用チップを置くことで、「投票」をします。
このチップを累積していき、最後に優勝者を決める、というルールで、結構楽しく遊べました。
こうして「自分たちルール」を追加していくのも、ゲーム大会の愉しみです。

そんなこんなで

★『クルード』はわりとわかりやすいゲームだった
★コマは、一目見てキャラクターが分かるデザインに改造すると遊びやすい
★シンプルなゲームゆえ、カスタマイズしやすい



ということがわかり、(私はブログのネタも得て)実り多い一日でした。

ところで、ジョンが「もう君とはやらない」と言い張ってた理由がようやくわかりました。
「被害者が犯人だなんてあり得ない」というのは、ジョンの推理力が足りなかったからではなく、「そういうルールだから」なんですね。ジムのカードが存在しないのに、「理論上不可能ではないから」という理由で「ジムが犯人」と言い張ってるようなもので。まさに友人Aのツッコミ「そういうゲームじゃない」がピッタリ。

ゲームひとつやるにも面倒くさい男・シャーロックに、辛抱強く付き合ってるジョンの偉大さを再確認してしまったわけですが、あえてシャーロックを弁護するなら、これは二人でやって楽しいゲームじゃない!
自分の持ってるカードと封筒に入ってるカード以外は、明らかにジョンが持ってるわけです。
まあ、仮にレストレードやハドスンさんに入ってもらったとしても、おそらくシャーロックならほんの数ターンで答えがわかっちゃうんじゃないでしょうか。

それでもシャーロックがクルードをやりたがるのはなぜか。
多分、私たちが「拡張ルール」を作ったように、彼なりの遊び方、またはマイクロフトと考えた遊び方ががあるんじゃないでしょうか。

振り返ってみると、第1シリーズ1話ではシャーロックとジョンの出会いが、2話以降では、二人がその間にある齟齬を知り、時に傷つけあいながらも、友情を育んでいく過程が描かれていると言えます。
第3シリーズではシャーロックの過去に触れるエピソードが増え、マイクロフトとシャーロックが他の子どもとあまり交わらずに二人で遊んでたのではないか、と思わせるくだりもありました(関連記事:『兄弟のゲーム』)
「クルード」の遊び方ひとつにも、ホームズ兄弟と外の世界の間にに横たわる深い溝が描かれていたのかもしれません。
ルールを守ろうとするジョンと、楽しさを優先するシャーロックの性格の違いも、よくわかりますよね。
プロフィール

Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

『高名の依頼人』のこと書きましたが、6月24日までグラナダ版がGYAOで無料で観られるそうです。
こちら

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