最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
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記事索引「ブリキの文書箱

高いところに…

第2シリーズ2話では、シャーロックがムーアの大きな岩の上に佇むシーンが出てきます。
この場面は原作の一節を思わせます。
「バスカヴィルの犬」第九章、先にバスカヴィル館に来ていたワトスンが、ロンドンにいるホームズに書き送った手紙に描かれている場面。
脱獄囚を追って沼沢地を駆け回っていたワトスンは、不思議な人物を発見します。

のぞみのない追跡を断念し、呼吸のしずまるのを待って、やおら腰をあげて帰路につこうとすると、上弦の月は右手に低くおちて、突兀たる花崗岩のいただきにひっ掛っていると思われたが、見よ、そのいただきの上には、月光を背にあびて墨絵の影人形のように、一人の男がつったっていたではないか!幻覚でもなんでもない、まざまざとこの眼に見えたのだ。みたところ痩形の、背の高い男で、すこし股をひらいて突ったち、腕を組んでじっとうつむいたところは、眼前に展開するさいげんなく広い泥と岩との海を前に、なにかをふかく沈思しているかに思われた。これこそこの荒れ地の精霊なのかもしれない。(延原謙訳)


精霊も何もむろんホームズなんですけど、印象的な場面ですよね。
現代版では昼間だったので、月を背にして立つホームズの影は見られませんでしたが、パイロット版では夜高いところに登っているシャーロックが見られますね。なぜかロンドンで。
孤高の探偵と、それを見上げるジョン。本編ではこの場面がカットされ、一緒に(高いところも含めて)走りまわっていますし、ダートムアでもはじめから一緒に捜査をしています。現代版では、原作のホームズとワトスンが与える印象よりも、シャーロックとジョンをより対等に描こうという試みがなされているように見えますが、こんなところにもそれが表れているのかもしれません。
その分、シャーロックがただの「高いところ好き」に見えちゃうのは私だけでしょうか…いや、何か深い考えがあって登ってるんですよね!?
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シャーロックの部屋

なんか、昼下がりのトーク番組みたいなタイトルをつけてしまって、若干後悔してるナツミです。(かと言って『シャーロックの寝室』だと今度は深夜番組感が出てしまうし、どうしたら…)

ええと、調子が悪いようなので今回は短く行きます。
シャーロックと日本・S2分と補足」という記事では、シャーロックの枕元に飾られた「バリツの免状」に触れましたが、ジョンが出入りしていたドアの近くの壁には、元素周期表が貼られていましたね。
あれも原作にある、ということを皆さんご存知だったかもしれませんが、私は全く気づいていませんでした。今日「マザリンの宝石」を読んでいて唐突に気付いたので、自分へのメモとして記録しておきます…!

ワトスン博士にとっては、かくも多くの目ざましい冒険の出発点となったベーカー街の家の二階の乱雑な部屋を、久しぶりに訪れるのは心うれしいことだった。壁にかかげた科学図表(the scientific charts upon the wall)や酸で焦げている薬品棚、すみにもたせかけてあるヴァイオリン・ケースや、以前はパイプやタバコ入れをよく入れてあった石炭入れなどを彼は見まわした。
(延原謙訳)



気付かなかった言い訳ですが、これって実験を行う場所に貼るものではないんでしょうか。原作のホームズはそうですよね。シャーロックの場合、こういうインテリアなの…?

そもそも、「科学図表(scientific chart)」と「元素周期表(periodic table of the elements)」が同じものかもよくわかっていません。頓珍漢な記事になっていたらすみません…!

ホームズのバイオリン

第3シリーズの内容もちらほら流れてくる今日この頃だというのに、「過去の犯罪新報」とスタンフォード君に名付けられたような気が勝手にしてるほど、最新情報が全くない我がブログ。
単に精力がないからなんですが、「それかといって、撮影裏話やスポイラーがまんざらきらいなわけではない」私は、もっぱらるあるあさんのブログ「SHERLOCK HOLIC」さんにお世話になっております…!

いつも悶絶の情報をくださるのですが、先日の「シャーロックのバイオリン」という記事にはうっかり仕事中に机でもんどり打つほど喜んでしまいました。これはぜひとも「シャーロックのガウン」以来の「勝手に連動記事」を書かせていただきたい…!と、今まさに勝手に決意しております。うちではいつものように、原作との比較をしてみたいと思います。
もう他の方がもっとよいまとめをしてくださっているかもしれませんが、その場合はご容赦ください。この件には第3シリーズの「お話」のネタバレはないので、ネタバレダメ!絶対!な方も、お付き合いいただければ幸いです。

まずはリンク先に飛んで、るあるあさんの書かれた記事をごらんください。

SHERLOCK HOLIC~『シャーロックのバイオリン』

いかがでしたか!?シャーロックがバイオリンを買ったお店にジョンがお礼を寄せているなんて、粋なエピソードですよね!
以前の記事のコメント欄で、「瀕死の探偵」などでホームズが訪れたシンプスン料理店のサイトの、「この店を訪れた著名なお客様」のくだりに、ジョージ・バーナード・ショーヴィンセント・ヴァン・ゴッホに並んで普通に「シャーロック・ホームズ」の名前があるのを見つけた時もだいぶ嬉しかったですが、同じ時代に生きているシャーロックが買い物をしている様子に触れることができるのは、また違った喜びがあります。
(そして、るあるあさんもおっしゃっているように、ジョンがこのメッセージを書いたのは『ライヘンバッハ』前。私が上記の記事を書いていたのとほぼ同じ頃に、シャーロックは元気にバイオリンを弾き、ジョンは楽器屋さんにお礼を書いていたんだなあ、と思うと、同じ時代に生きているからこその切なさも感じたりします。)

シャーロックのバイオリンは「カーディフ・バイオリン」というお店で買われた、ということが判明しましたが、原作のホームズのバイオリンはどうでしょうか。まず、「緋色の研究」では、ホームズは
「このバイオリンも弦をかけかえるともっとよくなるんだがなあ」 とぼやいています。
同じ作品内でワトスンにしきりとクレモナ・ヴァイオリンのこと、ストラディヴァリウスとアマーティの相違など」話しているところを見ると、バイオリンにかなり詳しく、良いバイオリンを使いたいものの、弦を換えるお金すらなかったようです。
その後、「ボール箱」で

(前略)いまもっているストラディヴァリウスは少なくとも五百ギニーの値打ちのものだが、それをトテナム・コート通りのユダヤ人の質屋でわずか五十五シリングで買ったいきさつを、大得意で語った。

とのことです。現代日本の貨幣価値に置き換えると、数千万円のものを5~6万円で買ったことになりますから、ホームズが得意になるのもうなずけますが、もともとは持っていたバイオリンの弦を換えるお金すらなかったことを考えると、やはり「緋色の研究」以降は経済的な余裕が出てきたのでしょうね。
シャーロックとジョンは、必ずしもホームズとワトスンの人生をなぞっているわけではありませんが、重ね合わせるとしたら、(ジョンが礼状を書いた)2011年初夏の時点はこの辺りだったのだなあと思います。ワトスンの書いたものが認められ始めた頃かその直前、ホームズの仕事が忙しくなってきたあたりですね。

ちなみにその頃、日本では東日本大震災直後。復興支援のため、日本音楽財団所有のストラディヴァリウスが競売に出されました。

JAPAN REAL TIME「ストラディバリウス、過去最高の12.7億円で落札―震災復興支援に」

リンク先の記事によると、この12億7千万円という値段は過去の最高額の約4倍だそう。
現代では、数億円の値段で売買されているんですね。
個人で持つにはあまりにも高価なので、日本ではこの「日本音楽財団」がバイオリニストに貸与しているとのことです。シャーロックが持つのにはちょっとムリがありますよね…
微妙にネタバレてしまうかもしれないんですが、シャーロックのバイオリンについてはるあるあさんが記事中に貼ってくださっているSherlockologyさんの記事に詳しく書かれていますね。演奏シーンがあるかどうかはまだわかりませんが、第3シリーズではCon Fuocoというバイオリンが使われるようです。お値段1200ポンドです。
「それくらいなら…」という方が万一いらっしゃらないとも限らないので、一応カーディフ・バイオリンさんのオンラインショッピングのリンクを…

CARDIFF VIOLINS Ltd. Con Fuoco


ジョンのメッセージの中に、シャーロックがバッハパルティータ1番を弾いてくれたというエピソードが出てきますが(このメッセージって、ジムも読んでたんでしょうか…)、ホームズもワトスンにバイオリンを弾いてあげていたようですね。

彼がさまざまの曲を、ことに難曲をも奏しうるのは、かつて私の求めに応じて、メンデルスゾーンの歌曲やそのほか愛好の曲を奏してくれたのでもわかる。(『緋色の研究』)


しかも、リクエストにまで応えてくれていたとは、ワトスンが羨ましいです。ワトスンはメンデルスゾーンが好きなんですね。ただし、いつもワトスンのために弾いていたわけではもちろんなく、だいたいこんな感じだったようです。

けれども彼ひとりのときは、めったに楽譜をひろげたり、またはこれという曲らしいものを奏することもないし、人に知られた旋律をかなでることもないのである。
夕方になるとよく肘掛椅子にもたれこんで、眼をつぶって膝の上に横たおしにしたままのヴァイオリンを、そぞろに掻きならすことがあった。その曲もときには朗々と、ときには憂鬱に、ときには夢幻的に、あるいは陽気なこともあった。これらはみな、そのときどきの彼の思考を反映するものにはちがいないが、思考を助長するための音楽であるのか、あるいは奏楽は気まぐれにすぎないのか、私はいずれとも判じかねた。
というわけで、さんざん勝手な曲をひかれるのだから、もし最後にこっちの注文で好きな曲をたて続けに奏して、埋めあわせをつけてくれるのでなかったら、私はとっくに抗議をもちだしていたかもしれない。


何だかんだ言っても、ワトスンもホームズの演奏を楽しんでいたんですね。

また、ワトスンのメアリへのプロポーズ直前には、こんなエピソードも。

「(前略)ワトスン君、君は疲れたようだね。そのソファに横になりたまえ。僕が眠らせてあげるよ」
いわれたとおり横になると、ホームズはへやのすみから例のヴァイオリンをとりあげて、夢みるような自作のしらべを低く奏でだした。彼は即興楽にたいしてすぐれた天分があるのだ。私は彼のほっそりした手足や、まじめくさった顔つきや、弓のあげさげを眺めながら、その快いリズムに聞きいるうちに、うとうとと甘美な音楽の世界に引きいれられて、いつしか夢路をたどり、うえからのぞきこむメアリー・モースタン嬢のえもいわれぬ笑顔を眺めているのだった。(『四つの署名』)



せっかく演奏してくれてるのに、ワトスンお前失礼なやつだな…!って気がしないでもないですが、「自動人間」だの「計算機」だの言ってるくせに、そのホームズの奏でる音楽に意中の相手への感情を掻き立てられる、というのは面白い現象だと思います。シャーロックもアイリーンのことを考えながら曲を作っていましたし、ホームズやシャーロックの「感情」が垣間見られるのが、音楽を演奏したり鑑賞したりする場面なのかもしれませんね。ワトスンはこんな風に分析しています。

シャーロック・ホームズは自身演奏がたいへん巧みであるばかりではなく、作曲にかけてもなみなみならぬ手腕をもっているという、音楽熱心の男である。その午後いっぱいを彼は最大の幸福にひたって、細長い指を音楽にあわせて静かに動かしていた。こんなときのおだやかな、微笑をふくんだ顔つきや、夢み心地のけだるそうな瞳は、警察犬としてのホームズ、冷徹敏捷な探偵としてのホームズとは、似てもつかぬものがあった。この不思議な性格は、二種の傾向が同時に対立することなく、交互にまったく他を圧倒してしまうところからおこるのであって、一方の性質である極度の的確さとか慧敏さとかいうものは、一方の傾向である詩的な瞑想の世界に遊んだあとでは、その反動で、いっそうたちまさって目に付くように思われるのである。(『赤髪組合』)



シャーロックはバイオリンを弾いていると「考えがまとまる」と言いますが、弾きながら事件のことを考えているわけではなくて、音楽の世界に心を遊ばせることで、現実世界に戻ってきた時の鋭敏さが増すことを知っているのかもしれませんね。
第2シリーズ3話にジムが音楽を聞いている場面がたくさんあるのも、興味深いです。

るあるあさん、ご紹介くださった皆様、素敵な情報をありがとうございました…!
(原作からの引用は延原謙訳)

ジョンとマイクロフト(S2)

前回の記事(『兄弟だから』)ではシャーロックとマイクロフトについて書きましたが、"SHERLOCK"ではジョンとマイクロフトの関係もとても丁寧に描かれていると思います。
マイクロフトはジョンを一方的にこき使っているようにも見えますが、ジョンの内面を深く理解してもいるのが、二人の出会いの場面でわかります。
そして、ジョンも決してやられっぱなしではないですね。
第2シリーズでは気心が知れてきたのか、シャーロックに同調しては、二人してマイクロフトに盾突いたり叱られたり。マイクロフトはまるで弟が1人増えたようです。
かと思えば、マイクロフトと一緒にシャーロックの心配をしたりして、シャーロックにお兄さんが1人増えたようでもあります。
ジョンは、マイクロフトにとってはシャーロックにないものを、シャーロックにとってはマイクロフトにないものを持っているのでしょう。そして、ジョンに男のきょうだいがいるかどうかはわかりませんが、復員後に頼れるような肉親がいなかったことは確かですし、唯一存在が確認されている姉のハリエットにはうまく心を開けないようです。ホームズ兄弟と親密に関わり、頼ったり頼られたりするのは、ジョンにとっても嬉しいことなのでしょうね(もし本人にそう言ったら、思い切り迷惑そうな顔をするんでしょうけれど)。

さて、寂しいので何度も言いますが、原作でのマイクロフトの登場回数はとても少ないのです。
本人が出てくるのは「ギリシャ語通訳」「ブルース・パティントン設計書」のみ。
その他にも存在を感じさせるような記述はいくつかあるものの(『最後の事件』では、謎の御者としてワトスンをホームズのもとに送り届け、『空家の冒険』では失踪中のホームズの便宜を図っていたことが明かされます。また『ボール箱』では、『田舎の兄(his brother of the country)』と書かれていますが、これはマイクロフトではなくて田舎にもう1人兄弟がいるのでは、とも言われているようです)、ワトスンとマイクロフトの間に、現代版ジョンとマイクロフトのような親密な関係があったのかどうか推察するには、きわめて「粘土が足りない」ことになります。
もっとも、ジョンだってマイクロフトのことは、めったにブログには書きません。マイクロフトの立場は、表に出すわけにはいかないでしょう。原作にも同じことが言えますから、描写が少ないからと言ってワトスンとマイクロフトの間の交流も少なかったとは言い切れません。

ひとつだけ、現代版ジョンとマイクロフトを彷彿とさせる描写があります。

オバーシュタインの家のエーリアのドアはまえの晩から開けはなしたままになっていた。マイクロフトがへいをのりこえることなどはまっ平だというので、私はそこからはいって玄関のドアを開けてやらねばならなかった。(『ブルース・パティントン設計書』延原謙訳)



どうですか、この手のかかるお兄ちゃん…
このお話では、なぜかマイクロフトとレストレードが行動を共にしていて、職務から真剣に事態を憂える二人と、自由奔放に捜査するホームズ・ワトスン組との対比も面白いです。無茶するホームズがレストレードに「いつかワトスンまで窮地に陥れる」って怒られたりします(現代版シャーロック同様、本人はけろっとしてますけど)。渋い年上キャラクターがお好きな方にもお勧めの一編です。
プロフィール

Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

『高名の依頼人』のこと書きましたが、6月24日までグラナダ版がGYAOで無料で観られるそうです。
こちら

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