最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
【お願い】 ★記事における間違いは、できる限り修正したいと考えております。お気づきの点がありましたら、ご教示いただけるとありがたいです。
★コメントを歓迎しております。初めてコメントくださる方は、こちらの記事をご一読いただければ幸いです。
→「コメントをくださる方へ
「あの場面の元ネタは?」という時はこちらへ
記事索引「ブリキの文書箱

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

兄弟だから

マイクロフトについて(2)シャーロックとマイクロフトという記事で、原作のホームズにも兄に対する反感があったのかもしれない、というようなことを書いたのですが、言うまでもなくホームズ兄弟には、絶大な信頼関係がありました。

「最後の事件」でモリアーティの手先に追われて何度も殺されかけた日、ホームズはペルメル街の兄の部屋に身を寄せています。夜になってからワトスンの診察室に来るのですが、二人して大陸に逃亡することが決まると、ホームズは待ち合わせの手順をこと細かに説明します。その中に、「黒い外套の御者」が待っているのでその馬車に乗るように、という指示があります。翌朝、指示通りに行動したワトスンは、無事にホームズと落ち合います。

「御者に見おぼえはなかったかい?」
「いいや」
「兄のマイクロフトだったんだよ。こうした場合は、金で雇ったものなぞ信用できないから、兄にたのむのさ。(後略・延原謙訳)」


さらりと書かれていますが、この小さなエピソードが私はとても好きです。これ見よがしの大活躍ではないけれど、弟の兄に対する信頼の大きさ、ひどい無精者で生活圏が極端に狭いはずの兄が変装して御者の真似事までしたという、兄弟の絆の深さ、そして兄弟二人の、ワトスンに対する信頼と友情の厚さを感じます。
ワトスンを迎えに行き、送り届ける間、猛スピードで馬車を駆りながら、マイクロフトは何を考えていたんでしょう。

以前ご紹介させていただいたシャーロッキアン!」という漫画(4巻まだかな~)で、このエピソードがとりあげられていて、とても嬉しかったです。(2巻・『マイクロフト・ホームズの想い』)
この作品、キャラクターの表情と台詞で「泣かされる1コマ」が多いのですが、2巻で私が最も泣かされたのは車教授のお兄さんが「兄弟だからね」と愛里ちゃんに微笑みかけるコマ。
絵のタッチが独特で手に取りづらい、というお声をたくさん耳にしているのですが、マイクロフトについての「かけ離れた容姿なのに、確かにシャーロックと兄弟だとわかる」という描写が、初登場のコマと、このコマだけで表現されているのが凄い!
つくづくこの作品は、漫画でしかできない演出が素晴らしいと思います。4巻まだかなあ(←2回目)。

ところで、何かと兄に反発する現代版シャーロックも、いざと言う時はマイクロフトに甘えていますね。
第2シリーズ2話"The Hounds of Baskerville"では、電話して「やあ、兄さん、元気?」なんて、猫なで声を出しています。
まあそれは甘えているというより「利用している」範疇にあるのかもしれませんが、原作の「最後の事件」にあたる第2シリーズ3話では、ジョンをはじめとする友人たちを守るため、シャーロックもマイクロフトに何らかの協力を依頼したかもしれません。第3シリーズで明らかになるのが楽しみですね。
スポンサーサイト

預けるもの、預かるもの

第1シリーズ2話"The Blind Banker"で、シャーロックはジョンにデビットカードを預けていました。
これはワトスンがホームズに小切手帳を預けている、というエピソードから来ているのかもしれません。

「(前略)第五に、君の小切手帳は、僕の引出しに入っているが、一向に鍵を貸せといわないこと。(後略・『踊る人形』)」


ワトスンはどうして鍵のかかる引き出しに小切手帳を入れてもらっていたのか。
これは、ワトスンの競馬好きと結び付けて語られることが多いんじゃないでしょうか。
ガイ・リッチーの映画ではそうなっていました。

しかし現代版のジョンは、裕福とは言えないものの、ギャンブルで首がまわらないという描写はありません。
(くじの話題はちょこっと出てきますが、ジョンよりハドスンさんのほうがはまってそう…)
代わりに「無人レジが使えない」というエピソードがありましたね。
この「無人レジにイライラさせられる」というのは、相当な「あるあるネタ」なんでしょう。
ジョンのブログで最も盛り上がった話題のひとつではないでしょうか。
省略・意訳をお許しいただくとして、他にも「バーに来ておいて飲み物を決めてない人」、「遅いエレベーター」、「パッケージと色が違う口紅」、「(シャーロックがつけた)家具の刀傷」「愚かしさ」「シャーロック」「シャーロック」など、納得のラインナップです(←シャーロック一個多い)。
この記事にコメントをくださる方がいらっしゃったら、お一人ひとつずつ「イライラさせられるものへの苦言」お願い致します。

さて、「使ってしまわないように預ける」という意味では、第2シリーズでシャーロックが煙草をジョンに託すエピソードの方が、「ワトスンの小切手帳」に近いようです。

ジョンは禁煙治療までこなすんでしょうか…
第2シリーズ1話でマイクロフトに1本もらって吸っちゃった時は怒ってましたね。マイクロフトを巻き込んだジョンの罠だったんでしょうか。
2話ではcold turkey(いっぺんに断ち切る)に踏み切っていますが、これが徹底しています。

1.手持ちの煙草はジョンが隠す
2.半径2マイル以内のお店に、シャーロックに煙草を売らないように頼む


一応「お医者さんと禁煙しよう」というファイザー製薬のサイトも読んでみたんですが、そこまでやれとは書いてありませんでした。ジョンの指導で禁煙するのはかなり辛そうです。
第3シリーズで、シャーロックの喫煙習慣がどうなっているか楽しみですね。

この二つのお話では、「7パーセント強いもの」断ちも同時に行われていることが仄めかされます。
これも原作由来ですね。

その輝かしい経歴をいちどはおびやかしかけた麻薬嗜好の悪癖を、私は何年もかかって徐々に捨てさせた。(『スリークォーターの失踪』)


当時は違法でもなかったわけですし、現代版と違って無精者の原作マイクロフトが協力していたとは思えないんですが、「いちどはおびやかしかけた」という表現に、何かあったのではないか、と勘繰る気持ちが刺激されます。こっそりワトスンと連絡をとって弟の薬物依存を断ち切ろうとしていた、という可能性はありますよね。何度かご紹介しましたが、このパスティーシュもそういうお話です。

ヒーローとして捉えられがちなホームズとワトスンですが、やめようとしてもなかなかやめられない悪癖を抱えている、という人間くさい一面もあったのですね。
そして、悪癖を断ち切るには、親身になってくれる人の協力が必要なんだなあ、ということがわかります。
現代版ハドスンさんの言う通り、
"Family is all we have in the end"(最後にあてになるのは家族)なんでしょう。
血がつながっていなくても、221Bの面々は家族のようなものですよね。

(原作からの引用はすべて延原謙訳)

シャーロックと日本・S2分と補足

「シャーロックと日本」という記事を読んでくださったSIKI様よりご指摘をいただきました。

A Scandal in Belgraviaでホームズのベットが出てきますよね(アイリーンにやられて倒れたあと)その上に何かの書状が飾ってあるのですが、どう見ても日本語のものに見えるんです。 もしかして、バリツの免許皆伝?と思ったんですが、どうでしょう?



この書状、私も気になっていました!
(原作における『バリツ』の記述については、過去記事もご参照ください。→『シャーロックと日本』)
そこでDVDを一時停止してこの書状をよ~く見てみました。こんな風に書いてあるようです。

「???????(←よく見えませんが、多分『第●●号』という番号です)
シュアリィ ティ? ヘイシュ
日本傅講道館柔道ノ修行ニ精カヲ尽シ大ニ其の進歩ヲ見タリ依テ初段ニ列ス向後益々研磨可有之者也

昭和四十年九月二十八日
講道館長  嘉納 履正」


読んでいるうちに柔道初段の免状だということはわかったので、ところどころ見えない文字は他の免状を検索して補いました。「履正」もよく見えなかったんですが、昭和40年当時の館長を調べてみたところ、嘉納履正氏だったようです。
シャーロック本人のために作られたにしてはちょっと年代が古いので、スタッフがそれらしきものを調達してきたのでしょうが、設定としてはSIKIさんのおっしゃる通り、『バリツの免許』なのではないでしょうか。
日本人の目から見ると、名前のカタカナとかもう少しがんばって偽造して!和暦も確認して欲しかったよ!という感じなんですが、英国で放送する分には雰囲気さえ出れば十分だったのかもしれませんね。

講道館は、柔道家であり、教育家でもある嘉納治五郎が興した柔道の総本山(wikiより)だそうですが、この嘉納治五郎さん、原作のホームズと同時代人なんですね。
以前ステッキ術について調べた時にみつけた"The Bartitsu Society"というサイトによると、若い頃の嘉納氏とホームズとは会ったことがあるらしい(!)です。なんでも、「ライゲートの大地主」で首を絞められた経験からボクシングよりも接近戦に有利な武道を志し、アジア方面に目を向けて鍛錬を積んでいたところ、1889年にロンドンで嘉納氏に出会ったらしいです(※あくまで"The Bartitsu Society"さんの主張です)。
もし寝室に飾られた免状がシャーロックのものなら、ホームズの「友人兼師匠」の子孫の名の書かれた免状を受け取った、ということになりますね。なんだかえらくややこしいですが…

SIKI様、ありがとうございました。
そして、この際第2シリーズに出て来た「SHERLOCKの中の日本」もまとめてみようと思います。
ほかにもあったらご指摘いただければありがたいです!

"The Hounds of Baskerville"より
・フレッチャーのペンダントに「性」の文字
漢字のアクセサリーは、"kanji" "necklace"で画像検索すると、結構出てきますね。
「性」にもちょっとくすっとしてしまうんですが、「母」とか「容認」とか書かれたアクセサリーには何ともいえない文化のすれちがいを感じます。衝突まではいかないけど、何でしょう、この、なんか微妙に痒いところに手が届かない感じ。こちらでも英語で似たようなことしてるんでしょうけど。

GFP(緑色蛍光タンパク質)

日本人、下村 脩理学博士によって発見されました。過去記事「犬は光ったか?」もごらんください。

<番外編>ジョンのブログに出てくるフォーチュンクッキー
これは、シリーズ1の時に気づかなかったことです。
アメリカなどの中華料理店で帰りにくれるもの、というイメージがありますが(日本の焼肉屋さんでガムをくれるような感じです)、もともとは日本で江戸時代に生まれた「辻占」煎餅というお菓子だということを最近知りました。過去記事「ジョンのブログより」もご覧ください。

ところで、日本語版を見て気づいたのですが、事件後の

"So, dim sum!"(よし、飲茶だ)
"Mm!"(う~ん!)


というテンション高い二人の会話は「中華料理だ」に変更されているのですね。そういえば、日本には飲茶のお店ってあんまりないですよね。帰りにフォーチュンクッキーをくれるお店も見ないような気がします。うちの周りだけでしょうか。
この夏の旅行をご計画のYOKOさんをはじめ、ロンドンに行かれる皆様、ベーカー街周辺に本当に飲茶のお店があるかどうか、ぜひご確認をお願いします!(できれば営業時間とドアの取っ手も…)

女性の口説き方

さくらいさんにメールをいただき、久しぶりに"The Blind Banker"を観直しました。

さくらいさんのご指摘は、ジョンが診療所の面接を受ける場面についてです。

「(履歴書によると)あなたは軍人だったのね」
「医師でもあります」
「まだ他にもある?」
「学校でクラリネットを習いました」
「そう、楽しみにしてるわ」(拙訳)



さくらいさんはこの「クラリネット」について疑問を持たれたとのことです。以下、さくらいさんのメールから引用させていただきます。

原作においては、このエピソードに類似した描写やその原型となりそうな描写が思い当たらなかったので、私はこのジョンの台詞を彼自身の茶目っ気か何かからきたものだろうと思っておりました。
ですがもちろん、この言葉が事実であってもおかしくはないところで、じっさい原作を知らない知人は額面通りの受け取り方をしたといいます。この台詞をいったいどうとらえたものかとふしぎに思い始めました。

ここで思い出したのですが、すこし前のあるアメリカ映画の中に、主人公の少年が“女の子にモテたくて”鼓笛隊に入ったことがあり、クラリネットが吹ける、などとうそぶく描写がありました。
もしやどこかに、クラリネット(あるいはもっと大きなくくりで、器楽楽器)といえば女の子受けが良い、といった暗黙の了解でもあるのでしょうか。とするとジョンの「特技」はこれを想起させますので、先の台詞はサラへの好意を匂わせるもの、ということになりそうです。
……が、有力な判断材料が何一つ見つけられず、すべては妄想の域を出ません。



この「クラリネット吹けますアピール」ですが、私もさくらいさんと同じように「ジョンの茶目っ気」と捉えていました。
「医師というだけで十分なのに、戦闘スキルまであるなんて、まさか他にもまだ何かあるんじゃないでしょうね?」というサラの茶目っ気に、同じく茶目っ気で答えたのかなあ、と。

しかしジョンのことですから、ここから既に口説く態勢に入っていた、という可能性は大いにありそうですよね!
果たして、「クラリネット吹けます」は「モテ要素」なんでしょうか。
たとえばジョンが日本人で、「ベース弾けます」と言い出したら「お前、やる気満々だな…」と思わざるを得ませんが、「リコーダー吹けます」だったら、まあ罪のない「小ボケ」じゃないでしょうか。「カスタネット」だったらむしろ採用を見送りたい感じです(各楽器に関わる皆様、もし読んでいらしたらすみません)。果たして、ロンドンの若者たちにとって「クラリネット」はどのポジションにあるのでしょう。

そこで、ロンドンの20~30代の男女100人に街頭調査を行いました!!
…は群馬県民の私にはムリなので、せめても、ということで、たまたま会った外国人数人に聞いてみました。

残念なことにヨーロッパ出身の方が全くいなかったのですが、20代~30代のアメリカ人男性3人、女性一人、オーストラリア人女性一人が比較的ジョンに近いかと思ったので(全員SHERLOCKは未見)無理やり聞いてみたところ、全員が
「どちらかというと『モテる』というよりは『地味、堅実』というイメージではないか」とのこと。

もうちょっと間口をひろげて「楽器をやってる男の子ってモテると思う?」と聞いてみると、口を揃えて「その傾向は日本での方が強いと思う!」と言っていました。たとえば、その中の1人はハワイ出身なのですが、ハワイでウクレレをやってもモテないのに、日本でウクレレを弾くとものすごく女の子ウケがいい、とのこと。

クラリネット経験者の友人にも聞いてみました。何でも、クラリネットは 吹奏楽器の中でも咥え方などが少し他のものと違い、奏者を選ぶ楽器だそうです。つまり、クラリネット担当=技術が高い、という印象があり、友人は「すこし変わっている」「しかし優秀」というイメージを持っているようです。

ただ、これは吹奏楽器を知っている人ならではの感覚ですよね。サラが楽器に詳しいとは限らないので、ジョンがそのように感じさせる効果を狙ったとはやはり考えにくいかもしれませんね。やはり、「世間一般におけるクラリネットのイメージ」、そして「脚本が書かれる際、どうしてクラリネットが選ばれたのか」を知りたいところです。

私の方では大した調査はできなかったのですが(すみません…)、さくらいさんは以前楽団で演奏をされていたとのことです。「内輪の前提に依ってしまったかもしれませんが」と前置きされた上で、楽器に関する詳細なイメージをお話してくださいました。

少し考えたのですが、どういうわけで楽器の話が出てきたのかを脇に置けば、なぜクラリネットなのかということならわからないではない気もしてきました。
オリジナルの英語の台詞では、どうやら楽器は「学校でやっていた」とのことですので、もしスクールバンドにありそうな楽器の中から選ぶとなったら、この場面に何を持ってくるだろうかと考えたのです。メジャーな楽器はいくつかありますが、トランペットやフルートでは王道に過ぎ、サキソフォンでは斜めになってしまうなど、いずれもさらりとした台詞には似つかわしくないような気がしますので、多少マイナーなもののほうがよさそうです。また、管楽器でいうと木管には繊細なものがある一方で朴訥なものもあり、金管には総じて豪放な印象の ものが多く、イメージの合う楽器は限られてきそうです。弦楽器ではイメージの問題以前にシャーロックと重なってしまいます(ひょっとするとギターはありかもしれませんが)。打楽器群については楽隊の形態によって奏者の立ち位置がまちまちで、一言の台詞にスマートに乗せるには向かないのかもしれません。
ひどくざっくりとではありますが、こうして消去法的に、軽いエピソードにうまく当てはまるような楽器を探していくと、残るものはあまり多くないように思います。先にお伝えした別の映画の件も、同じようにして残った中からクラリネットがひろわれた結果だったのかもしれません。
とはいえ、そもそもなぜ楽器なのかが謎といえば謎のままなので、ついついこだわっては堂々巡りをするばかりです。



なんと、こまやかなご考察…!ここまで考え抜かれた上での「クラリネット」チョイスだったのでしょうか。脚本家さんの思考の流れを想像すると楽しいですね。
それにしても、どの道にもお詳しい方がいらっしゃるとは言うものの、「クラリネット」ひとつでここまでお話が広がるとは思ってもみませんでした!さくらいさん、ありがとうございました。


もし、イギリスでの「楽器のイメージ」に詳しい方が読んでくださっていたら、ジョンの台詞についてどう思ったか教えていただけたら嬉しいです。

さて、この後もジョンのアプローチは続きます。首尾よくサラをデートに誘い出したジョン。シャーロックのアドバイスで、映画ではなくサーカスにやってきます。

「あ、きっと中国のね」
「うん、僕もそう思った。僕らって気が合うね(There's a coincidence)」(拙訳)


ぶん殴りたくなるほどの絶好調ですね…

(※アップした直後にふと気付いたんですが、私、ずっとこれをサラへの軽口だと思ってたんですけれど、そうじゃなくてここだけ独り言なんでしょうか?今までの捜査に出てきた中国がまた出てきたのを『偶然だな』って言ってる?)

原作では何度も結婚したとされ、自らも「女性経験が豊富」と豪語しているワトスンですが(関連記事:『ワトスンは女好き?』『ジョンのバカンス』)、実際に女性に恋する描写はひとつだけしか出てきません。「四つの署名」の依頼人で、後に妻となるメアリ・モースタン嬢への恋です。

ジョンのように軽妙なトークで迫るかと思いきや、これが全くの不器用。

私はアフガン戦争の懐旧談など試みて、彼女をなぐさめようとしたが、そのじつ私が現在の立場に気をとられ、行きさきへの好奇心でいっぱいで、話にすこしも身がはいらなかった。そのとき私は、連発銃が深夜のテントをのぞきこんで、私が虎の子をそれに向かって発射したという、とんちんかんなことをいったといって、いまもって彼女から冷やかされるのである。


しっかりしろ!と言ってやりたくなるほどの天然ぶりです。ホームズによると、この後ショルトーさんに「蓖麻子油は二滴以上のむのはきわめて危険で、鎮静剤にはストリキニーネを大量にのむがよい」などと言っていたようです。医師免許剥奪ものじゃないんでしょうか。

モースタン嬢は難事件の依頼人であり、ワトスンの恋は冒険と同時進行だったのでまあしかたない面もあるのですが、ジョンのように「打てば響く」感じはまったくありません。ジョンの「息をするように軽口が出てくる」あの感じは、むしろホームズのテクニックを受け継いでいる気がします。

「止むをえない措置だったんだ。まず景気のいい鉛管工になったのさ。名まえはエスコットというんだ。毎晩彼女を散歩につれだしてね。のべつおしゃべりをしたものさ。うっふ、ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃだ!」(『犯人は二人』)


ホームズの「おしゃべり」はもちろん捜査のためですが、相手に結婚まで決意させたのだから大したものです(もっとも時代が違いますし、結婚を夢見ていたであろう身分の低い貧しい女性を『景気のよさ』で釣った点は差し引かなければならないと思いますが)。シャーロックも必要とあれば感じのよい男性としてふるまうことができますが、結婚に漕ぎつけるまでには、というか一晩と持たずボロがでそう…。

ジョンも、今までにないくらい「本気になれる相手」を目の前にしたらワトスンのようにしどろもどろになってしまうんでしょうか。そんなジョンも観てみたいような、今のままでいて欲しいような…。

(原作の引用部分は延原謙訳)


プロフィール

Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

ご閲覧やRSS登録ありがとうございます!まだ廃墟じゃありませんよ~!亀の歩みですが、過去の振り返りも含めてのんびり元ネタ探し続けていきたいと思います。

メールはこちらへ

Twitter
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
索引
このブログで考察した「元ネタ」を、ドラマの時系列に沿って探すための索引サイトです。 順次更新致します。 「21世紀探偵・ブリキの文書箱」
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR
blog mura
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。