最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
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まだらのブロンド

こちらの事件は、「オタクの…」とは違って、事件そのものの骨組みが生かされているようです。

「元ネタ」は、言わずと知れた"The Adventure of the Speckled Band"(まだらのひも)。
あまりにも有名な短編です。いつものようにネタバレさせていただきますと、殺人に使われたまだら模様の蛇を被害者が"the speckled band"と表現したことがタイトルの由来となっています。ただし、bandは文字通りの「ひも、帯」とも人の「集団」とも取れるので、被害者宅の屋外にいたジプシーの集団(まだら模様の布を頭に巻いている)のことではないかと、ホームズ&ワトスンも読者も惑わされることになります。

現代版タイトルは、"The Speckled Blonde"。
「まだらのブロンド(女性)」という訳になるでしょうか。
被害者(ジュリア・ストーナー)が髪をブロンドに染めていたこと、体中に赤い斑点が現れていたことから、この題がついたようです。

ジョンは、被害者の足首に微細な二つの傷を発見します。また、血液中には、特定はできないものの毒物が。
蛇の仕業ではないか、とにらんだ彼は調査を開始。ジュリアの婚約者が蛇を飼っていることを突きとめます。
一方、シャーロックはジュリアの家族に着目。
彼女と同居していたのは、妹のヘレンと、義父である化粧品業界の大物、ロイロット博士。
後に、博士が娘に渡したバブルバスの試作品に遅効性の毒が仕込まれていたことがわかります。
(個人的な希望ですが、ここはバスミルクにしてほしかった…)

このロイロット博士、原作ではとても印象的な人物です。
「姉に次いで、自分の身にも危険が迫っている」とホームズに助けを求めにきたヘレンを尾行して、221Bに現れるのですが、

「こら悪人!わしはちゃんと知っとるぞ!人に聞いて前から知っとるんじゃ。お前はおせっかい者のホームズじゃないか!」
(中略) 「ホームズの出しゃばり屋め!」
(中略)「警視庁の小役人のくせに、何事じゃ!」(延原謙訳)


と罵倒を繰り返してホームズの失笑を買った上、威嚇のために火掻き棒をねじ曲げてみせます。
もっともこの火掻き棒、後にホームズがまっすぐに戻してみせて、実はホームズも同等の力持ちだとわかるのですが(でもグラナダ版ドラマでは、結構戻すのに苦労してたように見えました)。

原作のロイロット博士は、有能な医師でありながら、この激しい性格ゆえに零落してしまった人です。そこで彼が狙ったのは、義娘たちの財産。
原作が書かれた当時、娘個人の財産は、嫁ぐまでは父親にも権利があるのですが、結婚した場合娘の持ち出しになったようです。このシステムに絡む事件(義父が娘の財産を狙い、結婚を阻む)は他の短編にもありますので、ありがちなケースだったのかもしれません。

現代版ロイロットは、コニー・プリンスの番組に出演したりと、社会的にはわりと成功している様子。となると、わからないのが殺人の動機です。シャーロックやジョンにとっても結局謎のままだったらしく、

We rushed back to the house to confront the old man but it was too late - he was already dead. He'd hung himself from the kitchen light-fitting. He hadn't left a note so we don't know why he wanted to kill his step-daughters.
僕たちはこの老人に対面すべく、ロイロット邸に急ぎ戻ったが、すでに遅く、彼はもう亡くなっていた。キッチンの照明吊りから首をつったのだ。遺書はのこされていなかったので、どうして義娘たちを殺したかったのかはわからない。(拙訳)


という結末になっています。

これは有名な事件でもあるし、ドラマ化してシャーロックやジョンにわからなかった背景を描いて欲しかったなあ…それとも、第2シリーズをよく見ると、何かこの事件のことがわかるという趣向なんでしょうか。

さて、ここから先はどうでもいいことを書こうと思います。
「動機がわからん」といえば、もう一人何を考えてるのかよく分からない人が。それはシャーロック。

Sherlock, then, had an idea. He decided to relive Julia's last night. He wanted to spend a night in her bedroom and he wanted me to join him.
そこでシャーロックは、ジュリアの殺された夜を再現することに決めた。
彼はジュリアの寝室で一夜を過ごすことにし、僕に同行を求めた。
Yes. You can all stop sniggering. I was going to sleep on the floor.
にやにやするのはやめてもらいたい。僕は床で寝るつもりだった。(拙訳)


sniggeringは音としては「クスクス」らしいですが、意味中心で訳すと「ニヤニヤ」でしょうか。
相変わらずゲイのカップルだと思われてるらしいシャーロックとジョンですが、この展開は原作に由来しています。

「まずだいいちに、今晩は私とワトスン君が二人で、あなたのお部屋で夜を明かさなければなりません」
これにはストーナー嬢も私も驚いて、ホームズの顔を見なおした。(延原謙訳)


内容はともかく切り出し方に読者も結構びっくりなんですが、ホームズが寝ずの番を決意したのには、それなりの理由があります。寝室で何が起こるか、危険がどの程度のものか、予想がついていたのです。
一方、シャーロックは全く何が起こるかわからない状態で、とりあえず事件の夜を再現してみよう!と思った様子。結局バブルバスをすぐに発見したので、無駄に徹夜しなくて済んだようですが、もし見つからなかったらジュリアの寝室でジョンと二人してじりじり張り込んでたのかと思うと、なんだか可笑しいです。
それはそれで、気の弱そうな現代版ロイロット博士には、結構なプレッシャーになったんじゃないでしょうか…

でも、ワトスンの文章を読むと、不謹慎ながら「張り込み」って楽しそう!と思えてしまうんですよね。
もちろん緊張感や恐怖も描かれていますが、これから飛び込んでいく冒険へのワクワク感や、危険な状況で一緒に息をひそめている仲間との連帯感が、ホームズシリーズにはよく表現されていると思うのです。
謎解きの楽しさはもちろんですが、この楽しそうな感じに、小さな子どもも大の大人も惹かれるのでしょう。
シャーロックも、ジョンと「張り込み」したかったのかな。




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プロフィール

Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

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