最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
【お願い】 ★記事における間違いは、できる限り修正したいと考えております。お気づきの点がありましたら、ご教示いただけるとありがたいです。
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シャーロックと頭蓋骨

シャーロックのお友達で、ジョンが来る前はいろいろお話も聞いてくれていたらしい(←あんまり想像したくない)頭蓋骨。
原作でも持っていたのですか?というご質問をいただいていたのですが、…どうなのでしょう。
2話でも、シャーロックは博物館の頭蓋骨たちが発砲で傷つくのを気にしてましたよね。よっぽど頭蓋骨が好きなんでしょうか。
「頭蓋骨」と聞いてまず思い出すのは、「バスカヴィル家の犬」に出てくるジェームズ・モーティマー氏です。
お医者さんなのですが、もうホームズものに限らなくても「頭蓋骨」と言ったら彼しかいない!と思えるほどの頭蓋骨フェチです。以下、彼の台詞を引用します。

「(前略)ところでホームズさん、あなたのお頭は立派なものですねえ。あなたほどの長径頭顱を見たことがありません。これほど上眼窩の発達の著しい例を知りません。失礼ですがちょっと、あなたの顱頂部縫合にさわらせてくださいませんか。あなたの頭蓋骨は、現物が手に入るまでしばらくは模型でもいいですから、人類学博物館に出せばじつに立派な陳列品です。いえ、まったくお世辞ではありません。正直なところ私はあなたの頭蓋骨がほしくてなりません(延原謙訳)」

…どうですか、いい感じの変人でしょう!
この「長径頭顱」というのは、頭の前後の奥行きが長いということです。正確には、幅を奥行きで割った数字に100をかけた数字「頭長幅指数」で表します。後頭部が後ろに飛び出た人がいますが(P.G.ウッドハウスの作品に登場するすばらしく聡明な従僕・ジーヴスとか)、あれが典型的な長頭らしいです。逆に奥行きが薄く幅が広いと「短頭」になります。

どうして彼がこんなに頭の形にこだわるかというと、当時流行していた「骨相学」に傾倒していたからです。
詳しくはリンク先(weblio辞書)をお読みいただければと思いますが、簡単に言うと、頭蓋骨の形や大きさででその人の性格や頭のよしあしがわかる、という考え方です。

ホームズも推理に骨相学を用いたことがあります。
「青いガーネット」で、落ちていた帽子を見て持ち主について推理する場面。
ホームズに言われてワトスンも手にとって調べてみるのですが(第3話でジョンがスニーカーを観察させられる場面によく似てますね)、何もわかりません。ホームズは、観察からいくつかの推理をしますが、その中に持ち主の知能が優れている、というのがあります。

「容積の問題だよ。これだけ大きな頭を持つ男だったら、なかみも相当あろうじゃないか(延原謙訳)」

頭が大きい→ 脳が大きい→ 知能が高い、というわけですね。
こういった考え方は現代では廃れましたが、当時は骨相学研究に熱中するあまり、有名人の頭蓋骨をお墓から盗んだりする人もいたようです。

頭の形で全てを断じるような単純な見方こそなくなったものの、骨相学の考え方の一部は現代の科学に受け継がれています。
シャーロックが大事にしている頭蓋骨は、ホームズの時代の科学の信奉者たちの雰囲気を現代に伝えるうえで重要な小道具なのかもしれません。

それにしても、どんな人の骨なのか、そもそもレプリカ(という設定)なのかどうか。
モーティマー医師に解説して欲しいですね。
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推理の科学~緑のはしご事件

シャーロックがジョンの携帯を借りて送ったメールの内容は、
「弟が緑のはしごを持っていたら逮捕しろ」。この「緑のはしご事件」の記録は、シャーロックのサイト「推理の科学」に載っています。

シャーロックが書いたこの文章には、彼の性格がとてもよく表れています。
短い文章ですので、たどたどしくではありますが、訳してみました。
訳の内容や、翻訳を掲載することに問題があるようでしたら、ご指摘をいただければありがたいです。
途中でシャーロックの手描きと思われる現場の略図が出てくるのですが、画像の転載はまずい気がするので、元サイトをごらんいただければと思います。


クライアント候補・ジェーン・ダウニングが助けを求めに来た。彼女の夫が亡くなったのだ。
誰もが悲劇的な事故だと思ったが、彼女は夫の弟が犯人だと訴えている。
弟は鉄壁のアリバイを持っている。僕は鉄壁のアリバイが好きだ。
調査を引き受けることにする。

背景:昨年末、サー・ハリー・ダウニングが死んだ。彼は長子であるジャックに家を遺した。しかしながら、権利は家族にもあり、ジャックが子供を遺さずに死んだ場合は、弟のケイスが受け取ることになる。

先月:ジャックが庭の池で死体となって見つかった。自殺の動機はなく、格闘の痕跡もなかった。血液から多量のアルコールが確認された。悲劇的な事故に見える。ケイスが家を受け取る模様である。

ジャックの妻・ジェーンは、納得しなかった。ケイスは平日はエディンバラで過ごし、週末だけロンドンに帰ってくる。
ジャックが死んだ夜、ケイスはスコットランドに居たにも関わらず、ジェーンは夫の死の責任はケイスにあると考えて疑わない。彼に動機があることは間違いない。

更新:件の屋敷に行ってきた。

(画像)

一番上は、庭にある比較的小さな建物のうちの一つの壁である。
窓はなく、従って内部から被害者に何かを投げつけることは不可能。
花壇に足跡はなし。小道はゆるい砂利道。かなり狭いがそれほど危険ではない。
ジャックは泳げなかった。砂利に滑って落ちたか?事故のように見える。

更新:ケイスに会う。絶対に事故ではない。

更新:再びジェーンと話す。被害者について知っていることを全て言わせる。
退屈かつ世俗的な男だったようだ。彼女がテーブルセッティングをしている時に気付いたことがある。彼女は塩をこぼしてしまい、それを少しとって肩越しに投げた。塩をこぼすのは縁起が悪いらしい。彼女の夫もそのようなナンセンスを信じていたのかと確認したところ、そうだと請け合った。彼の飲酒習慣についても聞くと、それほど多くなく、たいがいはビールだけだったとのこと。

更新:家に戻り、花壇を調べる。何もなし。砂利を調べ、詳細な調査のために少量を採取。

更新:砂利に緑のペンキの痕跡。約一メートル離れた所に二つの斑点がある。梯子だ。
壁には窓がないので、はしごをかけるような場所だとは思えない。加えて,もし梯子をかけるなら、小道でなく花壇に置く方が自然だろう。庭師に聞くと、家の所有物には緑の梯子はないそうだ。
結論:梯子は何らかの目的のために持ち込まれ、そこに置かれた。

要約:ケイスは兄が迷信深いことを知っていた。彼はジャックがそこを歩くのを承知の上で、友人を使って梯子を置かせた。家には、ケイスがジャックに贈ったスコッチが一瓶あった。兄があまり酒を飲まないのを知っていてのことだ。ジャックはウイスキーを飲み、酔って散歩に出る。ゆるい砂利道、暗い夜…梯子を見つける。梯子の下を通るのは縁起が悪い。それで迂回する…池に落ちて溺れる。
後でジェーンにメールする。事件解決だ。

事実だけを淡々と記した機械的な文体が、うまく再現できていれば良いのですが。
原作でも現代版でも、ホームズはワトスンの文章に難癖をつけます。
第3話の冒頭でも怒っていましたが、ジョンのブログにも、「僕の仕事は厳正な科学であって、こんなふうに扱われるようなものじゃない。君は全てをロマンチックな冒険物か何かのように仕立てている。もっと、僕の分析的な考え方や物の見方に焦点を置くべきだ(拙訳)」という辛辣なコメントを残しています。

原作のホームズも、しょっちゅうワトスンに文句を言っていたようです。
第2作目「四つの署名」冒頭でも、さっそく処女作「緋色の研究」への批判の言葉が出てきます。

ホームズはかなしげに頭を振って、「僕もちょっと見たがね、正直なところ、あれはあんまり褒められた出来じゃない。探偵するということは、一つの厳正科学なんだ~~であるべきはずなんだ。したがって冷静に、無感情な態度でとり扱われなければならないところを、君はロマンチックな味つけをしているから、まるでユークリッド幾何学の第五定理に、恋愛物語か駆落ちの話を持ち込んだような結果になっている。(延原謙訳)」


この批判は当然ワトスンを憤慨させますが(ちなみに、あんまりしつこく批判するので、ついにワトスンを怒らせてホームズが自分で書く羽目になったという作品が『白面の兵士』です)、
皆さんご承知のとおり、本人が言うほど「冷静、無感情」一辺倒ではないところがシャーロック・ホームズの魅力です。
この「緑のはしご事件」の中でも、容疑者に会って「絶対に」事故ではない、と直感するくだりがあることに気づかれたでしょうか。

シャーロック・ホームズも、そして兄のマイクロフトも、時に自らの「直感」や「本能」に信頼をおいている節があります。私にとって最も印象深いのは、「アベ農園」で現場検証を終え、帰りの汽車に乗った後の場面です。

(前略)何を思ったかだしぬけに彼はプラットホームへとび降り、私までひきずり降ろしてしまった。
「ごめん、ごめん」ホームズはカーヴのかなたに消えてゆく汽車の最後尾を見おくりながら、
「気まぐれなでき心かもしれないことに、君まで道づれにまきこんで、まことにすまないわけだが、ただ何となく僕はこのままほっとくことは、どうあってもできないのだよ。あらゆる本能がやかましく反対をさけびつづけるんだよ。これはまちがっている。どこかにまちがいがある。ぜったいにまちがいがある。(後略・延原訳)」


先日ご紹介した「占星術殺人事件」では、御手洗潔がホームズをけなして石岡くんを怒らせた後、こんな会話があります。

「要するに君はホームズしか知らないのか? へえ! それでよくこきおろせたもんだ。あきれてものが言えない! ほう! つまるところ君は無能なホームズには全然感動できないと言うんだな?」
「誰がそんなこと言った? 完全無欠なコンピュータなんかに僕らはどんな用事があるっていうんだ? 僕が魅力を感じるのは彼らの人間だ。機械のまねをしてる部分にじゃない。そういう意味じゃ彼ほど人間らしい人間はいない。彼こそ、僕がこの世で最も好きな人間だ。僕はあの先生が大好きだよ」

御手洗のこの言葉は、ホームズびいきの石岡をちょっと感動させます。
人間離れした機械のようなイメージの後ろに、見え隠れする人間くささ。
いつの世も私たちがホームズに惹かれる理由を、御手洗はずばりと看破してくれています。

あ、マイクロフトが自らの「本能」を語る場面にご興味がある方は、ぜひ探してみてくださいね!
彼の台詞がある作品は、「ギリシャ語通訳」「ブルース・パティントン計画書」だけですので、すぐにみつかると思います。
存在感たっぷりの現代版マイクロフトのおかげで、お兄さんファンが増えるのでは?とひそかに期待している私です。

追記1(2011.9.3)
誤字の修正をしました。また、カテゴリを雑記から1話に移動しました。
追記2(2012.5.3)
カテゴリの整理に伴い、「シャーロックのサイト」カテゴリに移動。
追記3(2013.1.17)
以下は「アルミの松葉杖事件」という記事のコメント欄に書いた内容ですが、ご要望いただいたのでこちらにも載せておきます。実はこの作品は観ておりません。無責任な発言であることを重々お詫び致します…!

「緑のはしご」は"The Woman in Green" に関係あるんじゃないか!?と固執してた時期がありました…(というのも、タイトルを"The Lady in green"と勘違いしてたのです。The Green Lady→The Green Ladderかと!お恥ずかしい…調べたところ、どうやらGreenしか合ってないようなので、記事中でこじつけるのは断念しましたが)






(?)ボール箱

遅い夏休みをいただき、しばらく留守にしていました。
日本語吹替版シャーロック、すごく良かったらしいですね~!
ついでにこのブログもたくさんの方に見ていただいたようで、いくつかご感想やご質問のメールをいただいてうれしかったです。

シャーロックのようにすらすら答えられなくて申し訳ありません。宿題にさせていただいたものは、がんばって「聖典」を調べてみます!
「シャーロッキアン!」にあった台詞ですが、ホームズには「何度読んでも新しい発見がある」ので、心躍る作業です。
「シャーロック」も、録画なさった方はぜひ2度、3度とごらんになってください。新しい発見があったらぜひ教えてくださいね!

これだけでは何なので、私の発見もひとつだけ。
221Bの、居間とキッチンの間の壁の前に棚があるのですが(ジョンの椅子が映るときよく見えます)、
小さなボール箱が置いてありますよね。原作にもずばり「ボール箱」という題の短編があります。

ある女性のもとに届けられた「ボール箱」。
その中には恐ろしいものが入っていました。
といっても、シャーロックのフラットにならあっても不思議ではない、というかありそうなものです。
これ以上書いてしまうと面白くないので、未読の方はぜひ読んでみてくださいね。
ちなみに原作に出てくる箱は「どこにでもあるハネデュウ・タバコの半ポンド入りの箱(延原謙訳)」。ロンドンの「シャーロック・ホームズ博物館」に再現・展示されているものを見てもわかりますが、この箱は黄色で形も正方形に近く、そっくり同じではありません。
しかし、現代で「どこにでもある箱」といえばやはりこのタイプですし、大きさも「アレ」を入れるのには手頃そう。
もしかして…!?と妄想が膨らんでしまいます。

まあ普通に考えれば、シャーロックが実験に使う薬品やら何やらが入っているんでしょうが、こんな風にドラマを楽しむのも面白いのではないかと思います。
今、ちょっと録画を見直してみようかな、と思われた方は、もう毒されましたね!
ご一緒にシャーロッキアンへの道を歩めれば、この上ない光栄です。

「占星術殺人事件」

占星術殺人事件 (講談社文庫)占星術殺人事件 (講談社文庫)
(1987/07/08)
島田 荘司

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あまりにも有名な、「御手洗潔シリーズ」の第一作です。
この記事がアップされる頃には既にNHKでカンバーバッチ版ホームズをご覧になった方も多いと思います。
そしてその中には、こう思われた方も少なからずいらっしゃるはず。
「御手洗潔が生きて動いてる!」

エキセントリックな性格もよく似ていますが、容姿の描写がそっくりなのです。

「こうしてしげしげと風貌を観察すると、いささか個性的にはすぎるが、日本人離れのした雰囲気である。鼻筋は細く通っていて高く、少しこけた頬、面長な顔の輪郭に、柔らかいくせっ毛。なんだ、案外いい男じゃないかと今さらながら気づく。何だか裏切られたような思いだ。足も長いし、背も高い。」(「異邦の騎士」より)

「占星術殺人事件」でのワトスン役は、親友で同居人の「石岡和己」。
彼も、変人の親友に振り回される様子といい、その親友を基本的に温かく、時にシニカルに描写するスタンスといい、ジョンによく似ています。

私はこの作品を「現代版ホームズ」と捉えています。
もっとも、作中で御手洗はホームズの推理をけちょんけちょんに(中高生の閲覧者がいらっしゃることが判明したというのに、古い表現ですみません…)けなします。私がこの作品を初めて読んだ時はまだ本当に子どもで、書いてあることを額面通りに受け取るのが精一杯でしたが、今なら作者の島田荘司氏がどれだけホームズへの愛と尊敬を込めてこの作品を書かれたか、すこしは理解できる気がします。

「シャーロック」日本放映日にこの記事を書きたくてずっと温めていたのですが、思い入れがありすぎて何から書いて良いかわかりません。きっと、私よりずっとミステリに詳しい方が同じテーマで良記事を書いてくださると信じて、私からはこれだけ!

「シャーロック」をお気に召した方は是非ともお読み下さい!
きっと、何年も前から日本に存在していた「現代版ホームズ」を誇りに思われると思います。

ひとつだけお願いがあります。
初期の「御手洗潔シリーズ」は、発表順にお読み下さい。
具体的には、「占星術殺人事件」→「斜め屋敷の犯罪」→「御手洗潔の挨拶」→「異邦の騎士」の順です。
今夜の「シャーロック」で心をかき乱された方は特に。
きっと、もう一度あの暗い衝撃と、爽やかな後味を体感されることになります。
そして私は、これからその体験をするあなたが本当にうらやましいです!







「シャーロッキアン!」

シャーロッキアン!(1) (アクションコミックス)シャーロッキアン!(1) (アクションコミックス)
(2011/02/28)
池田 邦彦

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私がこのブログで「ドイルのホームズ」を「正典」「聖典」と呼ばず「原作」としているのは、自分はいわゆる「シャーロッキアン」ではないと思っているからです。
私には、いい意味での「オタク気質」がありません。終始ぼーっと生きているので、知識、こだわり、情報収集能力、どれをとっても中途半端です。だから、好きな物に対して情熱や労力を惜しまない人を見ると尊敬してしまいます。「シャーロッキアン」とは正にそんな、ホームズに真摯に取り組んで何かを成し遂げた、または遂げようとしている人のための称号だと思っていました。

でも、この漫画に出会って、すこし考えが変わりました。

ホームズが大好きな女子大生、原田 愛里(はらだ・あいり)と彼女の大学の教授、車 路久(くるま・みちひさ)氏(この先生、まさに私の思い描いていたシャーロッキアン!)が、さまざまな「シャーロッキアン」たちに出会い、その人たちが抱えている問題を解決するという物語です。といっても、シャーロッキアーナ史を覆すような大発見や、警察が出動するような大事件があるというわけではありません(今のところは)。
ほのぼのと可愛らしい絵柄のイメージ通り、日常的でささやかな、しかし当人達にとっては重大な嘘や秘密、心の傷が「謎」という姿をとって描かれます。

そして、全編を通して流れるテーマは「愛情」です。
親友への、パートナーへの、家族への、人生でただ一度きりでも、忘れられない関わりを持ってしまった誰かへの。

小学生の時にホームズに片想いをした愛里は考えます。
「人は愛されるためではなく、ただ愛するために生きるのではないか」と。

フィクションへの愛とは無償の愛です。その作品がその人を愛し返してくれるということはありません。だからこそ、人間を愛するように虚構を愛してしまう人には、どこか純粋で愛おしい面があるように思います。

この作品で描かれる「シャーロッキアン」たちは、そんな人々です。作品への知識があってもなくても、絵空事としてではない、自分の人生に大きく関わる何かとしてホームズ物語を捉えているのです。
ホームズやワトスンのことで、本気で泣き、怒り、笑うのです。

もし、「シャーロッキアン」の定義がこの作品に表れているようなものならば。
知識やコレクションの数と関係なく、虚構の名探偵と家族や友人のようにつながれる感受性を持つ人を「シャーロッキアン」と呼ぶのなら。
私も、胸をはって「私はシャーロッキアンです!」と言える人になりたいです。

それにしても、この作品は泣けます。もともと涙腺のゆるい私なんてどの話でも泣きましたが、中でも第四話「ワトスン夫妻の秘密」116ページは何度見ても涙があふれてしまいます。
漫画という表現形態の利点をフルに生かして泣かせにきますよ。これからこの本を読む方がいらっしゃったら、「シャーロッキアンネタ」を知っている、知らないに関わらず、心して挑んでくださいね!
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プロフィール

Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

『高名の依頼人』のこと書きましたが、6月24日までグラナダ版がGYAOで無料で観られるそうです。
こちら

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