最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
①正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探し
②ドラマでまだ出てこない原作の事件は、SHERLOCKだとどんな話になるのかな?と妄想する

…を一人で(主にトイレとかお風呂で)楽しんでいたのですが、
さまざまな方にご意見をいただけたら楽しいだろうなあ、と思って始めました。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
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ラングデールとポーロック

お久しぶりです。日本語版の放映も終わってしまった頃にやっとエンジンをかけたものの、さぼりすぎてもう記事タイトルとかすっかり思いつかなくなってる……!

昔話になってしまいますが、私がSHERLOCKにはまった頃は、まだ情報がそんなにありませんでした。元ネタ情報は英語で検索してもなかなかまとまったものが見つけられず、ならば自分でやろう、とブログを始めました。
しかし今やSHERLOCKの人気は高く、放映の1分後からあらゆる言語であらゆる情報がまわっています。私が拙い英語力と文章力で頑張らなくても、検索すればすぐに「正解」にたどり着けます。
もともと怠け者なのもあってここ最近は「やらねば」という気が起きず、SHERLOCK情報に対しても後手後手だったのですが、この6年間で出会ったさまざまな方にお気遣いをいただいて(ありがとうございました)、S4を鑑賞したら、やはりワクワクしました。

S4の展開に関して、賛否両論飛び交っているのは知っています。ミステリとしての出来がいいか悪いか、原作に忠実か逸脱してしまっているか。あらゆる基準でこの作品が裁かれているのを知っています。私自身にも、思うところがないわけではありません。
誰にでも、作品に対するさまざまな理想があって、その数だけさまざまな鑑賞があります。どのように期待するのも、意見するのも、視聴者の自由だと思います。

ただ、人から必要されているかはどうあれ、私は引き続き「元ネタ探し」というかたちでシャーロックやジョンに関わっていきたいと思います。
「鑑賞」や「批評」に能力差があるとすれば、私のそれはとても低いと思います。「元ネタ探し」の速さや詳しさを競うのも、作品の抱える問題点や矛盾を鋭く突くのも、私には無理でした。
SHERLOCKに関して私が誇れることがあるとすれば、「ずっと見てきたこと」だけです。始まる前から一応の終わりまで、ずっと見てきました。人気が上がっていくところ、下っていくところ。美点を褒められるさま、欠点を叩かれること。そういう「物語の外の物語」も含めて、ずっと見てきました。

S4も、同じように「見ていこう」と思います。作品全体が「いいもの」か「悪いもの」かをすぱっと決める能力が、たぶん私にはありません。だったら、「元ネタ探し」を取っ掛かりとして、ゆっくりと作品世界に留まってみたい。そうやって、作品の中に(でもきっと、半分以上は自分の中に)生きている彼ら、彼女らに向き合ってみたい。自分なりに作品の中に入っていって、シャーロックたちの気持ちになったつもりで考えるということをしていきたい。いい年して幼稚な鑑賞法だなあ、とは思うのですが……

そんなわけで、今まで以上に最新情報も鋭い批評もないブログです。
それでもいいよ、という方がいらっしゃれば、もうすこしだけお付き合いいただけたら嬉しいです。

さて、一番はじめの場面。
たった4分間の「島流し」から、ホワイトホールに呼び戻されたシャーロック。ハイ。hi じゃなくhigh。
極秘って言われてるそばからツイートして怒られるんですが、この時彼が使った#ohwhatabeautifulmorningというタグは実際にTwitterに溢れましたね。
2017-01-05 (1)2

(実際に彼が取得した体というよりも、BBCの宣伝用として)シャーロックのTwitterアカウントも存在し、BBC ONEのアカウントで推理クイズをする、というイベントもありました。日本吹替版放映時もNHKで「謎解きライブ」という企画番組が。もう、放映自体がお祭りですよね。
これだけ期待値が高まれば、応えていくのも大変でしょう。今更ながら、ドイル先生がホームズを殺した気持ちがわかるような。作品の人気が上がっていく時や、過去のヒット作として振り返られる時は「良い面」を中心に語られるけれど、フォロワーが多いければ多いほど叩かれることも増えたはずですよね。「新作は駄作」とか「ホームズにこんな台詞を言わせるなんて許せない」とか、当時も散々言われてたんだろうな……

S1でベネディクトは「ホームズは物食べない」と言ってたものですが、S2あたりでそのへんグダグダになり、今やなんの迷いもなくジンジャーナッツビスケットにがっつくシャーロック。後ほどジョンが赤ちゃんの教父を引き受けさせる場面でも「(洗礼式には)ケーキがあるよ」とか言われてて、もはや甘いもの大好きっ子です。ここでは棒アイスの話も出てくるので、後ほど「シャーロックとごはん」記事にまとめますね。

この場面での原作ネタは、やはり「コードネーム」。
シャーロックの犯罪はここにいるメンバーの胸に留められ、機密事項となったわけですが、メンバーはコードネームで呼ばれます。

"Only those within this room, code names Antarctica, Langdale, Porlock and Love, will ever know the whole truth."
「この部屋にいる人物だけ……コードネーム・アンタークティカ、ラングデール、ポーロック、そしてラブ、 以上の者だけがすべての事実を知ることになる」(拙訳)



この後の展開で、ラブはスモールウッド夫人と判明。マイクロフトはアンタークティカ(南極大陸)だろうとネットで囁かれていました。メタ視点では「ああ、Ice man だもんね!」なんだけど、シャーロッキアン流に作品中につながりを見出すなら、過去のミッションで「地名」をネタに命名されたのかな、と考えるのも面白いかも。
というのも、ラングデール・パイク(Langdale Pikes)は湖水地方の地名にあるので・・・・・・
この諜報機関がどういう基準でコードネームを命名するものか(自分で名乗るのか人がつけるのかも)わからないですが、ラブは「感情の名前」というのも面白いですね。

ラングデールは『三破風館』に、ポーロックは『恐怖の谷』に登場する、原作由来の人物。
この部屋にいるのは5人なのに、マイクロフトが挙げたコードネームは4つ。誰がポーロックで、誰がラングデールなんでしょう。
コードネームなしになるのは、対象者であるシャーロックか、秘書であるヴィヴィアンのどちらかのはず。
明らかに要職にあるエドウィン卿(端っこに座ってた、スタイリングが百田尚樹さんっぽい人)が、ポーロックかラングデールのどちらかなのは間違いないので、残った一つがどちらかに割り当てられることになるのですが……エドウィン卿の人となりがよくわからないので、とりあえずシャーロックとヴィヴィアンに注目してみます。
まず、ラングデール・パイクと二人の共通点について。

その日はそこでホームズに別れたきりになったが、ラングデール・パイクというのは社交界のスキャンダルの生字引のような男だから、その一日を彼がいかに有効に費したかは、想像にかたくなかった。
この不思議な怠けものは、起きている間じゅうをセント・ジェームズ街のクラブの出窓のところにがんばっていて、大ロンドンじゅうのスキャンダルの受信局件放送局をつとめているのだ。人のうわさによれば、せんさく好きな大衆に阿ねる赤新聞に寄稿して、毎週数千ポンドの報酬を得ているのだといわれる。混濁をきわめるロンドン生活のどん底に、もし何かのうずまきでも生ずると、それはこの人間ダイアルによって自動的な正確さをもって、表面に描きだされるのである。ホームズはこの男に慎重に知識を補給するかわりに、ときどき力を借りているのである。(『三破風館』)


ラングデール・パイクが「人間生き字引」と呼ばれるのは、メアリの"You'd be amazed what a receptionist picks up.They know everything"(秘書はなんでも知っているのよ)という台詞と呼応します。では、ヴィヴィアンがラングデール?

ちなみにパイクには「槍」や「カワカマス属」の意味があり、アメリカの潜水艦の名前でもあります。もしヴィヴィアンがラングデールなら、水族館好きの設定に関係があったりもする?そんな風に考えていくのは楽しいのですが、「パイク」ではなく「ラングデール」が引用されているわけですから、深読みし過ぎの感あり。

ヴィヴィアンの言動を見ると、何でも知っている割に不当な扱いを受けているような印象があります。「この部屋にいる者」という前置きがありながら、彼女だけコードネームが与えられていない可能性もあるかもしれません。S2でモリーが「自分は数に入っていない」と言っていたように、あるいはS3でカメラマンが「その場にいるのにいない者」としてフォーカスされたように、SHERLOCKは「縁の下」にいる人たちにスポットを当てることが多いですよね。
ヴィヴィアンが「コードネームなし」だとしたら、シャーロックがラングデールかもしれません。ラングデールとホームズは職業を異にしながらも対等な取引をする関係なので、マイクロフトたちとシャーロックの関係になぞらえることもできますね。
大陸とご近所という違いはあれど、兄弟で地名つながり、にも一応なります。

いずれにしても、ラングデールの情報通ぶりや独自のポジションを築きあげているところ、「孤立した変人」っぽい印象は、シャーロックにもヴィヴィアンにも通じるところがあると思います。

では、ポーロックはどうでしょう。

「ポーロック、ポーロックって、いったい何ものなんだい?」
「ポーロックは一種の雅号だよ。人体符号にすぎない。ご本尊は正体のはっきりしない、策略に富む男だ。前によこした手紙で、彼はあからさまに、これは本名ではないが、といってはたして何ものであるか、ロンドンにうようよしている幾百万の人の中から、探しだせるものなら探してみろと、見えをきっている。
ポーロックそのものは何でもないけれど、何しろある大物と関連があるのでね。鱶の露はらいをする鰆というか、ライオンのまわりにいる豺というか、いずれにしても本人は取るにたりない人物ではあるけれど、その仲間には真に恐るべき人物が潜んでいるのだ。(後略・『恐怖の谷』)



「ある大物」というのは、言っちゃうとモリアーティなんですが、この描写はヴィヴィアンを思わせるような気がします。
ポーロックはホームズに対して挑発的だけれど、ホームズからの評価はいまいち高くない。この後、「重要なものにくっついている鎖の、そこからほんの少し離れただけのところを占める鎖の環の一つだ。この場かぎりのはなしだが、環としては丈夫なほうではない」とも評されています。シャーロックはメアリの制止も聞かずにヴィヴィアンのコンプレックスを描写し過ぎ、殺意を抱かせてしまった(ように私には見える)のですが、彼もヴィヴィアンと他の査問会メンバーの関わりをこんな風に捉えていたのではないでしょうか。シャーロックのヴィヴィアンに対する「侮り」は、この後大変な事態を招いてしまうのですが、そこについては「ノーバリ」の記事でまた書きたいと思います。

このようにポーロックとヴィヴィアンの共通点は物語のキーに深く関わってきますので、私の結論としては

ポーロック=ヴィヴィアン・ノーバリー
ラングデール=エドウィン卿


ではないかなあ、と。
ホームズによるポーロック評には「鱶の露はらいをする鰆」というのもありましたが、ヴィヴィアンは水族館にいるのが好きでしたよね。水族館には大きなサメがいて、何度も象徴的に映し出されていました。

(原作からの引用はすべて延原謙訳)
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プロフィール

Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

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