FC2ブログ
最初の挨拶
パンダとジョン

BBC制作、現代版シャーロック・ホームズのドラマ「SHERLOCK」ファンのブログです。
正典/聖典(原作)と比較しながらドラマを観て、元ネタ探しをしております。
ネタバレ満載ですのでお気をつけください!
★原作の文章を引用する際、主に新潮文庫版(延原謙・訳)を参考にさせていただいております。
★全ての記事は、推測やこじつけを基にしており、たまに妄想も入っております。ご了承の上ご利用ください。
★このサイト及び記事へのリンクは、どうぞご自由になさってください。
「あの場面の元ネタは?」という時はこちらへ
ブリキの文書箱

襲われる221B

秋はなんとなくホームズが似合う気がするのはどうしてなんでしょうね。読書の季節だからか、秋の装いにイングランドやスコットランドを思わせるものが多いからか。都会のデパートで「英国展」が行われるのも秋ですよね。

そして今秋、日本のテレビでホームズものが熱い!

かつて「トレンディドラマ枠」として洒脱な恋愛ものをよく放送していた(つまり私には縁遠かった)フジテレビ月曜9時で、ドイル正典を原作としたシャーロック アントールド・ストーリーズが始まりました。


発表当初は、キービジュアルがあまりにもBBC SHERLOCKにかぶっていた(タイトルロゴや、主人公たちの服装など)のでちょっと心配だったのですが(ロゴとタイトルは後に変更)、いざ始まってみると
・「語られざる事件」を絡めてくる
・毎回テーマカラーを設けて視聴者に関連を見つけさせる
などなど、大いにシャーロッキアン心をくすぐる作品。

リアルタイム視聴しながらSNSで気づきを共有して楽しんでいる方も多いようです。
そういう「メディアミックスの巧さ」は、ドラマと並行して登場人物のブログをアップしていたSHERLOCK初期を思い出させます。視聴者が参加して楽しめるのはいいですよね。

主人公の誉 獅子雄(ほまれ・ししお)を演じるおディーン様ことディーン・フジオカもかっこいい。
上記の流れからどうしても過去作と比べてしまって申し訳ないのですが、ベネディクト・カンバーバッチやロバート・ダウニーJr.に比べると、顔立ちが端正すぎて「変人探偵」としてはいまいちフックに欠けるかなあ、と思ってたんです。
でも、3話あたりで気がつきました。このホームズ、潜入捜査が巧い!
近年のホームズ役者さんたちはみんな個性的で素敵なんですが、癖が強い故に変装の場面になると「イヤイヤイヤ!ホームズ滲み出てるだろ!」という感じで、ギャグっぽい場面に落とし込まれることが多かったように思います(まして現代物の場合、19世紀に比べて服装・髪型にバリエーションが少ないのも難しいところ)。その点ディーン・フジオカ・ホームズは、どんな役にも自然に溶け込めてる感じ。役者さんの天性の雰囲気はもちろん、演技の巧さも地道に発揮されてるんじゃないかな。

アメリカやロシアのホームズと比べると、人種、文化や言語の「原作からの遠さ」に違和感を持ってしまうのはしかたないのですが、様々な国でホームズが再解釈されている流れの中で、既存の名作たちに肩を並べる物語に育つといいなあ。

個人的には、ワトスンが甘い顔立ちに反して「善良な人」ではないことが面白いと思う(ある過ちを犯したことが語られています。日本を舞台にした現代版では『従軍』という過去を背負わせられない分、良心に呵責のない医師として設定されるのかなあと思ってたので、意外な切り口だった)。佐々木蔵之介のレストレードや山田真歩のグレグスンも、奥行きを感じられるキャラクターで好きです。

このドラマへの考察を、Tomoさんが様々な方のツイートも含めまとめてくださっています。
【シャーロック】新月9ドラマ「シャーロック」第一話をシャーロッキアン的に見てみる
いまのところ毎話更新してくださっていますよ~(そして更新が速い!)ドラマ視聴と併せて、とても楽しみにしています。

それから、アニメ「歌舞伎町シャーロック」。
こちらは正典をベースにした事件を絡めつつ、様々な探偵たち、2丁目のママ?ハドソン夫人、推理を落語っぽく語るホームズや少年モリアーティなど、さまざまなキャラを惜しみなく出してくる楽しい作品。
シリーズを貫く事件として「切り裂きジャック事件」を用いるという王道パスティーシュ感と、現代の新宿に19世紀のロンドンを持ち込んだような軽いSF感。正道と混沌のバランスが良くて興味深い。
私は「おそ松さん」以来の深夜アニメ視聴なんですが、ほんとに昨今のアニメはセンスがいいというか、絵も綺麗でセリフまわしも面白くて、いい大人が夜中に一人で吹き出してしまうことしばしばです。

この2作品をチェックしているだけでも忙しいのに、D-Lifeで日本語吹替版のSHERLOCKが放送されてたりして、久々にホームズ度の高い日々を過ごしています。
原作やパスティーシュを紐解く機会も増え、今更ながら取りこぼしてたSHERLOCKの元ネタにはたと気づくことも多いです。

上述のTomoさんのブログで、誉の部屋が雨漏りで水浸しになったことの「元ではないか」と引用されていたこの場面。

「ワトスン君、けさの新聞みたかい?」
「いいや」
「じゃべーカー街でなにがあったか知らないんだね?」
「べーカー街でなにがあった?」
「ゆうべあの部屋へ火をつけられたよ。大したことにはならなかったがね」
「へえ! 怪しからんやつだ!」(『最後の事件』)


ということは、S1e3(第1シリーズ3話)"The Great Game"でシャーロックとジョンの部屋が爆発したり地下室に侵入されたり、S2e1”A Scandal in Belgravia”でハドスンさんが暴漢に襲われたり、全然元ネタ探し追いついてないけどS4e3”The Final Problem"でドローンに部屋が爆破されたりする場面の元ネタにもなり得るわけですよ!今更ですけど!!
こう列挙してみると、S3はハドスンさんにとっていい時代だったんですね。マグヌッセンに放尿される程度で済んで……(※『いい』の基準がおかしい)

S4の最後にシャーロックとジョンが221Bを片付けて、壁の落書きや銃痕まで再現している場面がありましたが、原作では『最後の事件』と『空き家の冒険』の間のどこかでハドスンさんかマイクロフト(の、よこした人たち。多分)があの作業をやったわけですよね。

私たちの昔いた部屋は、マイクロフト・ホームズの管理と、ハドスン夫人じきじきの注意とで、以前と少しも変わっていなかった。じっさいはいってみると、部屋の中は片づきすぎるくらいきれいになっていたが、調度にしても家具にしても、ちゃんとそれぞれの場所にそのままだった。一隅に科学実験の場所もあるし、酸で汚れた松板ばりの実験台もあるし、たなのうえには恐るべき切抜帳や参考書の類が並んでいる。これはロンドン市民のなかにも、焼きすてたがっている連中が少なくないのだ。それから図表類、ヴァイオリンのケース、パイプ架、ペルシャのスリッパまでが、そのなかに煙草がはいっているのだが、ひと目で見てとれた。(『空家の冒険』)


「大したことにならなかった(No great harm was done)」とホームズは言うけれど、ホームズ基準で言う「大したこと」とはどの程度の被害やら……
まああまり被害がなかったにしても、3年間の不在を感じないくらいに細かいところまで「元通り」というのはすごい。ワトスンのこの細やかな描写が、シャーロックとジョンの「えっそこまで戻すんだ……」とツッコみたくなるような「再現作業」の元ネタになっています。

19世紀末、『最後の事件』でのホームズの死を悲しんだ読者は、世紀をまたいで復活したホームズに狂喜しました。そんな彼らは「変わらない221B」の描写のひとつひとつがきっと嬉しかったはず。
現代版では「部屋の再現作業」が、一度は壊れかけたシャーロックとジョン、そしてホームズ一家の人間関係が新たな形で息を吹き返す過程にオーバーラップするかたちで描かれています。
そのようにして「冒険の存続」を願うメアリ、そしてドラマ視聴者の気持ちに応えているわけですね。

(原作からの引用はすべて延原謙訳)


スポンサーサイト



ワトスンと最新医学

いつもお世話になっているYOKOさんが、お引越しなさる際にホームズ関連の書籍をたくさん譲ってくださいました。図々しい私もさすがに恐縮したのですが、「私のところでは役目を終えたので、いらなくなったら欲しい人にあげてください」というお言葉に納得して、ありがたく頂戴することに。


ツイートしたところ、YOKOさんのお考えに共鳴する方々が現れ、ダイレクトメールを通じて「私はこの本譲ります」「あ、その本欲しいです」という小さな循環ができました。(私はいただくばかりでしたが……)、その中の一冊として我が家にやってきたのがこの本!

いまよめ

『忌まわしき花嫁』のスクリプト原文・和訳に、英語学習者用の解説がついています。解説は主に英語の言い回しやスラングについてですが、原作やドラマ本編との関連にも多く触れています。「『ギリシャ語通訳』のメラスさんの名前の意味はギリシャ語で『黒』」なんて知らなかった~!!

この本の解説から気づいた元ネタをひとつ。
「オレンジの種五つ」の脅迫に悩むユースタス卿を、シャーロックとジョンが訪れる場面。

「夢遊病なんだ」
「なんですって?」
「寝ながら歩いてしまう、それだけのことだ。これは実にありきたりの疾患だ。君は医師だと思っていたが!」(後略・訳は書籍本文より)


この部分に対する解説にはこうあります。


ジョンは医師だが、Somnambulismを知らない。それ故すぐにユースタスに怒鳴られたわけだが、この病名が辞書に登録されたのが1797年※となっていることを考えると、作品の舞台となっている1895年には、この病気がまだそれほど認知されていなかったのだと考えられる。

※原文ママ~1897年の誤り?(ナツミ)


「夢遊病」という病名を知らなかったジョン。知らなかったことを隠しもしないところに『瀕死の探偵』のこの場面を思い出しました。


「君の善意はわかっているんだ」病人は泣くようなうめき声をだした。「君の無学ぶりをさらけ出さなきゃならないのかい?タパヌリ熱って何だか知っているかい?台湾の黒爛病って何だか知っているかい?」
「そんな病気は聞いたこともないね」


そもそもホームズがでっちあげた存在しない病気なので、ワトスンが「聞いたこともない」のは当たり前。このお話の終わりでホームズが「僕が医者としての君の才能を、それほど見くびっているとでも思うのかい?」と言いますが、知ったかぶりをしなかったことでも、ワトスンの医師としての誠実さが窺われます。


また、ワトスンには最新の医学研究に興味を持っている描写があります。


「私はパーシイ・トリヴェリヤンと申す医者で、ブルック街四○三番に住んでおる者です」
「朦朧性神経障害に関する論文をお書きになったトリヴェリヤン博士じゃありませんか?」
自分の労作が私に知られていた喜びで、彼は青じろいほおをぽっと染めた。
「まるで反響がありませんので、あの論文はもう埋もれたものと思っていました。それに出版社に売れゆきの具合をたずねてみて、すっかり失望させられました。そうすると、あなたもやはり医学の方をおやりですか?」
「私は退役の外科軍医です」
「私の道楽はずっと神経科でして、何とかしてこいつを独立した専門に育てあげてやりたいと思うのですが、むろん人はまずやれることから手をつけてゆかなきゃならないので……(後略)」

ワトスンは外科医なのに、神経障害に関する論文をちゃんと読んでる。

ちなみにトリヴェリヤンは「反響がない」と言ってますが、この論文で「ブルース・ピンカートン賞とメダルを獲得」しています。ただし、専門医としてやっていくには、開業後しばらく無収入でも良いくらいの金額が必要だと言って、資金を貯めるために一般医として開業しています。当時はまだ、神経科という分野がひろく一般には注目されていなかったわけですね。でも、意識の高いお医者さんたちはちゃんと評価していた、ということかな。

『入院患者』の発表は1893年。朦朧性障害と夢遊病の研究にどれほどの時間差があったかはわからないのですが、原作のワトスンに沿うならば、1895年のジョンに夢遊病に関する知識があっても、そう不自然ではない気がします。


ただし『忌まわしき花嫁』19世紀パートのジョンはシャーロックの頭の中で作られたジョンなので、原作のワトスンどころか本物のジョンともちょっと違う感じがします。この時点での「シャーロックの中のジョン」は鈍くて愚かな人っぽい描写が多いのですが、21世紀のジョンはどうだったんでしょう。先進医療に興味を持っているのかしら。


ビジュアルの伴う二次創作では、どうしても「頭脳担当はホームズ、ワトスンはそれ以外(腕っぷしだったり、ボケ役や癒やし役だったり)担当」にしたほうがコンビとしてバランスよく映るわけですが、このように原作のワトスンには知的な面も描写されています。

映像化作品でも、たとえば『Elementary』のジョーンは、性別でホームズとの対照を見せられる分、知的で落ち着いた性格がよく描かれていると思います。


(原作からの引用はすべて延原謙訳)

お値段以上のクリスマス

Nemoさんに素敵なキーホルダーを作っていただきました!
s-FullSizeRender (12)

丸いのは私のTwitterアイコンです。この飾りの部分、プラ板で出来てるんですって!


↓というわけでプラ板をダイソーで買いました。(すぐ影響される)
s-IMG_4703.jpg

ちょうど同僚がいらなくなったツリーを譲ってくれたので、プラ板工作でツリーのオーナメントを作ってみることにしました。


お値段以上ニトリのツリー(90cm)
nitoritree.jpg

さて、せっかく作るんだから売ってないようなヤツが欲しい。
よく外国のホームズ愛好家さんたちの作品がリツイートされてくる、「ホームズツリー」を作りたい!
しかしクオリティでは絶対に勝てる気がしないので(勝つ気なのか)、パイプとかディアストーカーはあえて避けたい!

誰も気にしてない差別化をはかるために、何を作るかは天にまかせてみることにしました。

自分ルール: 
1.原作(聖典・正典)と『SHERLOCK』から半々に。
2.人物は避ける。(←これは単に絵がヘタだから)
3,原作は適当に取った文庫を適当に開いて、最初に目に入った物や生物を採用する。(ただし犬、馬車、パイプのように頻出する『定番モノ』は避ける)
4.現代版はS1のDVDを無音で流しておいて、画面を観ずに適当に止めた画面に写っている物や生物を採用する。


……トマトだったらどうしよう……
s-2018-12-25 (2)

↑S1E3でみんなが気になってたトマト

では原作から!(汚い本をお見せしてすみません……) うちではトムスンは準正典扱いですよ!!
s-IMG_4715.jpg

目を閉じて掴んだのは「冒険」。適当に開きます。
s-IMG_4714.jpgs-IMG_4713.jpg

「鵞鳥」
えっ!いいんじゃない!? ソークリスマスィ~~じゃない!?
(実は狙ってたんですが、一発で探し当ててしまった自分にちょっと引いてます)


二度目からも同じ要領で、

・『海軍条約文書事件』より「文書」 
これもいい!映える(ばえる)!!

・『ライゲートの大地主』より「ホームズがひっくり返してワトスンに罪をなすりつけた小テーブル」
一気に地味になった!!!


以上3点、なんと全てにシドニー・パジェットの挿絵があるので、お手本にできます。ラッキー!

そして現代版からは

ニコチンパッチ(……3つ作るべきなのか)
s-2018-12-25 (1)

ペンキのスプレー
s-2018-12-25.jpg

という、心配どおりのクリスマス感ゼロラインナップでございます。

ようやくプラ版作り。適当に下絵を書いて、一番良さそうな線を油性ペンでなぞる。(10代前半までしか美術を履修してない人間が描いたテーブルの、あらゆるルールに囚われないボヘミアンな描線をお楽しみ下さい)
s-FullSizeRender (11)

ちなみにこれはニコチンパッチを想像で描いて、後でみたらどうみても別のものになってしまっている例。囚われなすぎてもはや暴走列車。
s-FullSizeRender (10)

そんな暴走列車が言うのも何なんですけどぉ(気怠い中学生風に)、パジェットの挿絵って小道具のサイズ感おかしくないスか先生ぇ~~?
orangechiisai.jpg

(自分で描いてみて初めてわかったんですが、オレンジ小さくね!?
オレンジだってすっかり忘れて違う色塗っちゃったよ!それとも当時のオレンジが小さかったの?あとで調べよう……ちなみにグラナダ版ではぱっつぱつに肥えてた鵞鳥も、意外とがっかりサイズ)
gooseyaseteru.jpg

ユニポスカで色を塗る。広い面はなるべく裏から塗った方が出来上がりが綺麗なようです。
(こんなに縮むってわかってたら、そんな一生懸命塗らなくてよかった……)
s-IMG_4672 (1)s-IMG_4679.jpg

はさみで切り取り、パンチで紐通し用の穴を開ける。
この辺夜中にやってたのでぼーっとして、スプレーを本体まで切ってしまったんですが、「焼けば溶けてくっつくんじゃないか」という希望的観測に基づいて作り直さなかった(要するに眠かった)。

アルミ箔をしいたトースターで焼く。
庫内の温度が上がっていく過程でものすごく反るのでびっくりして救出してしまいそうになりますが、もっと温度が上がれば戻ります。
s-FullSizeRender (8)

鳥は焼いててちょっと面白い……
s-FullSizeRender (9)

縮みきっても少し反ってるんですが、熱いうちはまだ柔らかいので、開いた電話帳(世帯主になって数年経つが、初めて開いた)に熱に強い紙をかけてスタンバイしておき、取り出したらすかさず挟んで押す!押し花の要領で平らにします。
冷えたらすぐ固まるので、ここはスピード勝負!最初こそ箸を使ってましたが、やってるうちにまどろっこしくなって「おかん熱くないん!?」とドン引きされそうな扱い方になってきた。人間気合いやねん(←想像上の子どもへの説教)。

s-IMG_4682.jpg

鵞鳥さん(死んでる)には、ブルーカーバンクル(セリアで30個位入ってるやつが108円)を貼ってあげよう!
ちなみに原作では「尻尾に黒い条のある白い鵞鳥」ですが、これはグラナダ版を参考にしたので「頭が灰色の鵞鳥」です。
s-IMG_4687.jpg

まだイエローカーバンクルやらピンクカーバンクルやら大量にあるので、案の定切れ目が入ったスプレーにも貼ったら、楽しくなってきたので全部に貼ってしまいました。なんか中途半端なので、あとでネイルシールとか買ってきて徹底的にデコるのもいいかも。仕上げには100均の気になるアイツシリーズ・UVレジンを上から塗るといいみたいです。

s-IMG_4690.jpg

穴に糸を通してツリーに飾る。
s-IMG_4695_20181225082017ee4.jpg

s-IMG_4697_20181225082411a51.jpg

セリアの額に入った素敵なホームズとワトスンはnaoさん製。ありがとうございます!
(naoさんのブログはこちら
これがなければ誰もホームズツリーだとわかるまい。
もはやツリー全体のアイデンティティをnaoさんが規定してる。
s-image1.jpg



足元隠すやつは、グラナダ版ではクリスマス回になってる「ボール箱」から引用したつもりなんですが、サイズ的にぴったりな箱がAMAZONのやつしかなくてやっつけ感がすごいので、もうちょっとハネデュウ・タバコっぽいやつを探したいと思います。まったくアテはないんですけど、あとで調べる(こればっかり)。

まだ飾りの8割がお値段以上ニトリなんですけど、少しずつオーナメントを増やしていくのも楽しいかと思います。
……プラ板って増税の対象になるんですかね(世知辛い話で終わってすみません)。

【過去のクリスマス工作】(注)ぜんぶこのレベルだよ!
お菓子の家
スノードーム
痛チョコ
大人の塗り絵

晴れた日はアイスクリーム

私の勤め先では複数の国籍の人が働いているのですが、出身地も年齢もバラバラな人たちが揃って「食べたい~~~!!」と嘆くもののひとつが、Magnumのアイスクリームバー。チョコレートがけされた高級感あふれるアイスクリームです。
英国生まれで、いろいろな国で親しまれているのですが、なぜか日本では見かけません。

Magnumを出してるアイスクリームのブランドがWall's。1786年創業ですが、もともとはロンドンの肉屋さんだったそうです。
夏場に社員を解雇しなければいけない状況を回避するためにアイスクリームを作って売ることを考えつきましたが、第一次世界大戦が起こり、そのアイデアが実行されるのは1922年、他社に買収された後になります。現在はユニリーバがオーナーとなっています。

"What would you do, Vivian?"
"Pardon?"
"Well, it's a lovely day. Go for a stroll? Make a paper aeroplane? Have an ice lolly?"
"Ice lolly, I suppose."
"Ice lolly it is! What's your favourite?"
"Well, really, I shouldn't..."
" Go on."
"Do they still do Mivvies?"

「何をするの、ヴィヴィアンは?」
「はい?」
「すごくいい天気だよ。散歩する?紙飛行機つくる?アイスたべる?」
「アイスかしら」
「アイスね!何のアイスが好き?」
「ええとね、でも今は…」
「続けて」
「Mivviってまだあるのかしら?」



Mivvi Ice Creamsは、商品名を出せないNHKの放送では「フルーツアイス」と訳されていました。おそらくミルク系のアイスクリームを、フルーツ味のアイスでコーティングしたもの。こちらのサイトに愛らしいパッケージの画像がありました。
Do you remember? Food and Drink Mivvi Ice Creams 

Mivviを売り出していたのはLyons Madeというブランド。素朴で可愛らしい看板を掲げたアイスクリームトラックに、子供時代のヴィヴィアンもわくわくしながら駆け寄っていたんじゃないでしょうか。
Twitterで検索すると、Mivviをを意匠化したポップな壺が出てきます。上記のサイトの内容から言っても、Mivviに代表されるLyons Madeのアイスクリーム は、70年代のアイコン的な存在なのかもしれないですね。当時に詳しい方がいらっしゃったら、教えていただけたらありがたいです。

Lyons Madeは、1992年に Nestléに売却されています。アイスクリーム自体は現存しているけど(検索するとWaitroseとかでも、似たようなアイスが売ってますね)、あの日あの時のアイスクリームとはどこか違う。そんなふうに想像して、あらためて彼女の孤独を感じます。そういう寂しさを、いつか私も味わうことになるのかなあ……

ちなみに私の「懐かしアイス」は トムとジェリーの絵がついた箱に入った、バニラ味とチョコ味がうずまき模様になってるやつ!
高級感溢れるアイスも大好きですが、乳脂肪分低めの、ちょっと安っぽい味がするアイスに郷愁を掻き立てられます。

さて、原作のホームズたちは、アイスクリームを食べたのかしら。
アイスクリームの歴史について調べてみたのですが、この大阪のアイスクリーム屋さんのサイトがべらぼうに面白かったです!

手づくり アイスの店 マルコポーロ

原作(正典)中には、一度もアイスクリームは出ていません(……よね?みっちょん様……)。
しかしマルコポーロ様のサイトによると、1898から1926年にかけてペニーリックというガラス製の容器に入れたアイスクリームが売られ、子どもたちがよく食べていたそうです。この回収制容器が不衛生で食中毒を引き起こしたので、代わりにコーンが普及したとのこと。
マルコポーロ様のサイトより「英国のペニーリック グラス事件」
ホームズに仕事の報酬をもらったイレギュラーズの面々は食べていたかもしれませんね。

そして1942年、第二次世界大戦により、英国ではアイスクリームの製造が禁止になります。
これに対して米国では、「兵士の士気をあげるために」アイスクリーム製造が国策として奨励されたそうです。
戦艦にはアイスクリーム製造機が装備されていて、従軍すればアイスクリーム食べ放題というのが宣伝文句だったとか。

マルコポーロ様のサイトより「米軍とアイス 第二次世界大戦中」

当時の英国と米国では食糧事情が大きく異なったわけですが、ひょっとしたら英国では「大の男がアイスクリームを食べるものではない」という意識もあったのでしょうか。アメリカ兵が行列するほど大好きなアイスクリーム、イギリス兵がきらいなはずがないのですが……。
タイタニック号(1912年)でアイスクリームが供されていたともあるので、やはり戦時下では贅沢品という理由で禁止されたのかな。ホームズとワトスンはフランスはもちろん、ジェラートの国・イタリアにも行っていた可能性がありますから、本編に出ていないところでアイスクリームを楽しんでいたかもしれません。

レストレードは嫉妬する?

学生の頃、新本格ミステリにハマって、ありとあらゆるアクロバティックな死に方を右から左に読み流してた私ですが、すっかり普通のおばちゃんになった今、ひしひしと思います。
ウェルズバラさんちのご子息の件、ほんといたたまれない……

だってだってこの件、誰も何も悪くないじゃないですか、いいご両親にいい息子さんで!
発作が旅先で起こったとしても悲しいですけど、誕生日にお父さんを喜ばせようと帰ってきた息子が目の前で息を引き取ったのに気づかなかったなんて、もう親御さんは悔やんでも悔やみきれないですよ……(どっぷり親目線)!
しかもやってきた探偵は別件に親指疼かせてやがるし!これが原作ホームズだったらもうちょっと……こう……えっと…興味があるふうに装ってくれたぞ!
シャーロックのおかげで「息子さんの思い」がご両親に伝わったこと、長い目で見ればきっと良かったんだと思うんですけれど、あああもう、本当いたたまれない……

で、シャーロックの親指disっといてアレなんですけれども、この記事も別件です。(ウェルズバラ夫妻、本当にお気の毒でした……)
レストレードがウェルズバラさんの事件を221Bに持ってきたときの、シャーロック・ジョンとの会話。

"One condition.Take all the credit. It gets boring if I just solve them all."
"Yeah, you say that, but then John blogs about it,and you get all the credit anyway."
"He's got a point."
"Which makes me look like some kind of prima donna who insists on getting credit for something he didn't do!"
"Well, I think you've hit a sore spot, Sherlock."
"Like I'm some kind of credit junkie."
"Definitely a sore spot."
"So you take all the glory, thanks all the same."

シャーロック「条件がある。手柄はもらってくれ。いつも僕が解くんじゃつまらない」
レストレード「そう言うがな、ジョンがブログに書いたら結局君の手柄だろ」
ジョン「そりゃそうだな」
レストレード「俺が、何もしてないのに手柄だけ持ってく目立ちたがり屋みたいじゃないか」
ジョン「何か、痛いとこ突いちゃったみたいだぞ、シャーロック」
レストレード「手柄の……亡者!って感じだ」
ジョン「そんなに気にしてたんだ」
レストレード「全ての栄光はお前のものだ。気持ちだけもらっとく」



原作でホームズがレストレードに手柄を譲る描写は、全編に渡ってホームズとレストレードの対決が描かれる『ノーウッドの建築士』にあります。

「部下の前じゃいうにもいえなかったんですが、ワトスンさんならかまいません。実に今までにない素晴らしい腕ですなア。どうしてわかったんですか?あなたは無実の人物の命をたすけたうえ、怖るべき恥さらしを喰いとめてくださった。すんでのところで私は警察界における名声を失なうところでしたよ」
ホームズはにこにこして、レストレードの肩をぽんと叩いた。
「名声を失なうどころか、君の評判はおそろしく高くなりますよ。いま書いている報告書に、ちょっと訂正を加えたまえ。そしてレストレード警部の眼をごまかすのが、いかに困難であるかを知らせてやるんですな」
「で、あなたはどうなんです?名前を出さなくてもいいんですか?」
「そんなものはちっとも。僕には仕事そのものが報酬ですよ。それにね、いつかは僕の熱心な伝記作者がまた原稿用紙をひろげることになるだろうから、その時信用はいくらも獲得できますよ。ねえ、ワトスン君?(以下略)」



いや、だからグレッグ言ってるじゃん!あとでワトスンがバラしたら同じじゃん……!と思っちゃいますが……
このお話の冒頭で、当時(ホームズがロンドンに戻ってからの数カ月)「前大統領ムリロの書類事件」「オランダ汽船フリスランド号の事件」など、かなり大きな事件に二人が関わってたことが示された後にこんなことが書いてあります。

しかしながらホームズは、その冷やかな自負心の強い性情から、大衆の喝采に類することが大きらいで、彼の言動、方法、成功などについて私が筆にするのを堅く止めていたのである。その禁止のとけたのが、前にも述べたように、ほんの最近のことなのである。



ってことは、「ワトスンが真実を発表する」ということが、まだレストレードにとって現実的ではなかった、のかな……?
現代版のジョンは起こったことをすぐブログにアップしてるので、刑事さんたちに手柄を渡す暇はありませんでしたよね。
ちなみに「大衆の喝采に類することが嫌いなのでワトスンに記録の発表を許さないホームズ」は、ジョンが『幽霊ドライバー』っていうタイトルをつけようとする場面に出てくる ”People are stupid.”というシャーロックのセリフにつながらないこともないですね。現代版ホームズ兄弟、何回かそんなこと言ってるような気もするけど……

ホームズと、ヤードの刑事たちを巡る「手柄」問題は、第一作『緋色の研究』でさっそく取り沙汰されていました。

「グレグスンは警視庁でもちゃきちゃきの腕ききの一人なんだ。この男とレストレードとは、ボンクラ刑事の中では優秀なほうだ。ふたりとも敏捷で精力家なんだが、ただ型にはまりすぎていてね、まったくあきれるほどね。そしてお互いに対抗意識が強くて、嫉妬しあうところなんか、まるで商売女みたいだな。この事件にふたりとも関係するのだったら、きっとおもしろいことになるだろうよ」
(略)
「だってこいつは君が待ち望んでいたおあつらえ向きのチャンスじゃないか」
「そんなことをいうけれどワトスン君、この事件が僕にどれだけ関係があると思うんだ?かりに僕がこの事件を解決したとしてみたって、グレグスンやレストレード以下の刑事の功績になってしまうのはわかりきっているんだからね。というが(※原文ママ)、僕は役人でもなんでもないからだがね」



ホームズによれば、グレグスンはホームズが彼自身より優れている事をわかっていて、ホームズ本人に対してはそれを認めている。しかし別の人間にはそのことを知られたくないのだ、ということ。
この直後「まあいいか」とばかりに事件に飛び込んでいくので、単にワトスンに対してもったいぶってたというか、そういえばうちの犬も散歩の時リードをつけようとすると嬉しすぎていったん逃げ回ったなっていうか、ホームズが自分への評価を本気で気に病んでいたという印象は受けません。でもラストシーンを読むと、やっぱりちょっとは気にしてたのかも、と思えてきます。

(グレグスンやレストレードの功績を褒め称える記事を見て)

「どうだい、僕が初めからいっているとおりだろう」シャーロック・ホームズは笑いながらいった。「僕らの緋色の研究の成果は、ただ彼らの表彰ってことになるだけさ」
「いいじゃないか」と私は答えた。「僕は事件をみんな日記につけているから、やがて世間の人に発表してやるよ。それまではまあ、成功したんだという意識だけで満足しておきたまえ。--世間の奴らは我を非難する。だが我はわが家に秘した多くの財宝を眺めつつ自らを讃えようといったローマの守銭奴みたいにね」



これが第一作の締めなのだから、シリーズ全体が「ホームズの名誉のために」存在している、という見方もできる。
「刑事たちは手柄ジャンキーでホームズは無欲」という単純な構図があるわけではなく、どちらにとっても、名誉というものは大事なんですよね。モリアーティとの対決を描いた"The Reichenbach Fall"でも、肉体の死以上に「名声が地に堕ちる」ということが重く描かれていたと思います。

原作に出てくる刑事でも特に出番が多いレストレードは、書かれた時期によってホームズに対する態度も違うんですが、長い年月を通して彼の言動を見ていると(過去記事:『レストレードについて』)、単に名声が欲しいというより、まず事件の解決と関係者の救済を願い、そのために能力を競い合っていたという側面が見えてきます。『緋色の研究』の時点ではホームズもまだ若く、刑事たちとの関わりも浅く、見えていなかったものもたくさんあったのでしょう。
「商売女みたい※」とまで言われてしまった原作のレストレードですが、現代版の懐深く大らかなレストレードと案外似ているのかも。部下をはけさせてホームズ、ワトスンと3人になると本音を漏らすとことなんて、人間臭くていいなあと思います。

それにしても現代版レストレード、「現役閣僚の息子の事件だからすごい圧力」「(誰の手柄かなんて)どうでもいいから早く解決して欲しい」って……生々しいな!!
彼には、捜査官としてライバルたちとしのぎを削る前に戦わなければならないものがある……のかもしれません。がんばれグレッグ!

(原作からの引用部分はすべて延原謙訳)

※延原謙役では「まるで商売女みたい」となっていますが、原文(a pair of professional beauties)は「社交界で活躍している美女」という意味だと教えていただいたことがあるので、付記しておきます。
NEXT≫
プロフィール

ナツミ

Author:ナツミ
シャーロック・ホームズが好きです。どちらかというとワトスン君がより好きです。

私の口ずさむ"Searching For The Ghost"がどれくらいひどいかと言うと
「♪君の名はミステリー(←唯一聞き取れてる?部分) にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ ぼいん!ぼいん!ぼいん!」という感じです。恐ろしくてツイッターには書けません。

メールはこちらへ

カテゴリ
最新記事
最新コメント
Twitter
月別アーカイブ
索引
このブログで考察した「元ネタ」を、ドラマの時系列に沿って探すための索引サイトです。 順次更新致します。 「21世紀探偵・ブリキの文書箱」
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR
blog mura